1978年、初めて訪れたパリの空は厚い雲に覆われていた。パリの2月は寒く、街に色彩が乏しく、モーリス・ユトリロの描く風景そのものだった。コートを着て、ポケットに入れた焼き栗を頬張りながらパリの街を歩く。ポケットに突っ込んだ手に焼き栗の温かさが嬉しかった。毎日、美術館を巡り、公園を歩き、街を彷徨った。そして歩き疲れるとカフェへ。そんなただ若さだけを持て余したようなパリの日々。その後、何度かパリを訪ねる機会があったが、いずれも年末。パリの空に青い印象は持てなかった。
そして2005年8月、ようやく待望のパリの青空を眺めることができた。夏のパリは今までの印象と全く違う街だった。コートを着ずに歩くパリ。爽快な気分で歩くチュイルリー庭園、リュクサンブール公園。若き日の憧れの街にもう一度惚れ直した旅だった。
【快楽主義宣言より】
■「英仏の距離は・・・ユーロスター」 2005年9月10日
■「ヴァンドーム広場の隠れ家ホテル」 2005年9月3日
■「洗濯広場のワインバー」 2005年8月28日
■「パリの冬、パリの夏 大人の卒業旅行」 2005年8月19日