未成年お断り?「ビストロ808 jr.」

Cafe808ストロ(Bistro)とは、気軽に酒を楽しむ小さなレストラン。世田谷の外れにある、不定期営業の「ビストロ808」も、もちろんワインを中心としたお酒を出す店だから未成年者はお断り。(ところで、「おことわり」を「おとこわり」とつい読んでしまう。「おこと教室」の看板も「おとこ教室」に見える、なぜ?)オトナである友人たちが集まる店。ところがある日、長女を出産したばかりの前職の後輩から予約が入った。スイカのようなお腹をした妊婦時代にご来店いただき、すっかりお気に入りになったとのこと。その上、2歳児の母である学生時代のスカッシュサークルの後輩も誘いたいとのリクエスト。もちろん、子供たちを伴っての来店希望。う〜む、お子様メニューはないし、どうしたものか。店の名前もファミレス系で「イガスト」に変更か?

Cafe8082チの子は凄く食べますが、オトナのメニューで大丈夫です」「ウチの娘はまだ食べられないので、私が2人分食べます!」それではと、子供向けに営業時間を日中にして、オトナ向けのレギュラーメニューで決定。クリュディテ3種盛り、パテドカンパーニュ、ブルスケッタ各種、カプレーゼなど、気軽に摘めるフィンガーフードを準備。「うわぁ〜!すごいおっしゃれ♬」2歳児の怪獣を抱きかかえてやって来た後輩母(母としては先輩)が唸る。2歳児はまだ初めての環境に慣れず、遠慮気味にあちこちをキョロキョロ。すると「ぶーぶっ」と本棚にあったミニカーを発見。かかったな。友人にもらったチョコに付いていたものを、わざと見つけやすい場所に置いてあったのだ。あげるよと言うと、嬉々として遊び始める。男の子は単純で分かりやすい。

Cafe8083くなりました!」8ヶ月になったばかりの娘を連れた、父母初心者の前職の後輩夫婦がご来店。「わぁ〜っ!無条件に可愛い」「やっぱり女の子も良いなぁ」到着早々に人気者。すると興奮したのかケロっと小さく嘔吐。「きゃあ、ゲロっても可愛い♬」「そうなんですよ♡」と人気は衰えない。卑怯なくらいに愛らしい。この愛くるしく、どこもピカピカで、無垢な存在を誰が否定できよう。しばらくはビストロの営業開始も忘れ、飲み始めようともせずに、天使の娘にみんなが掛り切り。すると2歳児が「ぶーぶっ」と再度声を発し、冷蔵庫の扉に付けてあった赤い車のマグネットを発見。うん、君のことも忘れていないよ。どうぞ、それもプレゼント。それを頃合いに乾杯。「わぁ〜っ!すごい」「美味しそう!」ずらっと並べた料理に歓声が上がる。

Cafe8084当に良く食べるね、君は」2歳児は持参したベーグルをモリモリと完食した上に、ブルスケッタに使ったパンを頬張る。噂に聞いていた破壊王の兆候は表れず、かと言ってぐずったりすることもなく、母親の発することばに頷きはするものの(もちろん)答えることもなく、“良い子”にしている。それにしても、この母子のやり取り(まだ母親からの一方的なものだが)が抜群に面白い。子供に対するものではなく、きっとダンナにも同じように話しかけているのだろうと思うスタンス。鷹揚で、フェアで、目線が子供と同じ高さだから、見ていても気持ちが良い。甘やかしではなく、適温の愛情。慣れてきた2歳の怪獣くんは、ウォークスルーの洗面所〜ベッドルーム〜玄関〜リビングと何度もぐるぐるとキャッキャと走り回る。そりゃ楽しかろう。

いじっ」さらに慣れた2歳児が、白いあご髭の私に懐いてくる。ん?俺のことか?瞬間的にはそう思ったものの、そりゃそうだと納得。同期の男どもはもう立派な爺さんになっている年齢だ。育てる苦労もなく、たまに遊びに来る可愛い孫たちが一気に2人もできた気分。また孫たちの成長を見せにおいで♬「ビストロ808」は、託児兼プレイルーム付属の「ビストロ808 jr.」としても不定期営業中!

大阪はリッツに限る?「リッツカールトン大阪」

Ritz1Ritz21990年代、東京のホテル御三家と呼ばれた、帝国、オークラ、ニューオータニに代わり、新御三家(パークハイアット東京、ウェスティンホテル東京、フォーシーズンズホテル椿山荘東京:当時)が話題になった。いずれも外資系ブランドであったことから、“外資系御三家”という呼ばれ方もされた。その頃、大阪では1997年にやはり外資系ブランドの雄リッツカールトン大阪が開業。東のパークハイアット、西のリッツカールトン、と人気ホテルの筆頭だった。ホテルおたくのお気楽夫婦のことだから、さっそく開業早々に宿泊。威圧的に感じるお気取り系ドアマン、機能的ではないデコラティブな内装に、う〜むと唸った。パークハイアットの方が好きだな、というのが正直な感想だった。

Ritz3Ritz4れから10年余り経ったある週末、再び宿泊する機会があった。2度めの今回は、リッツ本来のサービスを堪能する為に、ちょっと気張ってクラブフロア。BS11の公開収録に参加した後、慌てて新幹線に飛び乗り、新大阪からタクシーでホテルに向かう。例のドアマンが迎えてくれる。ん?微妙に語尾とイントネーションが関西弁。ふぅ〜ん、悪くない。こぢんまりとしたロビーとフロントを通り、相変わらずわかりにくい経路を辿って客室に向かうエレベータに乗る。開放感がなく、個人の邸宅のような雰囲気も変わらない。部屋に入ると、出張で先乗りしていた妻が同僚女性と仕事の打合せ中。邪魔にならないように室内の写真撮影。打合せが終わるのを待ち、一緒にラウンジに向かい、夜景を眺めながら飲めない2人とシャンパンと発砲水で乾杯。

Ritz5Ritz6ウンジのスタッフは物腰柔らかく、慇懃ではない対応で良い感じ。「何だか都会だわぁ〜♬セレブな感じ」と博多の高層マンションに住む同僚女性もご満悦。博多もかなりの都会だと思うのだけど、彼女に言わせると高速道路がビルの間の高架を走る風景が“都会”を感じさせるらしい。彼女は前職で私の同僚でもあり、博多出張の際に夜の街遊びに同行してもらえる、お気楽夫婦共通の気の置けない友人。互いにホームではない街で、のんびり語らっていると、一緒に旅をしているような不思議な高揚感があり、新鮮な気分。ラウンジは、オードブルの種類も多く食べ応えがあり、暗めの照明も、ゆったりとした席も、適度な混雑具合も、ざわざわとした客の話し声も、とても居心地が良い。

Ritz7Ritz8終の新幹線で博多に帰るという友人を見送り、館内のパトロール。こぢんまりとしたロビーフロアに小さなショップがあり、中にはジュエリーショップのようなチョコレート販売コーナー、ブランドショップのディスプレーのようなペストリーコーナーがある。中でも、リッツのロゴである“ライオンと王冠”が焼き付けられた山型パンが、笑ってしまう程に印象的。そもそもリッツカールトンのロゴは、創業の地ボストンのオーナーが考案したものだという。そのボストンのリッツ(今は他の場所に移転)にも、東京のリッツカールトンにも、シンガポールやバリにも、ホテルおたく夫婦は宿泊経験あり。そのいずれもお気に入りになったのに、大阪だけが何故かしっくりこなかったのだ。

トナになったからじゃないかな」と妻が言うことも納得。最初の宿泊当時、すでに世界各地のホテルを泊まり歩いていた(という程ではないが)けれど、今より若かった2人は、自分たちの好みに合わなければ、きっと拒絶し否定していたのだ。今なら1斤1,000円の食パンのロゴを笑って楽しめる。今なら好みのタイプではなくとも受入れて肯定できる。今回の滞在で、リッツカールトン大阪は再評価してポイントアップ。良いホテルだ。「それでもやっぱり、パークハイアットの方が好きだけどね」そんな妻の意見にも同意。大阪で泊まるなら、リッツ…かな。

Larryは何しに日本へ?『わが心のジェニファー』浅田次郎

AsadaJiroTV東京の「Youは何しに日本へ?」という番組が妙に気に入っている。毎週月曜日、早めに帰宅してこの番組を視るのが1週間の始まりのルーティーン。“インバウンド”というワードが広く浸透した今年、この番組の人気も一役買っているに違いない…のかな。知らない方にこの番組をかんたんに説明すると、“You”とは日本に来ているガイジンさんたち。成田空港や街角で文字通り「Youは何しに日本へ?」と質問し、同行取材したり、その場で(ダンサーだったりしたら)踊ってもらったり、というユルい設定(バナナマンが司会だしね)の低予算番組。これがツボにはまるのだ。日本人なら当然と思って生活している習慣が“You”にとっては不思議だったり、日本人がフツーに使っているグッズが関心するモノだったりという、そのギャップにクスッと笑ったり、大笑い、時々苦笑いというお気楽な内容。

Jennie田次郎の『わが心のジェニファー』を読みながら、このTV番組を思い出した。日本びいきの恋人にプロポーズしたところ、OKする条件として「日本に行って来て!」というミッションを受け、アメリカから来日した主人公Larry。成田空港に到着したくだりから、まさしく「Larryは何しに日本へ?」の旅が始まる。番組スタッフたる浅田次郎が空港でラリーにインタビューをして、密着取材の了解をとって一緒に付いて回っている感じ。少し大げさなくらい、ガイジンの視点で語られる。成田空港に到着した日系航空会社の“わずかな”到着遅れを詫びるアナウンスに始まり、清潔でオートマチックなトイレ、ズラっと並んだバス停に整然と列を作って待つ人々、歪みなどなくピカピカに磨き上げられた窓ガラス、凹んでいないピカピカな自動車、都心に向かうリムジンバスの中はささやき声しか聞こえない。ふむ。フツーなことだね。

Iga崎美子のすずらん本屋堂」というBS11の番組からお誘いがあり、公開収録に参加した。以前、番組スタッフが私のブログで浅田次郎の作品を取り上げていた記事をを読んだとのことで、インタビュー撮影を依頼され、無事に放送された。そのご縁で、早々に新刊本をお送りいただき、感想を語る役回りをいただいた。その新刊本が『わが心のジェニファー』だったのだ。「Youは何しに日本へ?」のYouのように、アメリカ人ラリーの目を通して描かれ語られる日本。日本人にとって嬉しかったり、恥ずかしかったり、誇らしかったり。日本を再発見し、表面的な側面と内包された側面との日本文化の二面性に気づかされる。そんな過程がおもしろ可笑しく描かれる浅田次郎の作品は、電車の中で読んではいけない。爆笑ではなく、我慢できずにクスッと笑ってしまう分、周囲の人に奇妙な目で見られてしまう。気をつけなければ。

MiyazakiYoshikoTV用に、そんな話を盛って語ってしまった。電車で読むのを止めて、自宅に帰って読んだと。はい、嘘ついてました。読み始めたら面白く、自宅で一気に読んでしまったのは事実で、電車の中で読んではいかん!と思ったのも正直な感想ではあるけれど。…それにしても、番組の司会である宮崎美子さんは知的で、気遣いができる、魅力的なオバさんだった。学生の頃、彼女はミノルタのCFで「今の君はぴかぴかに光ってぇ〜♬」という曲にのって、木の下でジーンズを脱いで、水着に着替える(その下に履いていた水着になる)姿で鮮烈に登場した。その前は、週刊朝日の表紙で企画された女子大生(当時は熊本大生)を篠山紀信が撮る、というシリーズで話題になった、はず。あれ?なんだか詳しいぞ?俺。番組の公開収録に喜んで参加したのは、浅田次郎に会いたかったからではなく、宮崎美子に会いたかったから?自問自答する。

IGAは何しに公開収録へ?」楽しく、貴重な体験でした。

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