好きな事しかしない旅「グランドハイアット香港」

HongKong1HongKong2めてその街を訪れた時も、ヴィクトリアハーバーに面するビルの壁面一杯に、派手なクリスマスイルミネーションが輝いていた。街のあらゆる場所に人が溢れていた。1995年12月、返還前の香港は得体の知れないエネルギーに溢れていた。前年に九龍城砦は解体されたけれど、路地裏には怪しげな雰囲気が残っていた。それから20年、すっかり香港に魅せられたお気楽夫婦は、この冬に12回目の香港訪問を果たした。宿泊先は灣仔(ワンチャイ)にあるグランドハイアット香港。初めて訪れた際にも宿泊したホテルだ。違うのは部屋のグレード。オトナになった2人が宿泊するのはクラブフロアの客室だ。

HongKong5HongKong6ラブルームの最大の特典は、クラブラウンジの利用。2人が毎回のようにこのホテルに宿泊するのは、そのラウンジの魅力にある。そしてこの秋、各階で進められていたリノベーションの総仕上げとして、ラウンジが全面リニューアル。実は、この夏に宿泊した際にその情報を聞き、完成を待って再訪したお気楽な2人。30階にあるラウンジのフロントでチェックインした後、さっそくラウンジを訪れる。「わぁ〜っ!すごい」妻もその変わりように驚いた。ヴィクトリアハーバーを望む大きく明るい窓は以前のまま、使いやすいレイアウトに変わり、解放感溢れる広々とした快適スペースになった。

HongKong4HongKongウンジの魅力はサービスのレベルと質にある。朝食の料理の豊富さと美味しさはもちろん、カクテルタイムが素晴らしい。フレッシュなサラダ、生ハム、スモークサーモンなどのコールドミール、何種類かのオードブル、ホットミール、豊富なチーズ、フルーツ。小食な2人はここで夕食をコースで食べられるぐらいの品揃え。そして、名物“わんこシャンパン”だ。馴染みのスタッフたちにお帰りなさい!何を飲むかと聞かれ、シャンパンと答えた後は、飲み干しそうになる絶妙なタイミングでスタッフが現れ、並々と注いでくれる。無限に続く至福の時間。実際、到着初日はラウンジで夕食を済ませた2人。

HongKong3HongKong8適なジムもこのホテルの魅力。毎朝たっぷりの食事を摂り、午後には美味しい中華料理を堪能するために、午前中はジムに籠りたっぷり汗を流す。ジムの受付でロッカーキーを受け取り、妻がお気に入りだという中庭の緑のアーケードを通り、ロッカールームで着替え、最新のマシンに変わったジムで汗を流した後は、シャワーを浴びながらウェアを洗濯し、水着用の脱水機でちゃっかり脱水。そして(部屋のビールは高くて飲めないので)市中のコンビニで買ってきた缶ビールを飲みながら、洗濯物を部屋干し。このホテルに暮らしているような毎日のルーティンワーク。それも楽しい。それが楽しい。

回思うんだけど、ここに住みたいなぁ」妻がつぶやく。馴染みのスタッフとの挨拶や会話、快適な客室、素晴らしい眺め、美味しい料理、会計を気にせずに(笑)飲むお酒、歩いていけるジム、スパ、プール…。お気に入りのホテルを味わい尽くす心地良い時間が流れる。朝目覚めてから眠りにつくまで、1日中好きなことしかしないストレスフリーな生活。「日本にいてもストレスはないんだけどね」妻のゼータクな呟きは、そう続いた。

上海がにの夜「萬来軒&BAR808」

Banrai1年も上海がにの季節になりましたね♬」毎年そんな書き出しで、お気楽妻から仲間たちにメールが送られる。“毎年”と書いたものの、ふと気が付いて過去の自分のブログを読む。すると、昨年はリノベーションのお祝い会、一昨年は上海がにの品質が良くないとのことで上海がに抜きで集まっていた。つまり、メンバーは同じではあるけれど、3年ぶりの“上海がにの会”ということになる。さらに、古い手帳で確認してみると、1999年から毎年開催している事が分かった。ということは、通算15回目の開催。すごい!17年の間、1組の友人夫妻はNYCに赴任し、帰国。仲間の1人は秋田に転勤し、秋田美人を娶って帰って来るはずだったのに叶わず、独身生活を続けている。そしてお気楽な2人は2000年に入籍し、晴れてお気楽な“夫婦”となった。

Banrai4えば、この17年の間に、参加するメンバーにもいろいろなことがあったのだ。もう1組の友人夫妻はマンションを購入し、愛猫たちと仲良く暮らしている。残念ながら1組の友人夫妻はご一緒できなくなってしまった。“同じ”と書いたものの、メンバーも変わり、メンバーそれぞれの暮らしも変わっている。今年もこうして集まることができたことは、ありがたいことなのだとシミジミ。そして変わらないのは、ご近所の名店「萬来軒」の絶品四川料理。調理担当のおじちゃんも、接客のおばちゃんも、すっかり歳は取ったけれど、高レベルの味と気怠い接客は健在。「あぁ、いらっしゃい。あら5時からだっけ?」とおばちゃんに迎えられ、「上海ガニはオス、メス合わせて1人1パイで良いですか?」とおじちゃんが厨房から確認しに来てくれる。

Banrai5杯!」ビールで喉を潤した後は、速やかに甕出し紹興酒に変える。上海ガニへの準備は始まっているのだ。ぷりぷり牡蠣の甘辛炒めも、香ばしい芝麻醬が利いた四川水餃子も、もちろん美味しいけれど、主役はあくまで上海ガニだ。大皿に乗った柿色の上海ガニが登場すると、きゃー!という歓声と共に、一斉に撮影タイム♬外子と内子をたっぷり抱えたメスがに、白子を抱いた大ぶりのオスがに、両方を一緒にいただくのは初めてだ。身を取り出す作業はカップルで、剥きながら食べる夫婦あり、全て剥き終えてからじっくり楽しむ夫婦(ウチです)あり。性格と夫婦の関係性が露見する。その間も間断なく会話と笑い声は続き、「わぁ〜、オスも濃厚で美味しい!」「やっぱりメスの内子と身を混ぜるのが良いな」などと感想が交差する。幸福な時間。

Banrai6海ガニを食べ終わると、自宅から持参したおしぼりが配られ、各自が持参した“カニフォーク”と“キッチンバサミ”が仕舞われる。友人たちが一斉に殻を剥き、身をほじることができるように、店が用意してくれるハサミ以外に自分たちで準備することが恒例となった。これら一連のお約束作業でメイン料理の蒸蟹の儀は終了。そしてその後、もう一つのメイン、麻婆豆腐が登場する。中国山椒のなんとも言えない芳しい香りが漂い、鼻腔を刺激する。何種類もの自家製豆板醤が絶妙に組み合わせられた、中毒性があり定期的に食べたくなってしまう、おじちゃん自慢の一品だ。「おばちゃん、白メシ!」ラガーマンだった友人(夫)が、美味しそうに丼飯を豪快に頬張る。痺れる辛さに頭のてっぺんから汗が出る。これが17年間変わらないこの店の味だ。

Banrai7味しかったぁ。おぢちゃん、ごちそうさまでした!」店を出た後は、2次会の「BAR808」に向かう。飲み足りない何人かにはよく冷えた白ワインを、飲まないメンバーには香り高い紅茶を。笑顔が続き、淀みない会話が続く。NYCに友人夫妻を訪ねた時の話になり、「シャインマスカットって初めて食べたけど美味しいね」「えぇ〜っ、何度か食べさせたよ!」というような夫婦の会話があり、スカッシュの話題になる。「うははは!お腹痛ぁい」と涙目になりながら笑い続け、夜が更けていく。「春にもまた集まろうよ!」と誰かが言い「そうだ、萬来軒に食べに行こう♬」と誰かが答える。“毎年”というのは、決して永遠に続くことではない。そうだね、こうして来年も皆で会えると良いね。今年の秋も、こんな風に上海ガニの夜が更けていく。

未成年お断り?「ビストロ808 jr.」

Cafe808ストロ(Bistro)とは、気軽に酒を楽しむ小さなレストラン。世田谷の外れにある、不定期営業の「ビストロ808」も、もちろんワインを中心としたお酒を出す店だから未成年者はお断り。(ところで、「おことわり」を「おとこわり」とつい読んでしまう。「おこと教室」の看板も「おとこ教室」に見える、なぜ?)オトナである友人たちが集まる店。ところがある日、長女を出産したばかりの前職の後輩から予約が入った。スイカのようなお腹をした妊婦時代にご来店いただき、すっかりお気に入りになったとのこと。その上、2歳児の母である学生時代のスカッシュサークルの後輩も誘いたいとのリクエスト。もちろん、子供たちを伴っての来店希望。う〜む、お子様メニューはないし、どうしたものか。店の名前もファミレス系で「イガスト」に変更か?

Cafe8082チの子は凄く食べますが、オトナのメニューで大丈夫です」「ウチの娘はまだ食べられないので、私が2人分食べます!」それではと、子供向けに営業時間を日中にして、オトナ向けのレギュラーメニューで決定。クリュディテ3種盛り、パテドカンパーニュ、ブルスケッタ各種、カプレーゼなど、気軽に摘めるフィンガーフードを準備。「うわぁ〜!すごいおっしゃれ♬」2歳児の怪獣を抱きかかえてやって来た後輩母(母としては先輩)が唸る。2歳児はまだ初めての環境に慣れず、遠慮気味にあちこちをキョロキョロ。すると「ぶーぶっ」と本棚にあったミニカーを発見。かかったな。友人にもらったチョコに付いていたものを、わざと見つけやすい場所に置いてあったのだ。あげるよと言うと、嬉々として遊び始める。男の子は単純で分かりやすい。

Cafe8083くなりました!」8ヶ月になったばかりの娘を連れた、父母初心者の前職の後輩夫婦がご来店。「わぁ〜っ!無条件に可愛い」「やっぱり女の子も良いなぁ」到着早々に人気者。すると興奮したのかケロっと小さく嘔吐。「きゃあ、ゲロっても可愛い♬」「そうなんですよ♡」と人気は衰えない。卑怯なくらいに愛らしい。この愛くるしく、どこもピカピカで、無垢な存在を誰が否定できよう。しばらくはビストロの営業開始も忘れ、飲み始めようともせずに、天使の娘にみんなが掛り切り。すると2歳児が「ぶーぶっ」と再度声を発し、冷蔵庫の扉に付けてあった赤い車のマグネットを発見。うん、君のことも忘れていないよ。どうぞ、それもプレゼント。それを頃合いに乾杯。「わぁ〜っ!すごい」「美味しそう!」ずらっと並べた料理に歓声が上がる。

Cafe8084当に良く食べるね、君は」2歳児は持参したベーグルをモリモリと完食した上に、ブルスケッタに使ったパンを頬張る。噂に聞いていた破壊王の兆候は表れず、かと言ってぐずったりすることもなく、母親の発することばに頷きはするものの(もちろん)答えることもなく、“良い子”にしている。それにしても、この母子のやり取り(まだ母親からの一方的なものだが)が抜群に面白い。子供に対するものではなく、きっとダンナにも同じように話しかけているのだろうと思うスタンス。鷹揚で、フェアで、目線が子供と同じ高さだから、見ていても気持ちが良い。甘やかしではなく、適温の愛情。慣れてきた2歳の怪獣くんは、ウォークスルーの洗面所〜ベッドルーム〜玄関〜リビングと何度もぐるぐるとキャッキャと走り回る。そりゃ楽しかろう。

いじっ」さらに慣れた2歳児が、白いあご髭の私に懐いてくる。ん?俺のことか?瞬間的にはそう思ったものの、そりゃそうだと納得。同期の男どもはもう立派な爺さんになっている年齢だ。育てる苦労もなく、たまに遊びに来る可愛い孫たちが一気に2人もできた気分。また孫たちの成長を見せにおいで♬「ビストロ808」は、託児兼プレイルーム付属の「ビストロ808 jr.」としても不定期営業中!

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SINCE 1.May 2005