がつんっ!と一杯「南蛮居酒屋89」鶴岡

Photo_1これだっ!これにやられたっ!「レモンハート」という愛らしい名前のラム。アルコール度数75.5°。カリカリにしたクラッシュアイスの中で輝く黄金色の美酒。旨い。丁寧に砕いた氷はグラスの中の液体を決して水っぽくしない。そして、だからこそグラスに付く美しいミストが生まれる。不規則な形のクラッシュアイスが、燃えるような液体を滑らかに口に運ぶために“良い仕事”をする。柔らかに口に拡がる。良い店だねぇ、連れて来てくれた弟を誉めた。確かに良い店だった。その店は藤沢周平縁の城下町山形県鶴岡市にある。来年で開店40年というSHOTBAR 南蛮居酒屋89。良い店だった。良い酒だった。…そして、それに騙された。

最初に飲んだのは、ギネス。ママさんがまた良い仕事をする。氷をグラスに入れ、良い感じに冷えた頃合いを見て、氷を捨て、優しく“深く濃く黒い液体”を注ぐ。独特の苦味が喉を潤す。喉が乾き、空腹だった身体に染み入る。飛行機の中で美味しい空弁を食べてはきた。寿司岩の穴子寿司。ほっこりとした柔らかな穴子が贅沢に盛られている。ほほぉ、旨そうじゃん!と適量を箸で摘むと、ご飯の下にまた穴子。ひゃ~穴子が二重になってるぅ!うまぁ~いっ♫ビールに合うぜっ!と、食べた後は、何も口に入れずに飲み続けた。思えばそれが間違いだった。

2杯目はお馴染みアイラのシングルモルト ラガブリン。相変わらず旨い。3杯目はテキーラ。ジューシーなライムが酒の味を引き立てる。そして4杯目にレモンハート。美味しかった。すっきりと。が、しかぁ~し。そこで帰れば良かったものを、調子に乗った弟と、行きつけのカラオケスナックに乱入した。濃い目のバーボンを数杯。混んでる店で数曲。…その後、ホテルに戻ってお風呂に入り、ベッドに入ったところまでは正常。が、夜中に突然目が覚め、蛙になった。グェッグェッグェッ。

Photo_2うひゃぁ~。翌日も、ホテルのサウナに入ればクラクラ。お昼に実家で出された“芋煮”を食べようとしても、箸でつつくだけ。ほんの少し食べたおにぎりが胃の中で燃える。ひゃぁ~、こんな二日酔は初めてかもしれない。事情を知る妻だけが、こっそり私のお椀を代わりに食べてくれる。感謝。そして、帰路に新潟駅で買い求めた「朱鷺弁当」が、一日ぶりのまともな食事。あぁ、きちんと食べられる事の幸せよ。何と美味しかったことか。朱鷺の箸入れが何とも可愛いかったことか。しかし、そんなことで挫ける私ではない。越後湯沢のリゾートホテルNASPAのプールでひと泳ぎした後は越後ビールが旨い。越後ワインが旨い。「全く懲りないよねぇ、あんなに苦しそうだったのに」はい、喉元過ぎればなんとか…それが私の特長です。

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