夕陽と波を眺めるホテル「ザ・レギャン・バリ」

The Legian1The Legian2リの旅の後半は、島の南西側に位置するレギャンへ向かう。サーフ・ポイントとして有名なクタビーチの北、延々と続くビーチの一角に「ザ・レギャン・バリ」がある。妻によると、このホテルは“夕陽を眺める”ホテルなのだと言う。確かに、クタからレギャン、スミニャックと続く海岸沿いには数多のホテルが点在するけれど、地図で見る限り、これ程波打ち際に近いホテルは少ない。その上、全室が海に向いているオーシャンビュー。チェックインの後、さっそくプールサイドへ夕陽スポットのチェックに出かける。ホテルの最大のウリは、この三段に連なるインフィニティプール。そうか。ご自慢のプールの水面に映える夕陽を眺めるのがベストポジションと分かった。納得。

The Legian3The Legian4辺に降りてホテルを眺める。凧が飛ぶ青い空に映える赤い屋根、クリーム色の壁面。ふぅむ。嫋やかで見目麗しいホテルだ。広い砂浜に打ち寄せる大きな波、その波が引くと、細かな砂の上に僅かな海水が残り、白い雲や空の色を映す鏡のようになる。その日は遊泳禁止と英語と日本語で書かれた看板が立ち、赤旗がはためく。それでもボディボードを抱えて波と戯れる強者もいる。けれども、どんなリゾートでも海で泳ぐことのないお気楽夫婦には何の問題もなし。せいぜいが裸足になって砂の感触と思いがけず冷たい海水を感じる程度で充分。波頭の白、砂浜のサンドベージュ、空と海の青、椰子の緑、自然のシンプルな色遣い。それだけでも海を感じることができる爽快な風景だ。

The Legian5The Legian6暮れ時、浜辺で犬を散歩させている地元の人々が挨拶を交わし(何と犬はリードも付けず自由に走り回っている!)、観光客が馬に乗せられ(笑)波打ち際をゆったりと歩く。黄昏時、夕陽とライティングされたプールを眺めながら、メインダイニングで夕食を楽しもうというゲストたちがテーブルに付き始める。お気楽夫婦も遅れて(予約なしで)席に付こうとすると、満席!ではとシャンパンバーで軽めの夕食に変更。残念ながら、その日は水平線に雲が掛かり、夕“焼け”と言う程には夕陽が空を赤く染めることはなかった。けれども、波の音を聞きながら、のんびりと暮れ行く空と海を眺め、半ばオープンエアのテーブルで、ワイングラスを傾けるディナーはなかなかステキなものだった。

The Legian8The Legian10日、早朝から前庭の芝生の上で行われているヨガのレッスンを眺めつつ、広いベランダで深呼吸。綺麗に刈り揃えられたグリーンのカーペットが実に気持ち良さそうだ。ついでに自分たちで洗濯して、干したスポーツウェアの乾き具合を確かめる(笑)。2人のリゾートの1日は、そんなスタート。朝食はメインダイニングで。とは言え、全室スイートで67室、他にはヴィラ15棟、そんなスモール&ラグジュアリーホテルだから、ダイニングは1ヶ所だけ。他に軽食をいただけるシャンパンバーとプールバーがあるのは、全体の客室数にしたら多いぐらいのものだ。その朝食が素晴らしい。お気楽妻の好物のエッグベネディクトは、サーモン、ハム、ほうれん草の3種から選べる。ブラボー!

The Legian7The Legian9前中にはジムで走る。どんなリゾートに行こうとも、このルーティンは忘れない。汗を流した後はシャワーを浴び、部屋に戻り、洗濯。洗濯物干しもある広いベランダが嬉しい。これも大切なルーティン。ランチはプールサイドでビールを飲みながら、ローカルフードをいただくのがお約束。このホテルのサテーは、厨房で焼いた後に炭火で温めて供される。香ばしく、熱々でんまいっ!ビールがススム。午後は、全てのゲストにアフタヌーンティのサービスが付き、プールサイドでも、客室でも食べる場所を選ぶことができる。全室スイートのホテルならでは。「このホテル2泊じゃもったいなかったね」と妻が零す。ん?良いホテルだからもっと泊まりたいというロジックは彼女ならでは。ホテルフリークの面目躍如だ。

The Legian11The Legian12室はと言えば、1ベッドルームのデラックススイート、広さは110㎡。冷蔵庫の中のビールを含めたドリンクやスナック類は無料。きちんと翌日には補充された2本のローカルビールは、飲みきれずに持ち帰り。カカオの濃い4本のチョコレートは自分たちへのお土産として持ち帰り。スタッフのサービスは柔らかく、丁寧でありながらフレンドリー。確かに、お気楽妻ならずとも延泊したくなる。身体も気持ちも解れ過ぎるほどに、柔らかくなる。「やっぱりスカッシュ合宿も良いけど、こんなホテルが良いね」どうやらそれが妻の実感らしい。だとしたら、この夏の旅は大正解。前半は体育会系、後半はラグジュアリーな日々を過ごすという、実に良いバランス。「来年はどこに行こうか!」…それにしても、余りに気が早過ぎるお気楽な妻だった。

スカッシュ2人合宿「グランドハイアットバリ」

Bali1Bali25度目のバリだから観光はしない。というか、お気楽夫婦の“観光”は空港とホテルの間の車窓から街を眺めるだけ。観光スポットを訪ねることは稀だ。特に2017年夏の旅は、スカッシュラケットを抱えた合宿のような旅。スカッシュコートがあるということを評価して選んだのは、ヌサドゥアの「グランドハイアットバリ」。スモール&ラグジュアリーが選択基準のお気楽夫婦が普段なら決して訪れることのない巨大なホテル。屋外プールは7つもあり、ウォータースライダーで某国の家族連れが歓声を上げ、子供たちがプールサイドを走り回る、とても“カジュアルで活気溢れる”(笑)ホテルだ。

Bali3Bali4れど、そんなホテルで快適に過ごす裏技がある。「ベイクラブ」というホテルに併設されたフィットネス&ヘルスセンターが穴場なのだ。リゾートなのにコートコンディションが整ったスカッシュコートが2面、マシンジム、スタジオなどが完備。コート代は有料だけれど、ほぼ貸切状態。早めの朝食を済ませ、午前中はこのエリアを堪能する。撮影NGのスポーツクラブではないから、iPhoneで練習風景の動画を撮ったり、記念撮影をし放題。ジムのスタッフに次々に勝負を挑まれ、悉く粉砕(3戦全勝)して差し上げた。滞在期間中は毎日ジムを訪れ、スタッフとも顔なじみになった。まさに合宿。

Bali5Bali6場である理由のもう一つが、ジムに併設されている屋外プールだ。他のパブリックスペースにあるプールがどんなに混んでいても、この小さなプールにはいつも静寂がある。パラソルはプールサイドに4つほどあるのだけれど、いつも1組いるか、誰もいないかという平和な状態。スカッシュで汗を流し、シャワーを浴びてさっぱりした後に、このプールを独占できるのはかなりのゼータク。プールの底は鮮やかなブルー。周囲の緑と、南国の赤い花と、青い空、赤い瓦屋根がブループールに映えて美しい。聞こえるのは鳥の囀りだけ。これこそがパラダイスかと思える、夢の中にいるような眩しい風景だ。

Bali7Bali8ンチは大勢のゲストで賑わうプールサイドのバーで、フィッシュ&チップスとローカル(ビンタン)ビール。こんなメニューには適度な喧騒が似合う。ランチの後は部屋に戻り、ベランダやリビングルームで読書三昧。滞在中はずっと晴天が続き、程よく暑いけれど湿度は低く、ベランダの読書が快適だった。夏のヴァカンスに向けて貯めてあった本を慈しむように味わう。村上春樹の新作は、ハルキストをくすぐる作品だ。夕方はスパでバリニーズマッサージ。手頃な料金でリラックスできる、これまた至福の時間。スカッシュやジムで走って(アクティブレストで)解れた身体が、ダメ押し的に緩んでいく。

Bali9Bali10メ押しと言えば、グランドクラブのラウンジだ。巨大ホテルの大きなレストランではなく、こぢんまりとしたクラブラウンジにはバランスの取れた賑わいと落ち着きがある。決してメニューは豊富ではないけれど、朝食にはエッグステーションでメニューを選べるし、カクテルタイムにはスパークリングワインやビールが飲み放題。お気楽夫婦は朝夕の食事はラウンジで済ませ、夕食もレストランでの食事はしなかった。カクテルタイムの食事メニューは充実しているという程ではないものの、少食の2人には充分。お腹がやや物足りない分は、読書をしながら部屋でビールやワインを飲めばいい♫

Bali11Bali12テルに隣接したショッピングセンターには、食品や日用雑貨、お土産品が充実。ホテルの案内にも、部屋で飲む分には持ち込んでも構わないとある。そこでチェックイン早々に買い込んだビール、ワイン、おつまみがたっぷり揃い、部屋飲み体制は完璧。まさしく“合宿”だ。香港などと違い、食に大きな期待はなく、街を出歩くこともないから、ジムで汗を流し、プールでのんびり、昼からビール、読書、マッサージ、ラウンジでワンコシャンパン、という循環でホテル内だけで過ごす。夏のヴァカンス前半は、ジムでの時間を最優先する、まさしく2人合宿の楽しい日々だった。果たして後半は?

美味しいキャッチボール「名産フルーツ」

Fruits1Fruits2夏の頃、自分たちでは買うこともない高級フルーツが届いた。美しい網目の模様が入ったメロン。北関東に引っ越した友人が“地元の名産”として送ってくれた。彼女が遠くに引っ越してしまったのはとても淋しいけれど、代わりに彼女に新しい“地元”ができ、名産物を送ってもらえるという嬉しい誤算が生まれた訳だ。さっそく冷暗所で保管し追熟させ、食べる数時間前に冷やし、朝食用のデザートとして美味しくいただいた。とは言え、朝食用だけで食べ切るのはゼータク。夕飯には生ハムを乗せ、ワインを合わせる。メロンの濃厚な甘さと高貴な香り、それに生ハムの塩加減と舌触りとが絶妙にマッチする。この組合せを考えた先人に感謝。ん〜、これはさらにゼータクだ。

Fruits3Fruits4いて、やはり自分たちのためには決して買い求めることもない高級フルーツが到来。山形名産のさくらんぼ。山形県は私の故郷ではあるけれど、さくらんぼが名産の内陸地方ではなく、米どころの日本海側の庄内地方。山形=さくらんぼと言われてもピンと来なかった。ところが、末弟が結婚し新居を構えたのが、同じ山形県内でも正にフルーツが名産の内陸部の街。ありがたいことに、季節ごとにさくらんぼやブドウなどが届くようになった。フルーツ好きの妻は大喜び。とは言え、さくらんぼはデリケートなフルーツ。早めに食べねばと、朝食のデザートだけではなく、妻のサラダランチ弁当用にミニ容器に入れアドオン。彩りも鮮やかなゼータクランチBOXになった。

Fruits6Fruits7夏に届いたのは、箱いっぱいのセクシーで美しいお尻、のような桃。長野の実家に帰省した友人からのギフト。やはりこんな見事でたっぷりな量の桃は自宅用では手が出せない。嬉しくありがたい。せっかくなので、今まで苦労していた皮の剥き方と変色の防ぎ方を調べてみた。すると、お尻の谷に添って切れ目を入れ、アボカドと同じように回しながらタネを外すと美しく剥くことができ、レモン汁に浸けておけば変色も防止できることが分かった。すると、生ハムやブルーチーズと合わせてサラダにするなど、食べ方が広がる。これは美味しい。ブルーチーズと桃の相性は抜群。前週のビストロ料理を再現し、パテドカンパーニュやキャロットラペまで作ってみる。これは楽しい。

Fruits5ちろん、頂くだけではなく、お気楽妻の故郷の名産である「ハウスみかん」を送ることも忘れない。冬の「青島みかん」も糖度が高く美味しいけれど、夏場に出荷されるハウスみかんの甘さ、皮の薄さ、食べやすさは、私にとって“King of Fruits”と称しても良いほど。え?夏にみかん?と思いながら、初めて食べた時の衝撃は、今でも忘れない。その衝撃の美味しさを北関東に、山形に、長野ではなく世田谷に、送っている。つまり、お互いの名産フルーツを、キャッチボールのように送り合っているという訳だ。自分たちが食べて美味しい自慢の名産フルーツを送り合う、美味しく楽しいキャッチボール。それも、自分たちのためにはゼータクだけれど、お送りするには手頃。美味しいものを相手にも食べて欲しいという気持ちも込めて。

ころで、狭義のフルーツとは、樹になる果実。つまり、メロンやイチゴは、厳密な植物分類上は果実的野菜、すなわち「果実のように食べられる野菜」らしい。逆に、その定義上ではアーモンドや栗なども果実に分類される。「だから私はフルーツ好きで、ナッツ好きなんだ」とお気楽妻。風呂上がりに身体を冷ますためにと冷凍のベリーミックスを貪り、夜中に身体に良いからとナッツを抱えて大量に齧る彼女は、間違いなくげっ歯目の血が濃く流れている。

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