ありふれた、ありがたい日常「義父母との日々」

Hamamatsu1Hamamatsu2母が逝き、妻の故郷である浜松に2人で暮らす義父母だけが、お気楽夫婦の両親となった。妻は一人娘。離れて暮らす父母を気にかけ、年に数回は故郷に向かう。春の浜松祭りの頃、秋の連休、そして年末年始が恒例。その度ごとにムコ殿である私も同行。マスオさんに徹し、妻のサザエをサポートする。年末年始のルーティンは、新幹線の車内宴会からスタート。品川駅で買い込んだオードブルを肴に、ビールと缶コーヒーで乾杯。妻の故郷に向かい、マスオさんになるための通過儀礼のようなもの。いつものハレの儀式。*この儀式は年末年始に限ったことではないけれど。浜松に着いた翌日は、大掃除、浜松のスカッシュ仲間たちとの打ち納め、そして両親との忘年会というのがお約束。

Hamamatsu3Hamamatsu4‘16年の忘年会は、義母の喜寿のお祝いを兼ねてカニ尽くしの宴。食が細い2人のために、品数が少ないコースで予約。それでも、カニ刺し、カニすき、焼きガニ、カニ寿司などがひと通り味わえるお得なコース。そしてデザートが出てきた頃合いを見計らって、こっそり持参してきたプレゼントを贈呈。バラの包みのタカシマヤ♬の箱の中は、深紅のバラのプリザーブドフラワー。花屋を何軒も探し回り、ようやく巡り会えた納得の一品だ。「わぁ〜、キレーだね。ありがとう♡」花を育てるのが大好きだった義父母。一軒家からマンションに引っ越した後は、鉢植えの花を育てながらも、億劫になってきた気配もあった。これなら暖かな部屋の中で花を愛でられる、というチョイスだ。

Hamamatsu5Hamamatsu6末年始の大事なお約束がもう一つ。年末のご近所温泉旅行。日頃はほとんど外食もせず質素に暮らす義父母が、年に1回だけのささやかな贅沢として、娘と一緒に宿泊することを楽しみにしているのだ。宿はいつもの「ウェルシーズン浜名湖」という洋室がある温泉ホテル。加えて今年はバリアフリーの客室をチョイス。大浴場などの館内の各施設へのアクセスも良く、膝が悪い義母の負担も軽減できる。この宿の予約と宿泊代の支払だけは、敢えて義父母にお任せ。チェックアウト後にありがとうとお礼を言えることがお互いにきっと嬉しいのだ。そして、私の年始のお楽しみである「割烹 弁いち」のお節料理はお気楽夫婦が支払う。このバランスがマスオさんとサザエの気配り。

Hamamatsu7Hmamatsu8旦の午後、同窓会に参加するため一足先に東京に戻る。車窓に余りに見事な富士山が現れ、思わず撮影。富士山好きの義父母に見て欲しいからとお気楽妻に画像を送る。独りで眺める富士が“家族の富士”になる。富士の名は“不尽”に通じ、その大きさや美しさが尽きないという意味であり、“不二”とも呼ばれ、2つとないほどの山という意味になる。誰もがその姿を見れば、そんな気持になる。自宅に戻り、デパ地下で買ってきたオードブルを、せめてもと小さな器に盛り付け並べてみても、独りで味わう食卓は淋しい。お気楽妻と共に義父母と過ごす年末年始の時間は、毎年同じように過ぎて行く、ごくありふれた日々。けれども、とてもありがたい時間なのだと実感する。

と何年、こうやって年末年始を一緒に過ごせるかなぁ」お気楽妻が零すことばは、実の親のことだけに遠慮がなく、リアリティがあり、切実でもある。だからこそ、マスオさんはサザエさんと共に浜松を訪れる。可能な限り。彼らがお気楽夫婦の記憶の中にしか住めなくなる前に。私の父母が住む場所を訪れる前に。

酔い年をお迎えください♬「馴染みの店たち、その2」

Tetra1Tetra2日はNO残業DAYなんです。行きます!」桜上水の「魚の寄り処 てとら」に行かないかというメッセージを送ると、肉部の部長からすぐに返信があった。「てとら」は店名通りに魚と肴が美味しい、居心地の良い小料理屋。年末にご挨拶に伺うべき店の1軒だ。残業で遅いお気楽妻を待つ間、おやぢ2人でサシ飲み。福を呼ぶ酒「赤福助」を温燗で飲みつつ、絶賛婚活中の彼の近況を聞く。「うまいっすねぇ」ん、来年は福を呼ぶ歳になると良いねとぐびり。刺身をツマミに「万齢」をぐびり。遅れて登場した妻と乾杯!「惣邑」をぐびり。体重減を祝って「みむろ杉」「達磨政宗」をぐびり。この店は日本酒のラインナップも豊富で嬉しい。今年も美味しく飲ませていただいた。

Asign2Asign1しい!ご一緒します」友人夫妻と行くはずだった芝居のチケットが、友人妻の急病のため宙に浮いた。アクティブでフットワークが軽く、芝居に興味があって…と代打候補を探して同行することになったのは、前職で一緒だった(当時の)社長秘書嬢。会場は下北沢のスズナリ。「リリパットアーミーⅡ」の『天獄界』という30周年記念公演だ。終演後、シモキタで芝居と言えば、いつもの泡盛BAR「Aサインバー2号店」に向かう。「あ、今日も芝居の帰りですか」と店主に迎えられる。いつものようにオリオン生をぐびり。料理のオーダーもいつも通り。クーブーイリチー、カリカリポーク…。2杯目は泡盛。その日の気分は瑞泉のロック。芝居の余韻と共に3杯目は…と深酒。

Ichigo1Ichigo2末のスカッシュレッスンの帰りに立ち寄ったのは「鮨いち伍」。年末のご挨拶は欠かせないお気楽夫婦御用達の寿司屋。というよりは、この店以外の寿司屋にここ数年は行ってさえいない。そう言えば去年のクリスマスイブには、敢えてこの店に来たのだった。メリークリスマ寿司。クリスマスイブにウチで良いんですか?と大笑いしたその日の大将の笑顔が忘れられない。良いんです。カウンタのみ8席だけの小さな店。基本的にはお任せ。何も聞かれずに、寿司台に優しく置かれる見目麗しい握りを心踊らせいただく。どのネタにも丁寧な仕事が施され、ネタによって柚子と醤油、煮切りなどを纏っている。繊細で美しく旨い寿司。そんな至福の時間を味わえることに感謝。

Honjoh1Honjoh2賀 本城」もお気楽夫婦にとって大切な店。本城さんが二子玉川の「たん熊北店」にいらした頃から、10年以上のお付き合い。この夏には、本城ご夫妻(ご夫婦揃って下戸)が沖縄に行くとのことで、後輩夫婦が経営するカフェ「サンスーシィ」を紹介させていただき、美味しかったと喜んでいただいた。秋には恒例(4年目)の鮎づくし。大切な友人たちを誘って開催するイベントになった。そして年末のご挨拶は、酒豪女子と母上とご一緒に。毎年のように2人で旅行をする仲良し母娘。京料理の名店「用賀 本城」は、京都好きでもある彼女たちとご一緒するに相応しい店だ。その日もセイコ蟹を始め、冬の味覚を堪能した。また来たいわ!というご母堂のことばが最大の賛辞。

…と、あっという間に年末。挨拶すべき馴染みの店は全て訪れた。そして仕事納め。ふぅ。それでもまだお気楽夫婦にとって、年末に最も大切な“仕事”が妻の故郷浜松で待っている。地元のスポーツクラブの仲間たちと“スカッシュ納め”を行い、義母の喜寿のお祝いの宴、そして義父母と共に年末の温泉旅行という一年を締めくくる恒例のイベントだ。さらには、大晦日に「割烹 弁いち」のお節を受け取れば、2016年が終わる。今年もいつものように良い年であり、酔い年だった。多くの店に、友人たちに感謝。来年もどうか良い(酔い)年となりますように♡

今年もお世話になりました♬「馴染みの店たち」

Endoh1Endoh2年一年お世話になりました。と、営業マンがカレンダーを抱え(紙袋に何本も入っているからすぐ分かる)客先へ挨拶に回る姿が目に付く年末。街にクリスマスソングが流れ、イルミネーションが溢れ始めると、何となく慌ただしく気持ちが逸る。何かやり残したことはなかったか。お気楽夫婦の年末ご挨拶先は、お世話になった馴染みの飲食店。師走の声を聞くとすぐに、お気楽妻がせっせと訪問先リストを書き出す。友人たちとの会食の約束に当てたり、ジムで走った後、芝居の帰りなどと、自分たちのスケジュールと店の組合せをパズルのように嵌めていく。美味しい料理と旨い酒を味わい、愉しく心地よく過ごせたことに感謝しお礼を伝えるための、とても大切な年末のルーティーン。

Endoh3Endoh4泉の「遠藤利三郎商店」は開店3周年のお祝いを兼ねて、かつてのスカッシュ仲間(現在はすっかりゴルフプレーヤー)の友人と共に訪問。OPEN前から話題だった「ワインアパートメント」の1階にできたワインバー。吹き抜けの2階まで壁一面に並ぶワインボトル、カウンタの上に美しく吊るされたワイングラス。そんな店内を見渡すだけで心浮き立つ気分。そして見目麗しく美味しい料理、何種類も用意されたグラスワイン。顔なじみのスタッフにワインを選んでもらいながら、友人とお芝居談義、スポーツ談義、そして恋話。居心地の良いスペースでリラックスして過ごす時間が嬉しい。お気に入りの店に、気のおけない友人たちをご案内できる幸福。今年もホントにお世話になりました。

Trois1Trois2陰神社前の「ビストロ トロワキャール」では全日本スカッシュ選手権の慰労会を兼ね、スカッシュ仲間(と呼ぶにはおこがましいが)たちと食事会。全日本通算4度の優勝の千夏は惜しくも今年はベスト4、智子は本戦出場と健闘。そんな2人は、パン♡LOVE、肉食女子、デザート好き。彼女たちにぴったりの店だ。「わぁ〜っ!このパン焼き立てで美味しい!」「オードブルすごいキレー!うわ、これ美味しい!何でしたっけ?」ふふ。その初々しいリアクションが可愛いぞ。いつものオードブル盛合せは少しづつ料理が入替わり、安定の美味しさと嬉しい新たな美味しさの一緒盛り。今回は定番のフロマージュドテットと、新顔の生マッシュルームのサラダが絶品の味。メモメモ。

Trois3Trois4って、メンタル強くないですよね」スカッシュは強くてもお酒は弱い(あれ?ちょっと顔が赤いぞ)千夏が零す。確かに学生時代の彼女はメンタルに課題があったけれど、今はどうなんだろう。2001年の初優勝以降、全日本の舞台で女子では最多の14回もファイナリストとなった彼女。内面は変わっていなくても、きっと周囲からはメンタルが強そうに見えるのだろうなぁ。「これ、やばい。すごい美味しいですね」「初めて食べたけど、いちばん美味しい!」15年以上日本のスカッシュ界を牽引してきた重責を束の間下ろして(智子はダイエットを束の間忘れ)鹿の肉を頬張る。牛、豚、鹿、3種の肉のローストは周年イベントのようなスペシャルメニュー。シェフの聡ちゃんに感謝。

年もよろしくお願いします」今年もお世話になりましたの後は、そんな挨拶が続く。ゆく年の親交に感謝しつつ、来たる年の変わらぬ交友を互いに祈る。嬉しいことだ。ありがたいことだ。馴染みの店も、友人たちも。「で、次の週末に行く店はねぇ…」妻がリストを眺めながら続ける。さて、どなたとご一緒しようか。

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SINCE 1.May 2005