いつものように♬「年末年始のお約束」

IMG_95922015年の大晦日、お気楽夫婦は義父母の住むマンションの“掃き納め”の大掃除を行う。老いた義父母が普段は掃除し切れない場所を徹底的にキレーにして、きっぱりと新年を迎えようという大事なミッション。妻が今回目を付けたのは、洗濯機の裏側。洗濯機を動かし、10年分の埃が溜まった“暗黒面”を掃除機で吸い取り、雑巾で拭きあげる。トイレ、レンジ周り、キッチン収納など、見違える程すっきり。「これ捨てていい?」妻がこまめに使ってなさそうなモノの廃棄を確認する。第三者的な視点で整理を行うと、断捨離がし易い。ひと仕事終え、近くのスーパー銭湯で“年の湯”に入ってさっぱりした後は、年越し蕎麦と雑煮用の食材の買い出し。妻の実家では台所を任される私(笑)の重要なミッション。今年の年越しは鴨南蛮そば。鴨の表面を炙り、焼いたネギと鴨肉のつくねを一緒に盛付ける。旨し。良い一年の締めくくりだ。

Osechi年最大の楽しみは、「割烹弁いち」さんのお節二段重。facebookで繋がっているご主人がアップするお節料理の画像や料理中の動画を眺めながら、おぉっ!活きの良い海老だ!それをゼータクに煮るか!わっ!鰆の西京焼き旨そうだ!と、年末からずっとテンションは上がりっぱなしだった。その一つ一つ丁寧に作られた料理の集大成が、二段重の中にぎっしり詰まっている。その絶品を味わいながら、朝から堂々と酒を飲む、なんとゼータクな時間であることか。「あ、カラスミ取っちゃった」と義父が慌てて取りかけたカラスミをお重に戻す。私の大好物だと知る義父母は、カラスミは私に独占的に食べてもらうことを良しとしているらしい。良いですよ、食べてくださいと言っても箸をつけようとしない。だったら私がとカラスミを頂き、キリッと冷えた日本酒をぐびり。あぁ、至福の味。いつもの義父母の気遣いに感謝。

Mt.Fuji根駅伝観戦も正月のお約束。往路の中継を眺めながら、2日目のお節を堪能しつつ、朝酒。カズノコをぽりぽりと齧り、ぐびり。うわっ、この鶏団子美味っ!とつぶやき、ぐびり。「アワビと一緒に煮たこの大豆が美味しいんだよねぇ」と言う妻に、だったらアワビはいただき!と煮アワビを横取りし、ぱくり。南に面したリビングルームには温かな陽光が溢れ、トロトロしながらTV画面を気にしつつ、幸福気分で読書の時間。持参した文庫本の3冊めを読了。4冊目の沢木耕太郎『キャパの十字架』を読み始めた頃、妻の母校が圧倒的な強さで往路優勝。明るく悲壮感がなく、走ることを楽しんでいるように見える良いチームだ。我が母校は5年ぶりに出場できなかったが、代わりに妻の母校の優勝で溜飲を下げる。東京からの帰路、新幹線の車窓から雄大な富士を眺めることができ、新年の吉祥を感じる。良い一年のスタートだ。

Shinnenkai華料理が良いかな」新年3日めは、日程だけ決めていた酒豪女子との新年会。あの店が良い、この店はどうかとメールでやり取りした後、新年らしく豪華に「全聚徳」で北京ダック!と決定。目の前でカリカリに焼きあがったダックをさばき、荷葉餅(カオヤーピン)に甜麺醤を塗り、ネギとキューリを一緒に美しく巻いてくれる。カリッとしたダックの皮とジューシーな肉、その間の脂、餅と野菜をひとくちで頬張る。それぞれの美味さが口の中に広がる。美味い。きっと今年も中華三昧の日々なんだろうなぁ。そうありたい。酒豪女子がにっこりと紹興酒を注いでくれる。そして自分のグラスも満たす。カラフェがあっという間になくなる。さすが注ぎ上手。友人と昼飲みしていたから、今日は余り飲めないと言っていたのは幻聴だろう。きっと今年もこの美味しく飲める飲み仲間と何度もグラスを交わすんだろなぁ。そう願いたい。

日も楽しかったなぁ。今年もよろしくね」お気楽妻のメッセージに、「ほんと。今年もlove you guys です!」と酒豪女子から返信。嬉しいね。「来年も新年会やろうねっ!」珍しくテンションが高い妻の、かなり気の早い返信が続く。こうして、いつものように、いつもこうありたいと思うままに、1年の終わりと始まりを穏やかに過ごすことができた。ありがたいことだ。相変わらず、こんなお気楽な夫婦を今年もよろしくお願いします。

傘寿と喜寿と浜松で。「オークラアクトシティホテル浜松」

Sanju1Sanju2松に住む義父が80歳を迎えた。80を漢字で書くと八十、縦に書くと「傘」の略字に似ていることから、傘寿(さんじゅ)という年祝いの年齢だ。義母は77歳で、喜寿のお祝いの年。であれば、2人一緒に祝おうと妻と一緒にイベントを企画した。年末恒例の温泉旅館での宿泊を近場のホテル泊に変え、彼らにはスイートルームに泊まってもらい、お祝いしようという作戦。選んだホテルは、「オークラアクトシティホテル浜松」という駅前にある超高層ビルの上層部にあるホテルオークラ系の高級ホテル。ジムやプールなどのヘルスクラブが充実し、展望風呂もある。いつもの温泉旅館は部屋から大浴場までの距離が遠く、滞在中に何度も延々と歩くのが辛いという義母にもぴったり。

Sanju3Sanju4松といえばウナギ!という人も多いが、ヤマハ、カワイ、ローランドなどの世界的楽器メーカーの本社があることで知られる楽器の街でもある。ホテルが入居するアクトタワーはハモニカをモチーフにした外観で、浜松で唯一の超高層ビル(地上45階)であり、街のランドマーク。ホテル内部には音楽に関係する意匠が多く、エレベーターのドアには五線譜が記され、ボタンはヴァイオリン、上下を表すランプはピアノ型。そんな遊びのデザインを発見するたびに楽しくなる。客室はオーセンティックな内装で、ちょっとセクシー度が足りず、お気楽夫婦はやや不満。けれども老いた義父母にとっては「ゼータクだねぇ」という感想になる。お祝いするに相応しいハレの空気感はある。

Sanju5Sanju6宴はホテル内ではなく、「柚露(ゆうろ)」というくずし割烹を予約した。膝の悪い義母向けに椅子で座れる個室があり、主賓用にお祝いの水引を配してくれる細やかな気遣いの店。食事の前にスタッフからもおめでとうございますと挨拶され、まずは家族3人の記念撮影。さて乾杯というところで、義父が「ちょっと良いですか」とことばを挟んだ。「今日はありがとうございます。少しお礼のことばを述べさせてください」と、他人行儀な前置きで、ことばを詰まらせながら訥々と挨拶をする。ふだんはことば少なく、感情を表に出さない義父が、つっかえつっかえ発することばは胸を打つ。良かった。楽しみにしてくれていたのだ。これだけでも企画した甲斐があったというものだ。

Sanju7Sanju8宴の翌日、冬晴れの朝、しみじみと妻が言う。「遠出はしなくなったし、暗くなったら出掛けないって、行動範囲は狭くなったけど、まずまず元気でいてくれて良かった」本当に、心からそう思う。私の父も母も、何年かの闘病生活の後、病床で逝った。義父母は寿命よりも健康寿命、元気で何歳まで生きられるかを考えているはずだ。義父の挨拶の中にも「認知症にならないよう」と祈るような抱負があった。朝食の後、義父と一緒に遠州灘まで一望できる展望風呂に浸かりながら、珍しく長めの会話を交わす。自分で運転できなくなったら、車なしで行き易いスポーツクラブはどこか、どのクラブのプールが充実しているか。…うぅむ。やっぱり親娘だ。根っからの健康お気楽志向だ。

は70歳までスカッシュやるよ」それが妻の目標。いやいや、80歳までスカッシュできますって、あなたなら。今年の抱負はと尋ねると、「身体を鍛えるってことかなぁ」って、毎年同じか?とは言え、離れてはいても遠く義父母の生活を見守りつつ、自らの健康を維持する。一人娘の望みは、きっとそこにもあるのだろう。了解。お気楽夫婦の父母は、彼らしかいない。義父母のために浜松へ、お気楽妻のためにスポーツクラブへ、今年も一緒に出かけよう。

優しい気持ちになれる店で♬「ビストロ トロワキャール」

Trois1Trois2しぶりぃ!」「元気だった?」馴染みの店「ビストロ トロワキャール」に忘年会という名目でスカッシュ仲間が集合した。サーモンのミキュイ、絶品オードブルの盛り合わせからスタート。相変わらずひとつひとつが丁寧で繊細な仕上がりの料理に合わせ、シャンパンをボトルでオーダー。さらには白ワイン。飲むほどに饒舌になり、美味しい料理に会話も弾む。シェフの聡ちゃんがオススメしてくれる肉料理をオーダーし、赤ワインをいただく。「酔っ払う前に、IGAIGAのお題をやろうよっ!」事前にメンバーに連絡していた企画は、忘年会らしい振り返り企画「今年の一文字」ではなく、来年どんな年にしたいか、「来年の一文字」をコメント付きで発表すること。さてと。

Trois3Trois4は“継”、継ぐという字かな」何人かの発言の後に妻が発表した。自分だけが担当していて、他のスタッフにとっては“ブラックボックス”になっている業務を誰かに引き継いでおかねば、ということらしい。すぐに退職する訳ではなくても、多くのスタッフに伝えられない職人的な仕事は、一子相伝(笑)で継承する必要があるのだろう。そして私は「育」という一文字。育てるの「育」ではなく、育む。育むとは、包み込んで大切に育てるという意味。子供がいないお気楽夫婦にとって、育む対象は子供ではなく、友人たちとの関係であり、夫婦の関係。実は、その日の会食も単なる忘年会ではなく、大切な友人のひとり“マダム”が、予想外の展開で赴任先から帰国したお祝いだ。

Trois5Trois6夏の頃、その日と同じトロワキャールで、ほぼ同じメンバーで彼女の海外赴任の壮行会を開催した。けれども、渡航先の某国の情勢のために早々に帰国。来年には渡航先に遊びに行くぞ!と言っていたのにすっかり肩透かし。とは言え、いつでも会える友人の帰国はめでたいぞ!とお祝いするのが忘年会の裏企画。ジューシーなシェフ自慢のステーキをいただいた後、実に絶妙なタイミングで、サプライズ企画“おかえりなさい!マダム”ケーキの登場。店のマダムまゆみちゃんに、こっそりお願いしてあったケーキだ。仲間の歓声と、あらためての「おかえりなさい!」の声にマダムの目が潤む。「みんな、ただいま。どうもありがとう」泣いてもキレーな美人さんはこんな時に得だ。

Trois8Trois7つの間にか何本も空いたワインボトルが並ぶテーブルにシェフの聡ちゃん、マダムのまゆみちゃんが揃って顔を出してくれた。彼らの温かさと明るいキャラクターがこの店の柔らかな空気を作っている。この店だからこそ、リラックスして味わえる。ワイワイと気兼ねなく(オトナの節度は持ちながら)話ができる。その居心地良さに甘え、その日も最後の客になった。そうなのだ。大切にし、育んでいきたいのは仲間たちとの関係だけではなく、こんな店との関係だ。この店で味わうべきは、料理だけではなく、気のおけない仲間たちと過ごすこんな嬉しい時間と空間だ。どちらも人を優しい気持ちにしてくれる、大げさに言えば、人が元気に生きていくのに必要なものだ。

年会はビストロ808で!」その日参加したメンバーからのリクエストで、新年早々に「ビストロ トロワキャール」の姉妹店(と言うにはおこがましいが)ビストロ808の開店が決定した。師匠の店と同様に、心を込めた料理とおもてなしのココロで、お待ちしています♬

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SINCE 1.May 2005