芝居BAR、読書BAR「Aサインバーと○秘バー」

Photo_9居に行く度に立ち寄るバーがある。店の名前はAサインバー。場所は劇場の集まるシモキタの一角。その店に足が向くのは、お気楽夫婦の観る芝居の会場は下北沢が大半であることが大きな要因。それに加え、最近は新規開拓よりも馴染みの店で安心して飲んだり食べたりしたいという傾向が強い。さらには、渋谷や新宿の喧騒よりも小さな街でのんびりしたいという理由から。オヤヂからワカモノまで、来店客に人気だった開店以来の女性店長が辞め、ワカモノが店長になった。前の女性店長の下でカウンタに入りだした頃からなかなか気が利く男の子だった。土曜の終演が早い芝居を観終わってすぐ、店に向かうとまだ誰も客がいない。チャンス!写真撮っても良いかな?「あ、どうぞ。良いですよ」演奏中のジャケットを壁に掛けながら店長が答える。ビリー・ジョエル「素顔のままで」が流れてくる。「お好きでしたよね、この曲も」ふふ、良いやつ。

の店は懐かしい曲が流れるカウンタだけの(奥に4人掛けのボックス席がひとつ)バー。カウンタには泡盛の甕が、棚には焼酎と泡盛の瓶がずらりと並ぶ、飲んべにとっては眺めているだけで嬉しくなる泡盛&焼酎バー。店名の<Aサイン>というのは、沖縄が米軍統治下にあった時代に米兵相手に営業を許された飲食店向けの許可証のこと。「今日もお芝居の帰りですか」そう、久しぶりに。最近チケットなかなか取れなくってね。「まずはオリオンからですか」うん。それと、うっちん茶(妻用)ひとつ。…そんなやり取りで飲み始め、ミミガーをつまむ。2杯目で度数が低めの泡盛をすすり、海ぶどうを食す。3杯目はオススメの泡盛を楽しみカリカリポークに舌鼓。そして最後は度数強めの1杯でシメる。その頃にはすっかり良い(酔い)心地。芝居の余韻と相まって良い気分。「さぁ、電車で帰るよ!」という妻の声に促され、駅に向かう。但し、5杯目まで行ってしまった日は、その指令は撤回され、茶沢通りに向かいタクシーを拾うことになる。

Photo_11みかけの本があり、帰宅する電車の中で読み終えず、どうしても読みきってしまいたい時に、立ち寄るバーがある。そんなシチュエーションが、ありそうもないようで、これがしばしばある。そんな時に向かうのがこの店。自宅に最も近い場所。店の名前は明かせない。ベルギーを中心としたビールのラインナップが充実。トラピストビールとして有名なシメイもホワイト、レッド、ブルーと揃っている。ベルギービールは銘柄毎に専用のグラスがある。シメイの場合は飲み口に銀色の縁が入り、がっしりした聖杯タイプのグラス。ヒューガルデンは重量感のあるタンブラー。それぞれの持ち味を最大限に引き出す役割がある(らしい)。仄暗い照明の下、山場を迎えた物語を楽しみ、ちびちびとビールを啜る。

たそんな暗いとこで読んでたら目が悪くなるよって、もうなってるか」遅れてやって来た妻が席に付く頃には、2杯目のビールを飲みながら“文庫のためのあとがき”を読んでいれば、まぁまぁのタイミング。妻に断りながら読了まで突き進む。読み終わってしまい時間を持て余しても、中途半端に読み残しが多くてもいけない。この場所に以前あった店は、お気楽夫婦のお気に入りの寿司と沖縄料理の店だった。ランチには今までの人生で最も美味しい秋刀魚の開きを食べさせてくれる貴重な店だった。ご主人が体調を壊し店をたたんだ後に、ワカモノが経営する現在の店に変わった。その店の奥にある小さな窪みのような4人掛けのテーブル席。そこが私のお気に入り。妻を待ちながら、ビールを飲みながら、本を読みながら、過ごす時間と場所が。

たち、最近だんだん店を絞ってローテーションしてるよね」そうなのだ。手持ちのカード(店)はそこそこの数があるけれど、絶対的なお気に入りの店は貴重。「絞ってもたくさん(行きつけの)店があるから、行きたい店の順番がなかなか回ってこないというのが課題だね」…やっぱり、このお気楽夫婦に、蓄財はできそうもない。

【食いしん坊夫婦の御用達】☆☆☆Aサインバー

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