金沢から、NYCから「到来物」

Photo「明けましておめでとうございます。母がお節介にも“かぶらずし”を沢山作ったのでおすそ分けをしたいとのこと。酒のつまみに召し上がってください!」・・・金沢(方面)の実家に帰っていたのんべ隊員からメールが入った。かぶらずし?調べてみると金沢名物の“馴れずし”で、輪切りにした蕪と寒鰤の切身を挟み麹で漬け込んだものらしい。北陸の正月には欠かせない冬の味覚。今は食品メーカーなどが市販しているものが多いけれど、各家庭でオリジナルの味を子供たちに伝えている家もあるらしい。ほぉ~旨そうじゃない♪遠慮なくいただきます。お母さんによろしくと返事を送る。

数日後、北の国からやってきたかぶらずしを4つに切って皿に並べる。昆布と飾り包丁を入れたニンジン、鷹の爪が白い蕪の上で彩り鮮やかに映え、美味しそう。頬張ると、軽やかな歯応えと共に濃厚な香りと旨みがやって来る。うん、こりゃあ酒に合うね。急な到来物、残念ながら相性の良いだろう美味しい日本酒の用意がなかったため、きりっと冷えた白ワインで食す。まぁ、これも良いか。それにしても、全国どこでも同じような料理が食卓に並ぶ日本で、正月の料理だけは各地方の色が出る。例えばお正月の魚と言えば、北陸だったら鰤、それがすぐ隣の新潟になると鮭になり、さらに北に向かうと鱈になり、秋田ではハタハタになる。お雑煮も、東西で丸餅、角餅、お餅を焼く、焼かないなどの違いが出る。これはなかなかおもしろい。いつか文化人類学的に調べてみたい。

Photo_2「お元気ですか?いつの間にかNY生活も丸5年を過ぎました。まさかこんなに長い滞在になるとは夢にも思っていなかったのに・・・」そんなメッセージと共にNYCの友人夫妻からカレンダーが届いた。毎年、美術館のミュージアムショップで選んで送ってくれる卓上カレンダー。今年はMET(メトロポリタン美術館)所蔵の“Peony(牡丹)”をテーマにした、アメリカの、フランスの、中国のアーティストたちの作品。マンハッタンに住む彼らを訪ね、一緒にNYCの街を歩き、食べ、飲み、過ごしたのは2003年のクリスマス。もう4年前になるんだなぁとしみじみ。今もあの街で友人(夫)はスニーカーを履いてがしがしと歩いて通勤し、友人(妻)は日米の文化の違いに日々憤慨したり楽しんだりし続けているんだろうなぁ。

私のブログの読者でもいてくれる彼らには、毎週末の拙い身辺雑記を通じて一方的に情報は伝わっている。母の訃報に弔いのメッセージもいただいた。飛行機で半日程のフライト時間、そんな遠く海の向こうまで、時差すらも超えて繋がっている感覚はちょっと不思議でもある。友人、知人だけではなく私を知らない方でも楽しんでもらえる文章を心がけているけれど、私のブログの記事は友人たちへのメッセージになっているのも事実。日常的に会話できないNYCの友人夫妻の存在を意識し、書き込むこともある。お~いっ!早く帰っておいで!一緒にお芝居を観て、食事をして、公園にピクニックに行って、スカッシュをして、たっぷり酒を飲んで、いろんなことをとりとめもなく話し続け、一緒に笑いころげる・・・時間が、早くまたやって来ますようにと。NYCからやってきたカレンダーを眺めながら、そんなことを思う雨の日。ふっ。風邪を引いた妻は、オチには登場しない。

2つのコメントがあります。

  1. のんべ隊員


    昨日は楽しい中華、ごちそうさまでした。
    頻繁に?登場して光栄です。
    ついでに実家のPCのお気に入りにも入れておきましたので、
    両親もたまにブログ読者になりまーす(笑)

    奥様のお風邪、お大事に。
    あれから悪化しなかったでしょうか・・・・

  2. IGA


    のんべ隊員さま

    ご実家のご両親も読まれるというコメントに
    すかさず反応し、記事にお礼のひとことを加えました。
    金沢方面でも読者が増えることを楽しみにしています。

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