ヴァカンス本『Sideway サイドウェイ 建築への旅』

P102sideway人は、何者かに自然になるのではない。何者かになるために、思い、悩み、学び、努力し、そして何より、それを継続し続けることで、“何者”かになっていく。大人になるにも、年齢を重ねれば自然になれるものでもないように。かと言って通過儀礼を経れば良いということでもなく。人生を旅に例えるなら、分岐点に立って進むべき方向を選択する、あるいは選んだ路を確かめる、というポイントは、確かにやって来ることがある。そして、幸運という名のパートナーが、一緒に旅してくれることもある。

ようやく真夏の陽射し。暑い日が続くけど、私は元気。湿度が低く、カラっとしていれば汗をかいても平気。部屋の中を渡る涼風が心地良い。日中からビールが飲みたくなる。良いよね、昼下がりのビール…って感じで、一気に気分はヴァカンス!2週間後には、遠く南の島でライトなビールを飲みながら、パラソルの下でのんびり本を読んでいる、はず。ふふふふ、楽しみである。南の島向きの“ヴァカンス本”を探すことも、お気楽夫婦にとっては旅の始まり。今年の夏は、こんなラインナップ。

常連のロバート・B・パーカー『ダブルプレー』は、キリッと冷えたジンのロックを飲みながら。これは夏のお約束。続いて、当り外れが大きい村上龍。『半島を出よ』の上下巻2冊は重いので、ぜひ外れないで欲しい。妻が選んだのは、ジョン・クリストファー『トリポッド』4冊。まぁ、夏休みってことで。そして、夏休み課題図書的と言えば『十五少年漂流記』。なぜか猛烈に読み返したくなった、私が選ぶ“無人島に持って行きたい一冊”。『不思議の国のアリス』もヴァカンス用に文庫本を購入したが、持って行くかは極微妙。そして、最近妻もお気に入りの奥田英朗。『邪魔』『最悪』もヴァカンス前に読んでしまうのを我慢できれば、持参予定。

そして、そんなラインナップに追加の一冊。友人、ヒロベくんの、初出版。白い装丁に爽やかなブルーのタイトル。読了後にブログの記事にする約束だったけど、撤回。<はじめに>という書き出しの章を読んで気が変わった。今読まずにヴァカンスに持って行くべし。彼の穏やかな眼差しを通じて撮影された写真、描かれた美しいスケッチ。何よりも建築への想いが溢れている。そして、旅愁を誘う、文字通りの旅の本でもある。「なんだか、村上春樹の『遠い太鼓』に、雰囲気が似てるね」ハルキストの妻が言うのだから、これはかなりの賛辞。旅先で、ヒロベくんの目を通した“もう一つの旅”を楽しめそうだ。

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