Archive for 11 月 10th, 2007

秋の実りのおすそ分け「ラ・フランス」

Photo遠来の大きな箱が我家に届いた。箱を開けるとふわっと甘い香りが部屋の中に広がった。中には深まった秋の味覚がたっぷりと詰まっていた。ラ・フランス、柿、そしてヤーコン。末弟が嫁いだ(?)ところは、農家に肥料や種、苗などの販売を生業とする店。仕入れた種を試すついでに裏庭で本格的な家庭菜園も。そして自家消費量以上に収穫のあった野菜を知り合いの果樹農家へおすそ分け。すると実りの秋に果物となって帰ってくる。その中からおすそ分けとして美味しそうなラ・フランスが我家に届いたというわけだ。

二人住まいの我家では食べきれないだろうと少なめの数を送ってくれた優しい弟。ところが、外食三昧のやくざな兄夫婦はそれでも食べきれない。ラ・フランスは繊細で傷みやすい。表示を見ると食べ頃も数日中にやってくる。まずは味見をした上でどうするか決めようと深夜に帰ってきた妻と相談。さっそく到着したてのラ・フランスを試食。するすると皮をむくと一段と果実の甘い香りが強くなる。柔らかな果肉が現れる。決して見たくれは優雅ではない果実だが、その香りはなんとも言えない気品が漂う。口の中に甘い唾が溜まってくる。うひゃあ、美味そう。

最初の一口。繊細な果肉を崩さないようにフォークで優しく刺して口に運ぶ。口に入れる前に鼻腔を刺激する香り。口の中に入れた瞬間に瑞々しく高貴な甘さが香りと溶け合う。熟成度合もばっちり。舌触りの良い果肉がするっと喉に落ちて行く。うんまぁ~い♪「うぅ~ん、これはかなりレベル高いねぇ。これは絶対分けてあげなきゃだわ」妻も絶賛。ご近所に住む友人夫妻におすそ分けすることに決定。味を確かめておすそ分け。ちょっと良いやつ。彼らも二人住まい。ちょうど半分づつ、熟成度合の違うラ・フランスを選り分ける。ヤーコンという芋はサラダにすると良いらしい。そんなメッセージも送らなきゃ。

「田舎があるってのも良いもんだよねぇ」秋の味覚を楽しみながら妻が呟く。日本中の名産が居ながらにしてなんでも買える街に住んで、それでも季節の便りのように届く味覚が嬉しい。独身時代に亡くなった母からよく届いたダンボール箱。箱一杯に詰め込んだ食物。冷蔵で宅配便が送れなかった頃。冷凍した魚の切身が融けだしてダンボール箱に染みて生臭くなってしまった荷物。こんなもの送ってこなくても良いと怒った親不孝な息子だった。タイムマシンが売り出されたら、その頃の自分の頭を引っぱたきに過去に向かうつもりだ。「もうすぐミカンも届くねぇ、楽しみ♪」静岡の両親から届く地元で買ったミカンが一番美味しいと主張する妻。冬の便りももうすぐ届く。

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