好きな事しかしない旅(その2)「龍景軒(LUNG KEEN HEEN)」

HongKong1HongKong2港に行く度に、必ず訪ねる店がある。「龍景軒(LUNG KEEN HEEN)」 という広東料理の名店。香港旅行の計画の際は、航空券やホテルよりも早く、最初に予約を入れる。それだけの人気店。3泊4日、今回は定宿グランドハイアット香港のラウンジがリニューアルをしたのを勝手に記念(笑)した旅だった為、夕食1回だけの予約。ランチの予約はキャンセル待ち。夕食の際に2人が必ずオーダーするのは「白灼蝦(茹でエビ)」だ。新鮮なエビを茹で、唐辛子醤油をつけて食べるだけのシンプルな料理。だからこそ食材が勝負。頭を剥き、味噌をしゃぶる。殻を剥き、白く嫋やかな身をかぷり。旨っ!幸福な味が口いっぱいに広がる、至福の時間。あっという間に平らげ、満足の笑みを浮かべる絶妙のタイミングで熱々のおしぼりの交換。このサービスもこの店の魅力だ。

HongKong3HongKong4日は料理が遅れて申し訳ございません。どうぞ、こちらをお召し上がり下さい」エビを食べた後、その日は珍しく次の料理まで間が空いた。それを顔なじみのスタッフが気にして、最後にマンゴーサゴーを出してくれたのだった。「明日もWaiting listに入ってますよね。12時からならお席をご用意できます」ひゃっほぉ!声を出さずに妻が小躍りするのが分かった。「これで明日はアワビのパイが食べられるね」絶品デザートを食べながら妻の目が輝く。翌日、大好物の「アワビのパイ」、「豚肉の腸粉(チョンファン)」などを堪能。すると、前夜にも担当してくれたスタッフがオーダーしたピーナッツを模した可愛いデザートと一緒に、もう一皿運んで来た。「昨夜はマンゴーだったので、今日はキウイをお召し上がり下さい」ひゃっほぉ!妻が連日の小躍り。招福。

HongKong5IMG_7120はゴム麺食べられなかったから、嬉しいなぁ♬」妻が満麺の笑み。ゴム麺と2人が呼んでいるのは、輪ゴムのような歯触りの香港麺。香港の市中の麺粥店では一般的な麺なのだけれど、お高めのレストランではなかかなお目にかかれない。妻が笑顔になったのは、MTR湾仔駅の近くにある「香港仔茶餐廳」という庶民的な店。香港の食の魅力は、ホテルの中にある星付きの店だけではなく、こんな気軽なB級グルメにもある。オーダーの仕方は、指差し。インチキな広東語読みで発音はしてみるけれど、きっと店のスタッフは聞いてはいない。「はい、○○と××ね」と、(おそらく)正しい広東語で確認される。広東語と英語表記のメニューを見ながら2人がオーダーしたのは、招牌雲呑麺(エビ雲呑麺)と美國肥牛肉撈麺(牛肉焼きそば)。これがシンプルに旨いのだ。

SQ1SQ3ころで、お気楽スカッシュプレーヤーでもある2人。香港旅行の公式?な目的は、「香港スカッシュOPEN2015」という大会を観戦すること。世界のトッププレーヤーが集結する伝統ある国際大会だ。日本で事前にチケットを予約し、試合会場である香港スカッシュセンターに向かった。準々決勝男女各4試合が行われる、見所の多い大会6日目。満足ランチの後にのんびりと会場に着くと、コート横の席しか空いていない。とは言え、選手控え席近く、お気軽に観戦するにはぴったり。白熱した何試合かを観戦した後は、夕食の予約時間が迫っていたため、会場を出る。するとそこに大会NO.2シードのニック・マシュー選手が!撮影をお願いするとOKと笑顔で応えてくれた。好感度高し。こんな風にTOP選手が身近な感じはマイナースポーツの良いところ。

年もまた来なきゃね♬」妻が満面の笑みでつぶやく。スカッシュを観戦に、なのか。それとも美味しいモノを食べに、なのか。「両方に決まってるじゃない」どうやら、こんなお気楽な生活は来年も続きそうだ。

好きな事しかしない旅「グランドハイアット香港」

HongKong1HongKong2めてその街を訪れた時も、ヴィクトリアハーバーに面するビルの壁面一杯に、派手なクリスマスイルミネーションが輝いていた。街のあらゆる場所に人が溢れていた。1995年12月、返還前の香港は得体の知れないエネルギーに溢れていた。前年に九龍城砦は解体されたけれど、路地裏には怪しげな雰囲気が残っていた。それから20年、すっかり香港に魅せられたお気楽夫婦は、この冬に12回目の香港訪問を果たした。宿泊先は灣仔(ワンチャイ)にあるグランドハイアット香港。初めて訪れた際にも宿泊したホテルだ。違うのは部屋のグレード。オトナになった2人が宿泊するのはクラブフロアの客室だ。

HongKong5HongKong6ラブルームの最大の特典は、クラブラウンジの利用。2人が毎回のようにこのホテルに宿泊するのは、そのラウンジの魅力にある。そしてこの秋、各階で進められていたリノベーションの総仕上げとして、ラウンジが全面リニューアル。実は、この夏に宿泊した際にその情報を聞き、完成を待って再訪したお気楽な2人。30階にあるラウンジのフロントでチェックインした後、さっそくラウンジを訪れる。「わぁ〜っ!すごい」妻もその変わりように驚いた。ヴィクトリアハーバーを望む大きく明るい窓は以前のまま、使いやすいレイアウトに変わり、解放感溢れる広々とした快適スペースになった。

HongKong4HongKongウンジの魅力はサービスのレベルと質にある。朝食の料理の豊富さと美味しさはもちろん、カクテルタイムが素晴らしい。フレッシュなサラダ、生ハム、スモークサーモンなどのコールドミール、何種類かのオードブル、ホットミール、豊富なチーズ、フルーツ。小食な2人はここで夕食をコースで食べられるぐらいの品揃え。そして、名物“わんこシャンパン”だ。馴染みのスタッフたちにお帰りなさい!何を飲むかと聞かれ、シャンパンと答えた後は、飲み干しそうになる絶妙なタイミングでスタッフが現れ、並々と注いでくれる。無限に続く至福の時間。実際、到着初日はラウンジで夕食を済ませた2人。

HongKong3HongKong8適なジムもこのホテルの魅力。毎朝たっぷりの食事を摂り、午後には美味しい中華料理を堪能するために、午前中はジムに籠りたっぷり汗を流す。ジムの受付でロッカーキーを受け取り、妻がお気に入りだという中庭の緑のアーケードを通り、ロッカールームで着替え、最新のマシンに変わったジムで汗を流した後は、シャワーを浴びながらウェアを洗濯し、水着用の脱水機でちゃっかり脱水。そして(部屋のビールは高くて飲めないので)市中のコンビニで買ってきた缶ビールを飲みながら、洗濯物を部屋干し。このホテルに暮らしているような毎日のルーティンワーク。それも楽しい。それが楽しい。

回思うんだけど、ここに住みたいなぁ」妻がつぶやく。馴染みのスタッフとの挨拶や会話、快適な客室、素晴らしい眺め、美味しい料理、会計を気にせずに(笑)飲むお酒、歩いていけるジム、スパ、プール…。お気に入りのホテルを味わい尽くす心地良い時間が流れる。朝目覚めてから眠りにつくまで、1日中好きなことしかしないストレスフリーな生活。「日本にいてもストレスはないんだけどね」妻のゼータクな呟きは、そう続いた。

上海がにの夜「萬来軒&BAR808」

Banrai1年も上海がにの季節になりましたね♬」毎年そんな書き出しで、お気楽妻から仲間たちにメールが送られる。“毎年”と書いたものの、ふと気が付いて過去の自分のブログを読む。すると、昨年はリノベーションのお祝い会、一昨年は上海がにの品質が良くないとのことで上海がに抜きで集まっていた。つまり、メンバーは同じではあるけれど、3年ぶりの“上海がにの会”ということになる。さらに、古い手帳で確認してみると、1999年から毎年開催している事が分かった。ということは、通算15回目の開催。すごい!17年の間、1組の友人夫妻はNYCに赴任し、帰国。仲間の1人は秋田に転勤し、秋田美人を娶って帰って来るはずだったのに叶わず、独身生活を続けている。そしてお気楽な2人は2000年に入籍し、晴れてお気楽な“夫婦”となった。

Banrai4えば、この17年の間に、参加するメンバーにもいろいろなことがあったのだ。もう1組の友人夫妻はマンションを購入し、愛猫たちと仲良く暮らしている。残念ながら1組の友人夫妻はご一緒できなくなってしまった。“同じ”と書いたものの、メンバーも変わり、メンバーそれぞれの暮らしも変わっている。今年もこうして集まることができたことは、ありがたいことなのだとシミジミ。そして変わらないのは、ご近所の名店「萬来軒」の絶品四川料理。調理担当のおじちゃんも、接客のおばちゃんも、すっかり歳は取ったけれど、高レベルの味と気怠い接客は健在。「あぁ、いらっしゃい。あら5時からだっけ?」とおばちゃんに迎えられ、「上海ガニはオス、メス合わせて1人1パイで良いですか?」とおじちゃんが厨房から確認しに来てくれる。

Banrai5杯!」ビールで喉を潤した後は、速やかに甕出し紹興酒に変える。上海ガニへの準備は始まっているのだ。ぷりぷり牡蠣の甘辛炒めも、香ばしい芝麻醬が利いた四川水餃子も、もちろん美味しいけれど、主役はあくまで上海ガニだ。大皿に乗った柿色の上海ガニが登場すると、きゃー!という歓声と共に、一斉に撮影タイム♬外子と内子をたっぷり抱えたメスがに、白子を抱いた大ぶりのオスがに、両方を一緒にいただくのは初めてだ。身を取り出す作業はカップルで、剥きながら食べる夫婦あり、全て剥き終えてからじっくり楽しむ夫婦(ウチです)あり。性格と夫婦の関係性が露見する。その間も間断なく会話と笑い声は続き、「わぁ〜、オスも濃厚で美味しい!」「やっぱりメスの内子と身を混ぜるのが良いな」などと感想が交差する。幸福な時間。

Banrai6海ガニを食べ終わると、自宅から持参したおしぼりが配られ、各自が持参した“カニフォーク”と“キッチンバサミ”が仕舞われる。友人たちが一斉に殻を剥き、身をほじることができるように、店が用意してくれるハサミ以外に自分たちで準備することが恒例となった。これら一連のお約束作業でメイン料理の蒸蟹の儀は終了。そしてその後、もう一つのメイン、麻婆豆腐が登場する。中国山椒のなんとも言えない芳しい香りが漂い、鼻腔を刺激する。何種類もの自家製豆板醤が絶妙に組み合わせられた、中毒性があり定期的に食べたくなってしまう、おじちゃん自慢の一品だ。「おばちゃん、白メシ!」ラガーマンだった友人(夫)が、美味しそうに丼飯を豪快に頬張る。痺れる辛さに頭のてっぺんから汗が出る。これが17年間変わらないこの店の味だ。

Banrai7味しかったぁ。おぢちゃん、ごちそうさまでした!」店を出た後は、2次会の「BAR808」に向かう。飲み足りない何人かにはよく冷えた白ワインを、飲まないメンバーには香り高い紅茶を。笑顔が続き、淀みない会話が続く。NYCに友人夫妻を訪ねた時の話になり、「シャインマスカットって初めて食べたけど美味しいね」「えぇ〜っ、何度か食べさせたよ!」というような夫婦の会話があり、スカッシュの話題になる。「うははは!お腹痛ぁい」と涙目になりながら笑い続け、夜が更けていく。「春にもまた集まろうよ!」と誰かが言い「そうだ、萬来軒に食べに行こう♬」と誰かが答える。“毎年”というのは、決して永遠に続くことではない。そうだね、こうして来年も皆で会えると良いね。今年の秋も、こんな風に上海ガニの夜が更けていく。

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SINCE 1.May 2005