「台風、大変だったですよぉ。この辺は停電だったしねぇ」那覇から瀬良垣に向かうタクシーの中で、運転手さんが当時の様子を語る。当初、お気楽夫婦が「ハイアットリージェンシー瀬良垣アイランド沖縄」に滞在する予定だったのは、まさしく台風24号直撃の週末だった。予報では、“非常に強い勢いで”沖縄付近を通過するという。そこですかさず全ての予約を変更。1ヶ月ほど日程をずらした晩秋の訪沖となった。
「塩害ですっかり枯れてしまいました。植え替えるまではしばらくかかりそうです」チェクイン後、ホテルのスタッフに話を聞くと、その答えにも無念さが滲む。開業から間もないにも関わらず、ホテル周辺の植栽の大半は赤茶け、枯死寸前のよう。想像以上の被害だ。ホテル内部に入ると、エントランスからロビーラウンジ、バーと一直線に結ばれ、高い天井からスクェアなフレームが下がるスタイリッシュな空間が広がる。
「あ、ここだ!」部屋に入った後、館内を散策。妻が事前に調べていたホテルの名所を発見。東シナ海に向かって大きなピクチャーウインドウが嵌め込まれ、打ち寄せる波と、その波とぶつかり合う岩と、水平線まで延びる青と、その上の空と雲を、ずっと眺めていられる空間だ。ホテルが建つのは、沖縄の中部恩納村、万座岬の対岸にある(橋で渡れる)瀬良垣島という(元)離島。360度海に囲まれていると言っても良い環境だ。
沖縄県で最大瞬間風速56.2メートルを記録した台風24号の高波が、開業早々のホテルを襲った。そして島の突先に設けられていたフィットネスセンターのガラス窓を破壊した。お気楽夫婦が訪れた期間は、ちょうど改修工事が始まったタイミング。「マシンが海水に浸かってしまったんです」と嘆くスタッフ。開業直後に宿泊した方の滞在記などを見ると、最新のマシンが揃っていた。ここで海を眺めながら汗を流したかった。残念!
遅めのランチを取ろうと、「オールデーダイニング セラーレ」に向かう。朝食会場になる場所だが、明るく広々とした店内で、ここもまた外の景色を眺めながらゆったりと食事をとることができる。妻が選んだクラブハウスサンドは、添えられたフレンチフライが見事にリゾート気分。カリカリのポテトが昼飲みビールによく合う。ハイアットホテルズとしては国内初のビーチリゾート。面目躍如のポテトだ(笑)。
客室は広いバルコニー付きのスタンダード。ワンルームタイプで38㎡と決して広くはないけれど、オープンな洗面スペースとバスルームの間の壁はガラスだし、クローゼットも扉なし。見事にフラットで開放的なリゾート仕様。ラグーンビューのバルコニーに出てみると、館内散策したルートを俯瞰して眺めることができる。さらに遠く万座岬の断崖の上に建つANAインターコンチホテルが見える。リゾート気分も最高潮だ。
眼下のプールエリアは、グスクプール、ジャグージ、波打ち際まで延びるラグーンなどからなり、インドアプールやプールサイドバーまで擁する本格的なリゾートアクティビティだ。そうなのだ。このホテルは、実に良くできたビーチリゾートなのだ。あのチャーミー(台風24号)さえ、やって来なければ。…海に繋がるラグーンの向こうには、本物の(笑)ラグーン、リーフ、そして外洋と水の色が変わる実に美しい眺めだ。
「また来れば良いさぁ」お気楽妻は至ってご機嫌で、ウチナンチュのように鷹揚だ。クラブラウンジでの食事も、ホテルのロケーションも、アクティビティ施設も(改修されれば)、お気に入りの模様。「視察に来た甲斐があったね。やっぱり現地に来なきゃ分かんないね。また来るよ」ホテルフリークで、かつハイアットファンの妻が宣言する。了解。穏やかな波の季節に、植栽が回復し、ジムで走れるようになったら再訪しよう。
ご近所の住宅街に、気になっている店があった。店の名前は「栗天」。くりはら(おそらく栗原さん)のてんぷらだから、栗天。潔い店名のセンスが好き。小ざっぱりとした店の入口には、お休みの案内とショップカードが客を待つ。店主の似顔絵イラスト入り。店のサイトにも、店主の似顔絵がチラチラと登場する。このテイスト、お気楽夫婦好み。期待しつつ店内へ。清潔でさっぱりとした内装。好感度高し。料理が楽しみだ。
カウンタ席には客が4組、9人。休日とは言え、17:30の入りとしてはなかなかの賑わいだ。*夜は17:30と19:30の予約のみ。他の客との間に1席づつ空けてあるのも好印象。まずはビールをぐびり。ビールもヱビスの小瓶というのが良い。夜天(夜のメニュー)は6,000円のお任せコース。お通しは、添えられた菊の花びらが美しい、柿とキノコの白和え。ん、さっぱりと旨い。天ぷらの前の一皿としては好適。良い感じのスタートだ。
天ぷらに合わせていただくワインは、勝沼醸造の「アルガブランカ クラレーザ」。和食に良く合うすっきりとした飲み口。ハーフボトルがあるのが嬉しい。ところで、店主のクリハラさんは、イラスト通りの方。どこか愛嬌がある下がり眉。「そっくりだね」とお気楽妻がこっそりささやく。店主と過剰な会話はなく、客同士の会話が適度に溢れる、良い空気感だ。揚げ油の香りもなぜか店内にこもらず、心地良し。
最初のネタは、海老の頭と銀杏。カリカリとした海老の頭は大好物。身よりも好きかもしれないぐらい。ごく薄い衣に包まれた銀杏のルビー色と海老のオレンジが、白い敷紙に良く映える。「やっぱりこんな衣の方が好きだなぁ。揚げ油も」この店は綿実油をメインとした油で揚げる、カラッとした関西風の天ぷら。ごま油を使ってこんがりと揚げる関東風より妻の好み。天ぷらの衣が厚いとそれだけで満腹になるらしい。やれやれ。
キス、ホタテ貝柱などに続き、目の前にドカンと置かれたのは椎茸。丸のままで揚げられ、敷き紙の上でスパッと鮮やかに切られるというパフォーマンス付き。ハフハフと頬張り、何とも言えぬ椎茸の良い香りと、ジューシーな旨味(椎茸はグアニル酸を大量に含む旨味の塊だ)を味わう。「シイタケって、マツタケよりずっと美味しいよね」と健気なセリフの妻。松茸を食べられない負け惜しみか?でも、全く同感だ。
「葉っぱだけ先に食べねいでください。この後にワカサギが来ます」と大葉の天ぷらが乗せられる。冗談なのか、お約束のネタなのか、店主のキャラがまだ判らないため、反応に困っていると、泳いでいる姿そのままのワカサギが登場した。見事な泳ぎっぷりだ。「うわ、これは美味しいね。ワカサギの天ぷら食べて初めて美味しいって思った」ほろ苦さと甘みと旨みが、サクッとした歯応えに混じり合う。これは絶品だ。
「栗天の栗天です」今度は明らかにネタだと分かるコメント付きで、栗の天ぷらが供される。秋限定のネタ。そして椎茸と同様に、目の前で真っ二つ。いかにも旨そうなホクホクとした実の断面が現れ、芳しい香りを放つ。初の栗天だけれど、これは旨いだろう。アチアチと頬張ると、渋皮に包まれた栗の実は、苦味と甘みが相まって何とも言えないオトナの味。この季節にこの店を訪ねて良かったと思わせる味。
「最後は天茶か天丼ですが、どちらが…」と尋ねられ、声を揃えて「かき揚げだけにしてください」と答える満腹の2人。お隣の美味しそうな天茶を見ながら、少食の我が身を恨む。「これは季節ごとに来なきゃだね」とお気楽妻が最大の賛辞。春の山菜、夏の茗荷や小鮎、そして秋は栗!。秋の四季の味を楽しむ和食の中でも、殊に天ぷらは季節ごとの味を楽しめる。では、次回は冬の天ぷらをいただきに伺おう!
毎年10月の連休に、自由が丘最大のイベント「自由が丘女神まつり」が開催される。そして、その日程に合わせて、マガジンハウスが「Hanako」自由が丘特集を発売するのがお約束。今年の特集タイトルは「気になる、自由が丘。」という気になるキャッチだ。毎年、イベント初日に「Hanako」を買って、スカッシュ仲間と一緒に自由が丘の街を歩くのが恒例。今年の街歩きのテーマはNEW OPENのパン屋巡りだ。
晴天に恵まれ、いつもの年よりも一段と来街者でごった返す街を歩き、「Luz自由が丘」1階に昨年11月にOPENした「なんとかプレッソ」に向かう。なんともふざけた店名だけれど、オシャレな店内に、かわいい小ぶりなパンがずらっと並んで…いない!売り切れ間近のパンをすかさずGet!。これはいかん!と慌てて2軒目の人気店「バゲットラビット」へ。ブティックのようなディスプレーに「きゃーっ!ステキ」と友人の歓声。
看板商品は店名を冠した「バゲットラビット」をはじめ、4種類のバゲット。他にも人気のブール、デニッシュなど、魅力的なパンが並ぶ。パン好きの妻は買い占めたい気持ちを抑え、翌日の朝食用のパンと、冷凍保存できるパンをお買い上げ。「やっぱり良いなぁ、自由が丘」「だねぇ」などと友人と語りながら、予約してあった「ビストロ ハムサ」に向かう…途中の専門店で傘のお買物。歩いて楽しく、買物にも便利な街だ。
「BISTRO KHAMSA(ビストロ ハムサ)は、今年5月にOPENしたばかりなのに、すでに人気の店。KHAMSAとは、アラビア語で「5」を意味し、店のロゴにも使われている5本指のことで、邪視から身を守るための護符でもあるという。インテリアもモロッコランプやゴブラン織りのカーペットやクッションなど、モロッコテイスト満載。料理もモロッコ(かつてフランス領だった)とフレンチが融合したモロカンフレンチビストロ。
メニューもリエットやパテなどのシャルキュトリが充実し、タジン鍋の料理がウリだったり、クスクスがサイドメニューで追加できたりと、まさにモロッコとフランス料理の良いとこ取り。「クスクスって美味しいね。初めて食べた!」という仲間に世界最小のパスタと言われている事、量の調整が簡単だから少人数の料理にぴったりなことなど、ウンチクをひとくさり。そのクスクスが魚介出汁のスープに良く合って実に旨い。
「デザートも行っちゃおう♬」その日のメンバーには大酒飲みはおらず、私の酒量も控えめ。まるで(いつもながら)女子会のような、そんな日はデザートとコーヒー、紅茶というシメもありだ。「二子玉プリンちゃん、気になってたんだ〜❤️」「あぁ〜、やっぱりこんな時間が必要だなぁ」その日のメンバーは、ガッツリ仕事をしている女子3人。彼女たちのストレスが、じんわり減っていく様子がなんだか嬉しい。
翌日。祭りの後、宴の後は、満足感と心地良い虚脱感がうっすらと残る。街は前日までの賑わいとはまた違った顔。落ち着きが戻る。小春日和の穏やかな陽気に誘われ、緑道でランチを楽しむ人たちがベンチに並ぶ。実に平和な光景だ。桜の頃や、クリスマスシーズンも心踊るけれど、やはりこの季節の自由が丘がお気に入り。この街に関わり始めて10年を超えた。それでも新鮮に、あぁ良い街だなぁと思う時間だ。
秋だなぁとしみじみ。そこで、おじいちゃんのモンブラン、食べたくない?と会社のスタッフ(モンブラン創業者のお孫さん)に尋ねると、「食べます!食べたい!」と尋ねた相手とは違う方向から返って来る。では全員分買って来るようにとお願いすると、「顔を知ってる人がいて、孫割引してくれました♬」と嬉しそうに帰って来た。そんな長閑で温かい商売もできる街。やっぱり良いなぁ、自由が丘。
「ん。良いね」と妻も同意。きっとずっと気になり、きっとずっとお気に入りの街。自由が丘LOVE❤️。