リンコウくん登場!「マスターズ・スカッシュと世界の水準」

Photoールド・マスターズ・スカッシュOVER35の予選。こんな相手にここで負けたら皆に合わせる顔がない!(本人談)との思いで勝ち進んだ、我らがコーチ兼ツアーの団長でもある山ちゃん。本戦の1回戦の相手は、シード選手のPascal LINCOU(FRA)。ん?どこかで聞いたことがある名前だな。会場はクライストチャーチ・フットボール・クラブ。試合開始が遅い時間ということもあり、その日の試合を終えた日本選手団(結団はしていないが)20数名がほぼ全員集結した。4面のコートの後方にはガラス張りの窓を隔てて大きなメンバーズ・サロン。カウンタバーで、ソファで、ワインやビールを飲みながら観戦できる。試合を終えた大勢のマスターズたちが赤ら顔で戦績を語っている。

Photo_2合開始直前、コート後方にワイングラスを片手に集まる日本応援団とフランス応援団。それにしても対戦相手の名前が気になる。フランス応援団の1人にこっそり尋ねた。彼は元チャンピオンと同じ名前だけど…。「そうさ!パスカルは兄貴だよ!一緒にプレーしてたんだ」うひゃ!やはりそうか。山ちゃんには伝えないでおこう。両国の大応援団の前で試合が始まる。息詰るラリーの応酬。1ゲームだけなら文句なく世界的プレーヤー(IGA評)の山ちゃんがリード。フランス応援団から激が飛ぶ。「Allez! Pascal!(行け!パスカル!)」声援に応えるように彼のボールがニックに決まる。「C’est Bon!」確かに素晴らしいショットだ。そして、山ちゃんのクロスがバックコートに突き刺さる。C’est Bon?フランス応援団に尋ねると「Oui,C’est Bon!」と微笑まれる。良いヤツらじゃないか。お礼にワイングラスを掲げる。(ルネッサ〜ンス!などとは言わなかったが)1ゲーム目は山ちゃんが先取。

Photo_3の後もお互いに素晴らしいラリーが続く。日仏それぞれの応援団は相手のグッド・ショットにも拍手を贈る。実に良い試合だ。2ゲーム目からは次第にリンコウくんの自力が勝り、3バックで山ちゃんは惜しくも敗退。試合が終わり、フランス応援団の1人と話し込む。おめでとう。「Merci!YAMAZAKIは怖い選手だね。良い試合だった」ありがとう。聞けば、彼らはインド洋に浮かぶフランス海外県「レユニオン島」に住んでいる仲間だと言う。リンコウ兄弟はレユニオンの出身で、パスカルくんは今でも島で体育の先生をしているらしい。応援団も全員今大会に参加しており、今日は全員で応援に来たと言う。じゃあ、皆で一緒に写真を撮ろうよ。「おぉ!良いね!」ということで、2人の選手を囲み記念撮影。お互いのプレー(と応援)を讃え合い握手を交わす。この試合を観戦できただけでもNZに来た価値がある。パスカルくんにはぜひとも勝ち進んで欲しいものだ。

ころが、山ちゃんに尋ねると「いや、次は厳しいでしょう。相手は第2シードだし、現役ではなくても間違いなくPSAのトッププレーヤーだったでしょうからね。今日は僕が負けましたけど、ショットの切れは僕の方が良かったし、彼のショットだと通用しないでしょう」う〜ん、そんなものか。

Photo_4 して翌日。顔見知りになったフランス選手団の何人かと顔を合わせ挨拶。Bonjour! パスカルは今日はどうだい?聞けば、これから試合だとのことで2階から応援。…凄い。パスカルくんも善戦してはいるものの、第2シードのScott GARDINERのショットは桁違い。パスカルくんの素晴らしいショットを涼しい顔をしてリターンするばかりか、なぜそこに打てる?というコースにもの凄いスピードのショットが突き刺さる。ショットのヴァリエーションが無数にある。パスカルくんはコート内を動かされまくり、電池切れ寸前。ふぅ。これが世界のトップレベルのプレーか。パスカルくん、0-3で負けた後も、コート内でしばらく動けず。相手は息を切らした様子もなく、とっくにコートを出てしまった。パスカルくんに声をかけ写真を撮ろうとすると、辛うじて笑顔を向けてくれた。前日とはまるで別人。山ちゃんが、OVER35参加の女性プロたちが、身体で感じたかったという世界の水準がそこにあった。

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