スカッシュにまつわるエトセトラ「結婚と治療と優勝と」

SQ1SQ2カッシュ界のマドンナ、松井千夏が結婚!」松井自身がブログで結婚を報告した直後、Yahoo!ニュースで大きく報じられた。それを追って、日刊スポーツや報知などのスポーツ系メディアのサイトで取り上げられた。芸能人並みの扱いだ。「IGAさんのお友だちの松井さん、結婚って載ってましたね」さっそく会社でも声を掛けられ、注目度が高い話題なのだと実感。その数日後、前から決まっていた日程だったのだけれど、タイミング良く「ビストロ808」に千夏ちゃんが2度目のご来店。スカッシュ仲間と一緒に彼女の結婚をお祝いした。千夏ちゃんとは彼女が学生だった頃から20年近くのお付き合い。初めて日本チャンピオンになった時には一緒に喜び、香港遠征の際には現地で一緒に食事をし、全日本の後には慰労会を開催し、ずっと応援し続けている。

SQ3SQ4ぉ〜いっ。美味しい♬」初来店の元学生チャンプも満足の笑み。「マンションの入口で、あ!スカッシュの人だ!って言われました」と千夏ちゃん。彼女はこれまでスカッシュ界の広告塔として、TV番組の出演をはじめ、多くのマスコミに登場してきた。スカッシュを知らなかった人たちに、スカッシュというスポーツの存在を知らしめ、少しでも興味を持ってもらう。それが彼女が目指し、果たしてきた役割。ラケットを持たず、ウェアを着ていなくても、松井千夏という名前を知らなくても、彼女がスカッシュ選手だと認識される。これは凄いことだ。まさしく彼女は日本におけるスカッシュの“アイコン”なのだと実感したエピソード。テニスにおける伊達公子さんのように、結婚しても可能な限り長くプレーを続けて欲しいものだ。あ、離婚は見習わないように。

SQ5SQ6達公子さんと言えば、現役復帰後には特に怪我や故障に悩まされ、いろいろな治療やトレーニングを行ってきた。その中でPRP(Platelet Rich Plasma)という、自分の血液から取り出した血小板を患部に注入するという治療法がある。私もテニス肘ならぬスカッシュ肘に悩み続け、同じ治療を行った。それも今回で3度目。伊達さんのようなプロアスリートではないけれど、パソコンを使うにも支障が出る程の痛みに、治療を決意。1ヶ月以上はプレーできないけれど、回復後は痛みから解放される。毎週日曜のレッスンを続けて18年。今は足首の捻挫の後遺症もあり、なかなか思い通りのプレーはできない。けれど、70歳まで(すると私は75歳まで)スカッシュやるよ!と宣言する妻と共に、できるだけ長くプレーしたいという思いで、治療やリハビリを続けている日々だ。

SQ7SQ8気楽妻と言えば、スカッシュの団体戦で(私が出場できないのを幸いに)同じクラブのエース2人と組み、下位トーナメントとは言え、見事に堂々の優勝!決勝戦は妻が1番手。接戦の末に2点リードを許し、クラブチャンピオンに繋ぐ。チャンプの対戦相手も強く、その日の全試合中で最高水準のラリーを続け、同点つまり2点リードされたままでアンカーに託す。すると、普段は繋ぐスカッシュのセカンドエースは、見違えるような攻めのプレーに徹し、見事に逆転。ミスも少なく、素晴らしいショットを連発し、最後は大差で逃げ切った。会場に溢れる万雷の拍手。チームメイトに笑顔が溢れる。握手とハイタッチ。優勝賞品の崎陽軒のシウマイを大量にゲットし、さらに笑顔。個人だけではなく、チームの力で得た結果に喜ぶクラブの仲間たち。これぞ団体戦の醍醐味。

カッシュ、やっぱり楽しいぞ!5週間ぶりに復帰したスクールで汗を流した後、思わず声を上げた。まだまだフルスイングはできないけれど、ボールを気持ち良く叩いた(SQUASHは押しつぶすという意味)瞬間の快感が還ってきた。相手の逆を付いて、自分の打ったボールが飛んでいく時の嬉しさが戻ってきた。千夏ちゃんのようにトッププロとして、あるいは試合で勝つことを目指して、お気楽夫婦のようにエンジョイプレーヤーとして、スカッシュの楽しみ方はそれぞれ違う。けれど、スカッシュを愛する仲間たちとの輪は、その関わり方やレベルとは関係なく、スカッシュを通じて繋がり、深まり、広がっていく。競技人口が少ないが故に、コート利用などに不便なことも多いけれど、トップ選手が身近にいる僥倖だったり、マイナースポーツだからこその良さもある。やっぱりスカッシュはいいね!

ローテーション入り?「蕎麦前屋よし・季節料理びぃぼ」

WASYOKU1WASYOKU2華、焼肉、イタリアン、ビストロ、カレー、ファーストフード、居酒屋など、お気楽夫婦のご近所には飲食店が密集している。それらの料理を国別に分けると、中国、韓国、イタリア、フランス、インド、アメリカなど、間も無く開催される「G20」参加国と重なる。中でも政治・経済と同様に存在感があるのが中国だ。最寄駅から2人が住むマンションまでわずか徒歩2分の距離なのに、5軒もの中華料理店が軒を連ねている。それに比べて、落ち着いて飲める和食の店が少なかった。頑張れ!日本!…すると、そんなある日、白い暖簾のこぢんまりとした蕎麦屋を発見。以前「はしぐち亭」という馴染みの洋食店のあった場所。「蕎麦前屋よし」と書いてある。カツ丼や親子丼もあるような蕎麦屋は何軒もあるが、“飲める”蕎麦屋がなかった。これはいいぞ。

WASYOKU3WASYOKU4麦前、すなわち蕎麦を食べる前の酒の肴が充実している店と名乗っているだけあり、蕎麦屋定番のおつまみが揃っている。…だけでなく、そば味噌200円、焼き味噌300円(香ばしく旨かった)、蛸やわらか煮400円、などという嬉しい価格設定。初訪問の際の、ビール1本と冷酒1合、焼き味噌、蛸、ウドの酢味噌和え、カラッと揚がった山菜の天ぷら、手打ちのせいろ1枚で、何と合計2,400円!これは嬉しい店だ。妻が残業で遅い日の、オヤヂの独り飲みにはぴったり。長居をせずに、さっと食べて飲んで、さっと帰る。蕎麦屋の飲みの鉄則だ。後日、妻と一緒に再訪。2人だと料理の品数も増やして楽しめ、せいろは200円で大盛りにできるから、ますますお得。1人で飲んでも、2人で一緒に食べても、いい店だ。私が(老後に)常連になるまで(笑)長く続けてもらいたい店だ。

WASYOKU5WASYOKU6たかったんだよね、この店。ずっと気になっていたんだ」ある日、お気楽妻待望の店「季節料理びぃぼ」を訪問。この店も「蕎麦前屋 よし」同様に歩いて1分の距離にある。こぢゃれた外観と看板を見上げ、階段を上って店内に入ると直ぐに目に付く「富嶽三十六景」風のボードが印象的。*後で調べてみると、ホワイトボード(本来メニューを書くもの?)に若い店主が自ら描いているらしい。凄い才能だ。照明はかなり落とし気味で落ち着いた雰囲気。店内はきちんとしており、清潔感があり、居心地がいい。メニューは、意外なほどに(失礼)魚の料理が充実。お造りなどの定番メニューはもちろん、斬新な(例えば、生しらすの漬けを豆腐の上に乗せた料理:名前忘れた)メニューが豊富だ。店のキャッチに「創作和食と日本酒」と付するだけのことはある。いいぞいいぞ〜。

WASYOKU7WASYOKU8の日本酒の品揃えも嬉しい。各地の純米酒、吟醸酒、大吟醸だけではなく、古酒、スパークリングなど、多岐にわたり、季節限定の酒や希少酒など50種類ほど常備されているという。そして3種類の酒を自分で選べる「飲み比べ3点セット:1,000円」も嬉しい。初めての酒を楽しみ、飲み比べる。その日は、カツオのタタキ(周りに岩海苔を巻いている)を肴に、松本の「大信州」、会津の「飛露喜」、同じく会津の酒「ロ万(ろまん)」をチョイス。それぞれを舐める程度に口をつけ、「これが一番好きかな」と、私より余程違いが分かる舌を持つ妻がつぶやく。酒は全く飲めないのだけれど。選んだ酒は㊙︎。満足の料理と酒、適度な距離感のサービス…ん〜、好みの店だ。この店も(ご隠居にならなくても)通ってしまう店になりそうだ。

ーテーションがますます大変になるね」と妻。通いたい店が増えることは嬉しいことだが、1店当たりの訪問頻度が低くなってしまう。お久しぶりですと挨拶される店が増えてしまうことになる。大リーグの先発ローテーションの中4日どころか、中4ヶ月、6ヶ月でも順番が回らない店も出てきそうだ。さて、果たしてこの2店は、ローテーション入りなるか?

お気楽な日々「リタイア・モラトリアム」

59−159−2い年の友人から定年退職の挨拶状が届いた。驚いた。この正月に還暦を祝う同窓会に参加し、意識したはずだった。もうすぐ60歳、還暦を迎え、定年退職の年齢になるのだと。ところが、定年退職という概念のない働き方をしていることもあり、全く自覚がない。幸福なことではある。しかし、現在のライフスタイルを止め、リタイア後の生活に移行する準備ができていない。友人のハガキには、畑違いの新たな企業で勤務すると記載されていた。我が世代は、年金生活に入りたくても、年金が支給されるのはまだ数年先。それまでは働くぞ!という明確な意思が行間に記されていた。そうだよなぁ。などと思いながらも、現実逃避ではないけれど、友人に借りた“飲食系”の小説を読み耽る。その友人との間で、“食”に関する作品がちょっとしたブームなのだ。

59−359−4三湊(とさ みなと)作『ちどり亭にようこそ』は、京都を舞台にした弁当屋の物語。やや現実離れした設定や登場人物造形ながら、物語世界にすっと引き込まれてしまう。「草木萌動(そうもくめばえいずる」とか「菖蒲華(あやめはなさく)」と七十二候を各章のタイトルに入れ、京都の季節感と物語を重ね、「お弁当練習帳」という記載されたレシピと共に魅力的な描写が満載。成田名璃子作『東京すみっこごはん』も同様に、ある登場人物の亡母が残したレシピノートが小道具になっている。そして、これまた非現実的な設定ながら、あって欲しい空間として「共同台所」が描かれる。どちらの作品も料理の描写が食欲をそそる、温かな物語が綴られる。どちらも食べに行きたくなる店なのだ。食べに行きたい店と言えば、ある若いスカッシュ仲間と重なることが多い。

59−559−6否両論に行きましょう!私が頑張って予約します」と言いながら、毎月1日だという予約(翌月以降の!)開始日にすっかり電話を忘れてしまった若いスカッシュ仲間。代わりに一緒に訪問したのは「アバスク」というバスク料理の店。料理もワインもご機嫌の味。こぢんまりとした店内は居心地が良い。話題が映画に及び、お気楽妻が行かない作品は独りで観に行くのだと言うと、「じゃあ、一緒に行きましょう!」とおやぢ殺しの発言。ふふ、俺に社交辞令は通じないぜっ!とは言え、行きたい映画はもちろん妻と。『カフェ・ソサエティ』は夫婦50歳割引で。夫婦の証明が必要なく、どちらかが50歳以上であれば良いという実に嬉しい制度だけど、1人で正規料金で観ると損をした気分になるという弊害もある。そこで、一緒に行こう発言に繋がる、という訳だ。

59−759−8ッセージ』は、妻が残業の日に、2人で観て貯めたポイントで単独鑑賞。哲学的SF映画が好きな私。あぁ、これは独りで観て正解だったなぁと頷く。そしてふと、来年になったらシニア料金で観られることに気づく。その日が楽しみだ。ある週末、妻は休日出勤。そこで、「マリクレールフェス」というイベント開催中の自由が丘へ出かける。晴天に恵まれ、通りのワゴンセールも、緑道の飲食出店も、まずまずの人出。この街に関わる者として、ホッとする。誰もいないオフィスで残務を処理しながら、昼食を取る。出店で買った焼きそばの隣、ビールに見える飲料は、もちろんビールだ。それぐらいのことは(私が許せば)許される。来年の今頃は60歳になっている。けれど、来年もこのイベントには参加しているのだろうな、と生ビールをぐびり。んまい。

カッシュを通じて知り合った仲間たちは、仕事も、年齢も、性別も関係なく、ただスカッシュが好きだという共通項で繋がっている。シンプルな関係。そこに、好きな小説や映画、美味しい料理、楽しい酒、というポジティブなキーワードが加われば、好きなモノでしか関わらないのだから、無敵。そんな友人たちに囲まれている生活。だからこそ、このままのライフスタイルが続くと思ってしまう。リタイアせずに、リタイア猶予期間として楽しんでしまう。良いのか、俺。「良いんじゃない、できる間はずっとそれで」お気楽妻のことばは心強く…、「だって、私は仕事は辞めても、ずっとこの生活続けるし」…力強い。

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