那覇ぶらぶら旅「やちむん通りとマチグヮー、桜坂」

Naha1Naha2縄最終日の朝、やちむん通りをのんびりと歩く。“やちむん”とは、焼き物のこと、そして那覇市壺屋地区を中心に焼かれていたやちむん(陶器)が、壺屋焼。登窯などを使って焼かれた伝統的な焼き物は、沖縄県で初めての人間国宝となった金城次郎さんの作品で有名だ。線彫双魚の皿や抱瓶などの複製を飲み屋でもよく見かけることがあるはず。国道330号線(ひめゆり通り)から壺屋大通りに入るとすぐに、やちむん通りの案内板と東ヌカー(東の井戸)がある。そこから裏通りに入り、改修中の新垣家上焼東ヌ窯(あがりぬかま)を横目に路地を散策。工房だけではなく、石敢當(いしがんどう)があったり、シーサーが門の上で睨んでいたり。そんな昔ながらの風情が残る古い町並みをそぞろ歩く。しばらく行くと「てんぷら坂」という小さな坂道に出る。

Naha3Naha4縄戦の直前に壺屋の住民が大きな防空壕を掘り、多くの人が助かったという場所。その複数あった防空壕の入口を利用して“てんぷら屋”が何軒もできたことに由来する名前だという。今でも「てんぷら坂」という、そのままの名前の店が1軒、長閑な風情で営業している。モズクの天ぷらでもつまみながら、オリオンビールをぐびりと飲みたい店構ながら、まだ午前中ということで断念。うな垂れて足元を見ると、“うふシーサー”が描かれたマンホールの蓋がある。“うふ”とは、大きいという意味のウチナーことば。そういえば、壺屋地区近くに巨大なシーサー像があった。探してみると他にもブーゲンビリアなどを描いた鮮やかな蓋があちこちに点在する。そんなマンホールの蓋を探しながら、いつの間にか迷宮のような商店街に入り込んでしまった。そこは…。

Naha6Naha5名な牧志公設市場辺りから続く「平和通り商店街」だった。ウチナーのおばあが好んで着そうなワンピースを売っている店あり、自炊設備付きのゲストハウスあり、お気楽夫婦の琴線に触れるディープな街並みがアーケードの下に続く。「ひやみかちマチグヮー館」という既に何語か分からない名前のビルがある。調べてみると、市場近辺の街を賑やかして応援するというイベントが盛んに行われている建物らしい。そしてそんな昭和な商店街に続くお目当の桜坂へ。そこは原田マハの『風のマジム』という作品に登場する場所。そんな坂の途中に実在する「桜坂劇場」の1階には、物語の中で重要なエピソードの舞台となるカフェバーがある。そう、聖地巡礼。建物の中の古本屋には大島弓子や萩尾望都など、どストライクのラインナップ。何だかいいなぁ、ここ。

Naha7Naha8ぁさんですよ、富士家ってお店知ってますか。冬でもかき氷がまぁさん(美味しい)さぁ」*てーげーなウチナーグチです。すいません。タクシーの運転手さんにそう聞いた店が那覇で滞在したホテルの近くにあった。沖縄最終日のランチはそこだ!と決めていた。交差点の角。周囲を圧する派手な外観。店内は清潔感溢れ、かつオシャレ。古いミシンを使ったテーブルや壁のオリジナル標語パネルが印象的。若いスタッフたちはクールなのに愛想良し、居心地も良し。モダンウチナー、平成の沖縄の香り。オーダーしたのはトラディショナルなタコス、カーリーフライ、三枚肉そば、そしてコロナという王道メニュー。*残念ながらかき氷はオーダーする勇気なく断念。ん、どれもきちんと美味しい。オールド沖縄を現代風にアレンジしたバランスが絶妙な店。この店好きだな。

縄、かなり楽しかったなぁ♬」お気楽妻がシミジミと呟く。ん、実にいい旅だった。東南アジアのリゾートばかりに目を向けず、国内も見直すべきだなぁと反省。泊まりたいと思うホテルも増えているし、元々サービスのレベルも高いし、食事は美味しいし、何より日本語が通じる(笑)のが嬉しい。日本各地の風土や文化に触れる旅、次はどこへ行こうか?「香港行く?」え?

ゼータク観光ハイヤーの旅「美ら海水族館・中城城跡、他」

Okinawa1Okinawa2縄は以外と広い。けれど、空港と那覇市内を結ぶ「ゆいレール」以外に電車の路線はない。とは言え、どんな島に行ってもホテルに籠り、ほぼ観光なしのお気楽夫婦。普段は空港とホテルの往復の送迎を気にすれば良く、特に問題はない。だが、久しぶりの沖縄でどうしても行きたい場所があった。前回の沖縄本島訪問の際にはまだ新館が開館していなかった「美ら海水族館」だ。那覇からは90km、宿泊したホテルからでも30km以上の距離がある。さあて、どうしようか。日常的に運転しないから、レンタカーはNG。ホテルからバスなどを乗り継いでも時間のロスが大きい。結局、ホテルから観光ハイヤーという選択となった。昼食時間の効率化のため、事前にチェックしたパン屋(人気の理由がわかる美味しさ!)でサンドウィッチを買い込み、北に向かう。

Okinawa3Okinawa4宇利島に立ち寄ったり、備瀬のフクギ並木を見学したり、黒塗りのハイヤーで本部半島をぐるりと廻る。今帰仁(なきじん)出身だという運転手さんにガイドしてもらいながらのゼータクドライブ。時間効率も良く、国道58号線は鹿児島から奄美諸島や海の上(笑)を通り那覇まで続くのだと教えてもらったり、という楽しい行程。美ら海水族館は期待通りに素晴らしく、ジンベイザメが泳ぐ“黒潮の海”水槽の前では時間を忘れ、巨大で幻想的な青い世界を見入った。それ以外のコーナーも展示方法は実に細やかに工夫されており、魅せて飽きさせない。「ウミガメ館」では空いていることを良いことに、ディズニーランドのタートルトークごっこ。アトラクションのキャラクター「クラッシュ」を真似て辛口トーク炸裂。ディズニーシーには行ったこともない2人なのに。

Okinawa5Okinawa6日は名護のホテルから那覇に向かう、連日のハイヤードライブ。2日目ともなるとすっかり慣れて、ゼータクをしてしまってスマンスマンと詫びる気持も薄まる。後輩たちのカフェでランチをする前に立ち寄ったのは中城(なかぐすく)城跡。2000年に首里城跡、今帰仁城趾などと共に“琉球王国のグスク及び関連遺跡群”として世界遺産に登録され、2006年には「日本100名城」にも選ばれた美しい城だ。琉球石灰岩を積み上げた城壁は見事な曲線を描き、海を望む南東の方角は切り立った断崖、北西側は急勾配という地形を活かした山城。東側に中城湾と太平洋、西側には東シナ海の眺望が見事だ。何層にも連なる城郭の入口は狭く、精巧なアーチ門となっている。室町時代の頃から築き始められたというからその歴史は古く、戦禍による被害が少なかったことが何よりだ。

Okinawa7Okinawa9里城跡の見学を経て、那覇到着後は「沖縄県立博物館・美術館」へ向かう。「おもろまち」という新都心地区と呼ばれる一帯の象徴的な建築物。グッドデザイン賞、日本建築学会作品選奨などを受賞している、城壁のような外観を持つ特徴的な建物だ。内部のデザインも細部まで丁寧に計算されており、案内ボードやポスターなどのレイアウトも美しく見やすく心地よい。元々「大英博物館」や「アメリカ自然史博物館」「スミソニアン博物館」など、博物館好きの2人は迷わず博物館を見学。地形学的に独自の生態系が残る南西諸島の鳥類(ヤンバルクイナ)などの展示や、沖縄の民俗風習資料の展示をじっくりと見て回る。ニライカナイ信仰から琉球王朝、アメリカ統治下など、それぞれの文化が実に興味深い。と、いつの間にか閉館時間。またいつか来ようか?

しかったねぇ♬」普段の旅は滞在型で、あまり観光地を周ったりすることはない。特に南(主に東南アジア)の島ではホテルに籠り、空港との往復以外は街に出ることもない。元々沖縄料理やエイサーなどの沖縄の文化に興味があったから、ということもあるけれど、滞在する島の文化を知ることもまた愉しいことだ。「また観光ハイヤーで周るのかなぁ」そこかっ。お気楽妻の、お気に入りの旅のスタイルが、新たに生まれてしまったウチナー(沖縄)の旅だった。

お気楽(サン・スーシィ)夫婦待望の人気店「Sans Souci」

Sans Souci1Sans Souci2縄旅行の目的のひとつは、この店を訪ねることだった。「Sans Souci(サン・スーシィ)」という“飯カフェ”。場所は中頭郡北中城村(なかかみぐん きたなかぐすくそん)という決して便利な場所でもないのに、昼時は行列のできる人気店。店のコンセプトは「琉京カフェ」。沖縄(琉球)と、奥さまの出身地である京都のコラボレーション。沖縄と京都の厳選食材を使った、和のスイーツと京ご飯が自慢の店。夜でもビールなどのアルコールはない。え?店で飲めないのに半ばアル中のIGAさんがなぜ?と聞かれれば、事前にサイトで見ていたこの店のフードメニューが余りにも美味しそうだから、と半ば本気で答える。そして実は、facebookでも繋がっている前職の会社の後輩(2人とも)夫婦が5年前に開店させた店。新天地で頑張る2人の店を訪ねたかったのだ。

Sans Souci3Sans Souci4際に訪れてみると、予想以上に分り難い場所。丘の上の住宅街、狭い道を縫うように車を走らせると、突然駐停車している車の群れに出くわす。ん?もしかしたらこれは店を訪れた客、順番待ち客の車か。これまた予想以上に人気の店だ。ウェイティングリストに名前を書き、待つことしばし。「IGAさぁ〜ん、お待たせしました」と声を掛けられ店に入る。2人とは何年ぶりかの再会。外国人向け住宅を改装したというこぢゃれた内装。案内されたのはオープンキッチンで調理する奥さまの様子が見学できるベストシート。さっそくオーナーのG太くんがやって来て、オススメメニューを説明してくれる。人気メニューの「ごまカレー温玉うどん」「京のふわとろ親子丼」をオーダー。「ホントお久しぶりです。お話させてもらって良いですか」と席に着く。勿論!

Sans Souci5Sans Souci6しいです。ありがとうございます」良い店だねと誉めると、照れながらも自信に溢れた眼差しで、開業前からのエピソードを語ってくれた。ご夫婦には縁もゆかりもない場所でスタートして5年。文字通り「ゼロ」からのスタート。ここに至るまではさぞかし大変だったんだろうと思う。「大変でしたけど、楽しかったし、今もずっと楽しいですね」いいね、楽しさが伝わって来るぞ。「サンスーシィという店の名前は、とっても好きなことばで、店を始める前から決めていたんです」Sans Souciとは、フランス語で「憂いなし」「お気楽」と訳されることば。ドイツのサンスーシ宮殿も同様の語源。「お気楽って、そこに至るまで頑張って、そこで頑張ったって言わずに、それを超えたところで初めてお気楽って言ったりできたりするんだと思うんですよ」同意!

Sans Souci7Sans Souci8はそれに乗っかてるかな」と“お気楽”妻。あれ?自覚しているんだ。お気楽妻に、お気楽生活と言ってもらえるように、そんな生活がフツーにできるように、密かに(笑)頑張っているつもりの私。このブログのコンセプトもネガティブなことをわざわざ吐くことはせず、快楽の種をSNSという緩やかなネットワークに放出しよう、というスタンス。そしてその快楽の素材になる実人生を積極的に楽しもうという暮らし方。「温かいうちに召し上がってください。席を外します」と出来上がった料理を前に記念撮影をして、オーナーはフェイドアウト。そしてその料理はと言えば、絶品の一言!読谷村はなファームの卵、京都の九条ネギと食材に拘り、硬水である沖縄の水を軟水に変えて出汁を取り、絶妙な食材との組合せで供される琉京の味。人気の理由はこれか。

いところありがとうございました」帰り際、忙しそうに立ち働いていた奥さまのMちゃんと記念撮影。いい笑顔だ。そう言えば、店で働くスタッフは一人残らずいい笑顔。温かくいい雰囲気。これも人気の理由か。CI/VIの第一人者であるN西氏を父に持つG太くんがメニューを開発し、京都の星付き料理屋の娘であるMちゃんがいい意味で商業ベースのメニューにするという、この2人の組合せも絶妙だ。「また来なきゃね」とお気楽妻。リピートするにはかなり(笑)遠いけど、この店も再訪の予感。と言うか、また伺います!

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SINCE 1.May 2005