優しい気持ちになれる店で♬「ビストロ トロワキャール」

Trois1Trois2しぶりぃ!」「元気だった?」馴染みの店「ビストロ トロワキャール」に忘年会という名目でスカッシュ仲間が集合した。サーモンのミキュイ、絶品オードブルの盛り合わせからスタート。相変わらずひとつひとつが丁寧で繊細な仕上がりの料理に合わせ、シャンパンをボトルでオーダー。さらには白ワイン。飲むほどに饒舌になり、美味しい料理に会話も弾む。シェフの聡ちゃんがオススメしてくれる肉料理をオーダーし、赤ワインをいただく。「酔っ払う前に、IGAIGAのお題をやろうよっ!」事前にメンバーに連絡していた企画は、忘年会らしい振り返り企画「今年の一文字」ではなく、来年どんな年にしたいか、「来年の一文字」をコメント付きで発表すること。さてと。

Trois3Trois4は“継”、継ぐという字かな」何人かの発言の後に妻が発表した。自分だけが担当していて、他のスタッフにとっては“ブラックボックス”になっている業務を誰かに引き継いでおかねば、ということらしい。すぐに退職する訳ではなくても、多くのスタッフに伝えられない職人的な仕事は、一子相伝(笑)で継承する必要があるのだろう。そして私は「育」という一文字。育てるの「育」ではなく、育む。育むとは、包み込んで大切に育てるという意味。子供がいないお気楽夫婦にとって、育む対象は子供ではなく、友人たちとの関係であり、夫婦の関係。実は、その日の会食も単なる忘年会ではなく、大切な友人のひとり“マダム”が、予想外の展開で赴任先から帰国したお祝いだ。

Trois5Trois6夏の頃、その日と同じトロワキャールで、ほぼ同じメンバーで彼女の海外赴任の壮行会を開催した。けれども、渡航先の某国の情勢のために早々に帰国。来年には渡航先に遊びに行くぞ!と言っていたのにすっかり肩透かし。とは言え、いつでも会える友人の帰国はめでたいぞ!とお祝いするのが忘年会の裏企画。ジューシーなシェフ自慢のステーキをいただいた後、実に絶妙なタイミングで、サプライズ企画“おかえりなさい!マダム”ケーキの登場。店のマダムまゆみちゃんに、こっそりお願いしてあったケーキだ。仲間の歓声と、あらためての「おかえりなさい!」の声にマダムの目が潤む。「みんな、ただいま。どうもありがとう」泣いてもキレーな美人さんはこんな時に得だ。

Trois8Trois7つの間にか何本も空いたワインボトルが並ぶテーブルにシェフの聡ちゃん、マダムのまゆみちゃんが揃って顔を出してくれた。彼らの温かさと明るいキャラクターがこの店の柔らかな空気を作っている。この店だからこそ、リラックスして味わえる。ワイワイと気兼ねなく(オトナの節度は持ちながら)話ができる。その居心地良さに甘え、その日も最後の客になった。そうなのだ。大切にし、育んでいきたいのは仲間たちとの関係だけではなく、こんな店との関係だ。この店で味わうべきは、料理だけではなく、気のおけない仲間たちと過ごすこんな嬉しい時間と空間だ。どちらも人を優しい気持ちにしてくれる、大げさに言えば、人が元気に生きていくのに必要なものだ。

年会はビストロ808で!」その日参加したメンバーからのリクエストで、新年早々に「ビストロ トロワキャール」の姉妹店(と言うにはおこがましいが)ビストロ808の開店が決定した。師匠の店と同様に、心を込めた料理とおもてなしのココロで、お待ちしています♬

幸福な気持になる料理♬「用賀 本城」

Honjo1Honjo2べるといつも幸せな気持ちになるんだよね♬」本城さんの料理を味わう度に妻は微笑む。初めて二子玉川の「たん熊 北店」で出会ってから約10年、独立されてから6年余り、その間ずっと季節ごとに、通算数十回の幸福を2人で味わってきたことになる。そして、その幸福の味を共有したいと思う友人たちを誘い、ご一緒してきた。2人が訪れた回数の大半は友人たちとの会食だった。そう思い指折り数えると、おそらく20人以上の友人たちと一緒に口福を味わったことになるようだ。こっそり2人だけで伺いたい秘密の店ではなく、仲間と一緒に楽しく味わいたい店。あの人をお連れしたいと思わせる店。なぜだろうと考えてみたら、答えはすぐに出た。その秘密は、カウンタ席にある。

Honjo3Honjo4城さんの出身「たん熊 北店」は、カウンタ割烹の先駆けである京料理の名店。本城さんの料理は、たん熊で培ったであろう伝統の技の上に、オリジナリティ溢れる料理が新たに生まれ、選び抜いた器の上で輝いている。本城さん独自の味があり、彩があり、演出があり、そして何よりも料理に対する愛情がある。人懐っこい笑顔の本城さんとの会話がスパイスになり、料理の味を一段と引き立たせる。カウンタの向こうの調理場がエンタテインメントのライブステージになり、観客である我々を楽しませる。これこそがカウンタ席でなければ味わえない愉しみだ。だからこそ、予約はカウンタ席が最上であり、中でも本城さんと相対する左端の席こそがベストシートとなる。

Honjo5Honjo6望の本城デビュー!嬉しいです」その日ご一緒したのは、スカッシュ仲間のご夫婦。ワインをはじめお酒全般が好きで、美味しいモノが大好きな2人。お連れするにはぴったり。その上、予約できたのはカウンタ左側の4席。デビュタントにとってはこれ以上ないベストシート。まずはビールで乾杯。「うわ〜!キレーで繊細な味ですねぇ♬」先付けの香箱ガニでいきなり舌の上に鋭いパンチをくらい、軽くダウン。続く生うにとあん肝の酢の物で、食材の組合せの絶妙なバランスに早々にTKO寸前。ここで素早く日本酒に移り体制を整える。ところが、牡蠣と白子の餡掛け、そしてお造りと攻め続けられ、軽く炙ったメジマグロを柚子胡椒でいただくスモーキーな一品に悶絶。KO。

Honjo7Honjo8すぎです、どの皿も」「あざっす」飲むほどに饒舌になり人懐こくなる友人夫妻に、本城さんもリラックスした笑顔で応える。彼らのデビューは上々だ。椀モノではダイコンとニンジン紅葉の下に沈むのはフカヒレ、ノドグロの焼き物の皿の上に散った板ウニのイチョウ、見目麗しく箸で崩すのが惜しい京料理の数々。「え?これ食べないの?」「大事に取ってあるの!」板ウニを焼いたイチョウは夫婦間で取り合いバトルが勃発。次々にお銚子が空になっていく。そしてアワビと貝三昧で少食のお気楽夫婦は終了。「お二人はご飯とデザート行かはりますか」「もちろんです!」友人夫妻が声を揃える。そして、焼きフォアグラ乗せ青海苔餡掛けご飯に声を震わす2人。幸福そうだ。

ぇ〜っ!持ってないの?」「そっちこそ!」本城ご夫妻に見送られ、今年もお世話になりましたと年末の挨拶をして店を出る。ところが、お互い相手の財布を期待していた2人の所持金不足が判明。何とも最後まで愉快な2人だ。まさか寸借詐欺でもあるまい。では、来年お会いする時までお貸ししよう。「夢のような本城デビューから、借金までしてしまい…こんなダメ夫婦ですが、これからも宜しくお願いします」翌日届いたメッセージにお気楽妻が微笑んだ。次回また、あの幸福のカウンタでご一緒に♬

好きな事しかしない旅(その2)「龍景軒(LUNG KEEN HEEN)」

HongKong1HongKong2港に行く度に、必ず訪ねる店がある。「龍景軒(LUNG KEEN HEEN)」 という広東料理の名店。香港旅行の計画の際は、航空券やホテルよりも早く、最初に予約を入れる。それだけの人気店。3泊4日、今回は定宿グランドハイアット香港のラウンジがリニューアルをしたのを勝手に記念(笑)した旅だった為、夕食1回だけの予約。ランチの予約はキャンセル待ち。夕食の際に2人が必ずオーダーするのは「白灼蝦(茹でエビ)」だ。新鮮なエビを茹で、唐辛子醤油をつけて食べるだけのシンプルな料理。だからこそ食材が勝負。頭を剥き、味噌をしゃぶる。殻を剥き、白く嫋やかな身をかぷり。旨っ!幸福な味が口いっぱいに広がる、至福の時間。あっという間に平らげ、満足の笑みを浮かべる絶妙のタイミングで熱々のおしぼりの交換。このサービスもこの店の魅力だ。

HongKong3HongKong4日は料理が遅れて申し訳ございません。どうぞ、こちらをお召し上がり下さい」エビを食べた後、その日は珍しく次の料理まで間が空いた。それを顔なじみのスタッフが気にして、最後にマンゴーサゴーを出してくれたのだった。「明日もWaiting listに入ってますよね。12時からならお席をご用意できます」ひゃっほぉ!声を出さずに妻が小躍りするのが分かった。「これで明日はアワビのパイが食べられるね」絶品デザートを食べながら妻の目が輝く。翌日、大好物の「アワビのパイ」、「豚肉の腸粉(チョンファン)」などを堪能。すると、前夜にも担当してくれたスタッフがオーダーしたピーナッツを模した可愛いデザートと一緒に、もう一皿運んで来た。「昨夜はマンゴーだったので、今日はキウイをお召し上がり下さい」ひゃっほぉ!妻が連日の小躍り。招福。

HongKong5IMG_7120はゴム麺食べられなかったから、嬉しいなぁ♬」妻が満麺の笑み。ゴム麺と2人が呼んでいるのは、輪ゴムのような歯触りの香港麺。香港の市中の麺粥店では一般的な麺なのだけれど、お高めのレストランではなかかなお目にかかれない。妻が笑顔になったのは、MTR湾仔駅の近くにある「香港仔茶餐廳」という庶民的な店。香港の食の魅力は、ホテルの中にある星付きの店だけではなく、こんな気軽なB級グルメにもある。オーダーの仕方は、指差し。インチキな広東語読みで発音はしてみるけれど、きっと店のスタッフは聞いてはいない。「はい、○○と××ね」と、(おそらく)正しい広東語で確認される。広東語と英語表記のメニューを見ながら2人がオーダーしたのは、招牌雲呑麺(エビ雲呑麺)と美國肥牛肉撈麺(牛肉焼きそば)。これがシンプルに旨いのだ。

SQ1SQ3ころで、お気楽スカッシュプレーヤーでもある2人。香港旅行の公式?な目的は、「香港スカッシュOPEN2015」という大会を観戦すること。世界のトッププレーヤーが集結する伝統ある国際大会だ。日本で事前にチケットを予約し、試合会場である香港スカッシュセンターに向かった。準々決勝男女各4試合が行われる、見所の多い大会6日目。満足ランチの後にのんびりと会場に着くと、コート横の席しか空いていない。とは言え、選手控え席近く、お気軽に観戦するにはぴったり。白熱した何試合かを観戦した後は、夕食の予約時間が迫っていたため、会場を出る。するとそこに大会NO.2シードのニック・マシュー選手が!撮影をお願いするとOKと笑顔で応えてくれた。好感度高し。こんな風にTOP選手が身近な感じはマイナースポーツの良いところ。

年もまた来なきゃね♬」妻が満面の笑みでつぶやく。スカッシュを観戦に、なのか。それとも美味しいモノを食べに、なのか。「両方に決まってるじゃない」どうやら、こんなお気楽な生活は来年も続きそうだ。

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SINCE 1.May 2005