幸福の17貫(前編)「鮨いち伍」千歳烏山

Ichigo1Ichigo2Ichigo3は食べたい。けれども、中途半端な鮨は食べたくない。それがお気楽夫婦のスタンスだ。とは言え、銀座辺りの高級店では敷居が高く、回る鮨では淋しい。ホントに美味しい!と思えるキチンとした店で、気軽に食べたい。わざわざ感がなく、普段使いができる店。常連客だけが席を占拠し、一見客が入り辛いような店は避けたい。鮨を握る大将との距離はほどほどで、季節のネタが揃っていて、食材を活かす仕事が施されている。それが2人の理想の鮨屋だ。

Ichigo4Ichigo5Ichigo6きつけの鮨屋に馴染みの板さんがいなくなり、新たな理想の鮨屋を探し、何軒も食べ歩き、ようやく出会ったのが7年前。「鮨いち伍」というご近所の店。開店早々の新しい店だった。鮨の味は申し分なく、料金も手頃。カウンタ席だけのこぢんまりとした店。最初は大将との距離感を測りかねていたが、訪問回数を重ね、店の空気が解け、居心地の良い店になった。以来、他の鮨屋には足を向けず、年に数回という頻度ではあるものの、ひたすら通い続けている。

Ichigo7Ichigo8Ichigo9しい!そろそろ行きたかったんですよ」友人たちを伴って出かけることが多いお気楽夫婦。その日の同行者はアスリート女子。何度か目のフルマラソンを完走し、ホッとできたタイミングでお誘いに応えてもらった。ビールで乾杯した後、さっそく握ってもらう。と言うより、近頃は何も言わずに大将にお任せ。最初はヤリイカ。隠し包丁の上にひと刷毛の醤油。赤酢を使ったほんのりピンクの鮨飯と山葵の緑が透けて見える。美しい。そう、端正な鮨なのだ。

Ichigo10Ichigo11Ichigo12鯛の昆布締め、甘鯛と別嬪さんの白身の握りが続く。昆布締めのタイはねっとりと旨く、嫋やかな甘鯛は繊細な美味しさ。堅めの鮨飯は絶妙に口の中で解け、ネタと素晴らしいハーモニーを奏でる。昆布締めの白身好きの妻はうっとり恍惚状態。これは日本酒だ!春鹿をお願いする。ん、旨い。辛口の酒が良く合う鮨だ。続いて初鰹、マグロの赤身漬、中トロ、大トロのトリオ。赤身のクリーンアップ。ネタの味わいの違いを楽しみ、丁寧な仕事を味わう。幸福の味。

後半に続く。


シェフは修行中!?「トロワキャール料理教室」

TQ1TQ2IGA−IGAはもちろん参加だよね♬」半ば強引にスカッシュ仲間の奥さまに誘われたのは、馴染みのビストロ「トロワキャール」で開催を依頼したという料理教室。私はすでに何度かカウンタで食事をしながら、料理のアドバイスをしてもらっていたので、すっかりシェフの聡ちゃんの弟子のつもりだった。だから、まぁ参加しないでもないよとエラそーに答えると、意外なことに妻が「私も行く!」と参加表明。だったら一緒に行くかと何人かのスカッシュ仲間と参加が決定した。週末のランチタイム、店を貸切にしていただき、カウンタでシェフの料理のデモを見ながら解説を聞き、その後に実食というスタイル。料理のレシピは、店のマダムまゆみちゃんが準備してくれていた。

TQ3TQ4日は肉料理、サラダ、魚料理とひと通り作って行きます」聡ちゃんの挨拶で、料理教室スタート。最初に時間がかかるレンズ豆を煮る。どこの豆が使いやすいかなど、実践的なアドバイスに生徒たちは頷き、メモを取り、写メを撮る。ふんふん、レンズに似ているからレンズ豆なのではなく、レンズ豆に似ているから“レンズ”と呼ばれるようになったんだ、“豆”知識も面白いぞ。ヴィネグレットソース、キャロットラペ、紫キャベツのマリネなど、ビストロ808でもすぐに使えそうなノウハウを伝授される。そうか、色落ちしないようにするには蒸し煮か。目から鱗のアドバイスだと関心したところで、そろそろビールください!メモは妻が丁寧に取っているからお気楽な受講生。

TQ5TQ6杯!楽しかったねぇ♬」さっそく教えてもらった料理の“お手本”を味わう。パテと一緒に供されたマリネの調理過程を詳しく見て、コツを聞いているから、今までと同じ料理なのに味わいが違う。さらに美味しい。なるほど!と頷きつつ、頭の中で復習をしながら味を確かめる。「前に行った店のキャロットラペが美味しくなくって、というかこの店が基準になってるからね」スカッシュ仲間の発言に全員が頷く。白身魚のポワレに合わせるのはフキノトウのソース、新玉ねぎのピュレ。絶妙な味付けと組合せの、春の味と香りが口の中に広がる。途中でそれぞれの味見はさせてもらったが、完成した料理のハーモニーは一段と素晴らしい。さすがプロ!さすが師匠!

TQ7TQ8ペ作ってみた!ワックスなしオレンジが欲しいなぁ」「レンズ豆洗わずに煮ちゃったけど、火を通すから大丈夫だよね」帰宅した受講生たちが、さっそく実践した報告のメッセージを交わす。何しろお土産にレンズ豆とヴィネグレットソースをいただいたのだから、参加メンバーは作ってみたいモード全開だ。妻が残業の夜、ビストロ808のシェフ(私のことです)も自主トレ開始。キャロットラペ、紫キャベツ、レンズ豆のサラダとひと通り作り、ひとり味見をしてみる。ん!んまいぞっ!特に秘伝の紫キャベツはなかなかのものだ。クミンシードが良く効いている。カレーに福神漬けの代わりに紫キャベツのマリネを食べると言っていたシェフのコメントを思い出し、深く納得。

キャベツ、なかなか良いんじゃない」相変わらず上からコメントだけれど、お気楽妻の評判も上々。これで次回のビストロ808開店に、ヴァージョンアップした料理をお出しできる。ちょっとしたアドバイスで、ステップアップできるのは料理も仕事も同様だ。「最近、料理や家事が仕事みたいだよね」と妻。まぁ、お代金をいただく仕事にはできないけれど、それも楽しいかもしれないね。

IGA別邸?「パークハイアット東京」

PH1年、“私の”誕生日には都心のホテルに宿泊し、友人たちと一緒に食事をするというのが妻からのプレゼント。誕生日にかこつけて、ホテルジャンキーの“妻が”楽しみにしているイベントでもある。今年の妻のチョイスは新宿の「パークハイアット東京」。開業当時から「NYバー」などに足繁く通い、何度か宿泊もし、結婚パーティも行ったお気楽夫婦のお気に入りホテルだ。お気に入りの理由のひとつは、スモール&ラグジュアリーであること。密やかにこぢんまりとしたエントランスから、シュッとしたデザインのエレベータホールを通り、41階でエレベータを降りると、最初のサプライズ。ピークラウンジの天井から差し込む自然光。そして植栽。週末の午後、賑わっているけれど、客室数が全177室と少ないこともあり、某国の団体客はいない。ここもポイントが高い点。ジランドールを横目に歩き、スタイリッシュなライブラリーを通る頃には、誰しもこのホテルの魅力に虜になっているはず。

PH4さなデスクと椅子が3セットほどあるスペースがフロント レセプション。隠れ家ホテル的な佇まい。小さな規模のホテルだからこそ可能なラグジュアリーな演出。チェックインの後は、地道に貯めたハイアットのポイントを使ってアップグレードしたパークスイートへ。部屋の広さは100㎡!自宅の倍近くある、ゆったりとした間取り。「IGA-IGAん家の別邸みたいだね!」「ほんと、ゼータクだけど、何だか落ち着く感じ♬」お招きした役員秘書と酒豪女子が声を揃える。それは嬉しい。自宅のリノベーションを行った際のキーワードのひとつは、ホテルのスイートルームのような…というものだった。そこでイメージしたホテルがこのパークハイアット。豪華なホテルにありがちなデコラティブな装飾はなく、クールなデザイン。リビング、ベッドルーム、バスルームと歩いてぐるっと回れるレイアウトは我が家と同様だ。

PH5の日の食事は、部屋のダイニングテーブルで。ホテル1階にある「デリカテッセン」で買い込んで、支払いは部屋付でとお願いしたところ、「よろしければ時間をご指定いただければ、お皿に盛り付けてお部屋にお持ちしますよ」とスタッフの嬉しいおことば。天使降臨!紙皿などを持参し、自分たちで盛り付けをしようと思っていたところに、堂々とオフィシャルな(?)部屋飲みができることになった。素晴らしい。ルームサービスのスタッフが、温かい料理は器を温め、サラダは冷やした皿の上でシャキシャキ状態で運んで来てくれる。その上、ホテルのダイニングやルームサービスでいただくよりもリーズナブル。時間もゆったり。せっかくの広い部屋も大勢でたっぷり味わえる。これこそがホテルの部屋飲みの醍醐味だ。「乾杯!ひと月遅れの誕生日おめでとう!」乾杯のスパークリングワインも持ち込みだ(笑)。

PH7ラダ美味しいよ♬」買い込んだデリに加え、酒豪女子が持参してくれた手料理でテーブルの上はいっぱい。フォークなどのカテラリーや取り皿も事前にお願いしてあったから、正しいホテルセッティング。ワイングラスもキチンと揃っている。レストランでのディナーと比べても遜色なし。さらに、同じ2月生まれの役員秘書が、自らバースデーケーキを買って来てくれた。キャンドルに火を付け、一緒に吹き消す。スイーツ番長の彼女が選んだケーキだから、文句なしに美味しい。部屋にはBGMにと持ち込んだ、最近お気に入りの「バックナンバー」の曲が繰り返し流れる。ラグジュアリーな部屋と、美味しい料理と、何よりも友人たちとの愉しい時間。なんだか嬉しい夜だ。楽しい夜だ。声に出してそう言うと、「さっきから何度も言ってるよ」と妻から突っ込みが入る。どうやら幸福に酔っ払ってしまったらしい。

PH8はよー♬エッグベネディクトだよ!」翌日、妻が友人たちに画像入りのメッセージを送る。ルームサービスにお願いした卵料理とサラダ、昨夜食べきれなかった(持ち込んだ)イチゴが朝食メニューだ。2日酔いもなくすっきりと目覚め、窓の下に広がる景色を眺めながら元気に朝食を摂る。ゼータクな時間だ。「さあ、ジムで走るよ!」さらに元気な妻がそう宣言する。このホテルのもう一つの魅力が45階にあるスパ「クラブオンザパーク」だ。高いガラスの天井と360度全ての方向がガラス窓という、実に開放的な施設。プール、ジム、スタジオがあり、そのいずれからも“下界”を眺めることができる。まさしく日常を忘れることができる、ハレのスペースだ。前日に続き、1時間ほど汗を流す。気分爽快。また頑張って仕事して、来年も来なきゃねと妻に問うと、「うん、仕事してなくても来たい!」まぁ、そうなんだけどね。

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SINCE 1.May 2005