初子の大ダコ「浜松まつり①」

dsc初めて誕生した子供「初子」を祝うその祭は、ゴールデン・ウィークの3日間、朝から夜中まで行われる。街の全ての人が総出でお祝いをする、ぐらいの勢いで。しかし、決して小さな街の話ではない。その街の人口は、60万人以上。周辺の町との合併により近々政令指定都市になる。…コミュニティの温かさを、これほど大きな街になった今も残す、ある意味奇跡的で、かつ元気な祭だ。

長男誕生のお祝いに、端午の節句に大きな凧を揚げるのが、この祭の起源。あるきっかけで友人夫妻と一緒にその祭を観に行くことになった。浜松駅からタクシーで10分、中田島砂丘が凧揚げの会場だ。松林の遠く向こうに、凧の群れが見える。逸る気持が急ぎ足になる。林を抜け、視界が拡がり、巨大な広場が見えた時、凧合戦開始の花火が上がった。広場に集まる無数の法被姿、観客。空に舞う凧、太鼓とラッパの響き。瞬間的に異空間トリップ!「うわぁ何これぇ?凄いねぇ」友人夫妻が揃って声を上げる。

浜松まつりは、市の中心部、160余りの“町”の人々が凧を揚げる市民参加型の祭。長男誕生を祝う初凧を町内ごとに揚げ、その後に2帖から10帖の大きさの凧が揚げられる。太さ5㎜麻糸を切りあう凧合戦は3日間に渡って行われる。お揃いの法被姿の人々が、それぞれの町の凧じるし(紋様)が付く凧を空に向かって放っていく。色とりどりの何十組もの凧が一斉に揚げられる姿は勇壮で、熱気に満ちている。

ラッパの音と掛け声の中、初凧が大空に向かってするすると登っていくと、父親に肩車された小さな主役を囲み、町内会の人々が喝采を送る。晴れがましい笑顔で息子を抱き上げる父と、鉢巻に小さな法被姿の息子。青空の下、冷えた缶ビールを飲みながら、芝生に座りこみ、そんな風景を眺める。こんな環境で育てられる子供も、育てる親も悪くないなぁと、独りごちながら。(続く)

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