Archive for 6 月 13th, 2005

アメリカンステーキの謎「リバーカフェ」

dscある年のクリスマスの夜、NYCブルックリン橋近くのレストラン。その名も「リバー・カフェ」という人気店。クリスマスの数週間前にも関わらず奇跡的に予約が取れたとNYC駐在の友人夫妻。ガラス越しにマンハッタンの夜景が寒空に映える。いかにもニューヨークに来ているんだ!という風景。久しぶりに会う友人夫妻との会話に夢中でしばらく気が付かなかった。妻のメインは「すずきのソテー」。彼の奥様は「ロブスター」。私はアメリカンサイズのステーキ。“彼”も同じ物を食べていた。「あれ?肉、食べてる?」

彼は、ほとんどの肉類を食べられなかった。少なくとも日本にいる間は。食べられる肉は、挽肉、ソーセージ、ランチョンミート。大好きなのはタコさんウィンナーだったのだ。なぜ?NYCが彼の嗜好を変えたのか?すると答えは、「和牛の脂がダメで、こっちの肉だったら大丈夫。美味しいですよねぇ」「・・・まぁね。でも、やっぱり霜降り和牛は旨いよぉ」「そうよねぇ。すき焼き食べたい、食べたぁい」奥様がすかさず同意する。「それも、分かる気がする。“お肉”って感じがするよね。このステーキは。どっちが美味しいというのじゃなく、日本のものとは違う料理という感じ」妻が続ける。巨大な肉の塊を持て余しはじめた私も頷く。確かに違う。マンハッタンの形をした分厚いステーキを南から食べ始めた私は、まだミッドタウンまで至っていなかった。ゴールのハーレムは遠い。

「どうせダメな時はダメだし、食べてるとしたらとっくに食べてるしね」私が苦労しているステーキに挑みながら、そう彼は言う。・・・彼らは、かつて狂牛病発祥?の地、イギリスに駐在していた。「そう、だから良いの。美味しく食べて、楽しく生きて」・・・なるほど。息ぴったりの夫婦。セントラルパークまで食べ進んだ彼は、どうにか完食しそうだ。ダイエットのために徒歩で通勤し、しっかり食べる彼はすっかりニューヨーカー。

「お腹一杯だねぇ。こっちは量が多いから、外食してもドギー・バッグをもらうことが多いのよ」駐在一年にして、そんなライフスタイルが身についた彼らは、それでもウェイト・オーバー。しかし、ブルックリン橋を模したチョコレートケーキを前に、奥様は躊躇うことなく言った。「わぁ美味しそう。えぃ食べちゃえ。ドギー・バッグなんていらないね♪」「え?さっき・・・」

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