春の味、春の香り「たん熊北店」二子玉川

Photo節を味わうために訪ねる、お気楽夫婦にとって大切な店がある。二子玉川のたん熊北店(きたみせ)。春を味わうために久々にお店に伺った。初めての来店から数えて6度目。2年間で6回ということは、年に1回、季節をひとつ忘れてしまったことになる。「そりゃぁ、いかんね!」たん熊大ファンの妻が呟き、ある週末の夕刻にカウンタ席をすかさず予約。確実に春に向かっていることを実感する陽光で明るい店内。あれ?カウンタの右隅の“お約束の席”には先客が。常連らしき関西弁の初老の紳士2人。残念だけど、さすが。この店はその席ですよね。カウンタ左寄りの席に付く。若い職人たちがさまざまな素材を仕込んでいる場所。初めてのこの席も、別の視点で楽しめそう。

Photo_2ずはスカッシュのレッスンを終えての一杯。生ビールとミネラルウォーターで乾杯。くぅ~っ、美味しい。あぁ、本城さん、こんにちは!お久しぶりです。ここに来るときは何かイベントじゃないともったいないと思って、なかなかタイミングが合わなかったんです。「へぇ、じゃあ今日は何のお祝いですか?」「実は、特に何もないんですけど、今日を逃すと春の味を食べに来れないと思って」まずは春の味、一品目。煮ハマグリの酢味噌和えから。「イイダコも付けときました」早々に本城さんマジック。「うぁ~、タコの卵ですかぁ」ぎっしり詰まったイイダコの卵に妻の目が輝く。上品に、そして実に滑らかに煉られた酢味噌の酸味と香りが抜群に美味しい。「うひゃあ~美味しいねぇ♪」ふっくらとしたハマグリを、モチモチしたイイダコを、酢味噌に絡め口に含むと、春の味。幸せ。

Photo_3っ!それ何ですか?若い板前さんが器に盛る白い魚。「氷の魚と書いて氷魚(ひうお)と言って、小さいですけど琵琶湖の鮎です」じゃあ、それください♪ガラスの器に美しく飾られた<氷魚木の芽みぞれ掛け>を見た妻がひと言。「わぁ~っ、これ全部鮎だよね?もったいないけど贅沢だねぇ」小さいけれど、鮎。腹の苦味と山椒とオロシ大根が優しく舌の上で混ざり合う。これまた美味しい。「ちょっとだけありましたんで、お2人で味見してください」お願いしようとしたら切れていると言われた筍の木の芽和えが魔法のように現れる。またもや本城マジック。あれ、隣のカウンタ席に現れたご夫婦に見覚えが。あぁ、与党の某銀総裁候補は認められないと記者会見していた某党の幹事長。料理は本城さんにお任せらしい。政策はともかく、この店でのメニューの選択は正しいようだ。

Photo_4日のメインはお寿司。盛り合わせを食べた後、迷っているとすかさず本城さん登場。「何をお召し上がりでしたか」穴子、中トロ、ウニ、甘エビと指を折ると、「じゃあ、サヨリとタイの昆布締めなんかどうですか?」「いただきますっ!」すかさず昆布締めに目がない妻が答える。「く~っ、美味しい。幸せだねぇ♪」妻はこの店に来ると、一段と幸福度数が上昇する。「毎月じゃなくて良いけど、浜松に行ってもこの店には来たいねぇ」妻がこれ程絶賛する店の味とサービス、新幹線に乗ってでも来ない訳にはいかないだろう。その代わり、ふだんは家で料理作って食べる生活だよ。「もちろん!オッケーだよ。でも料理は作ってね」ふぅ。お気楽妻の生活は、いつでも、どこでも、羨ましいぐらい幸福そうだ。

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