30年目のピアノマン「ビリー・ジョエル@東京ドーム」

Photo1978年4月23日、ビリー・ジョエル日本公演当日。若き日の私は、共にアテネ・フランセに通う友人と一緒に中野サンプラザの前にいた。当日券が買えるかもしれないという僅かな望みを持って。前売りチケットは既に完売。前年に発売されたアルバム「ストレンジャー」が日本でも100万枚を超える大ヒット。急遽決定した初来日。窓口に並ぶファンも多い。残念ながら当日券も手に入らなかった。そして自分たちには幻になったビリーの生歌を頭の中でリフレインさせながら、中央線沿線の飲屋で安酒を酌み交わした。それから、30年。「ビリー・ジョエルの東京ドーム公演のチケット予約してみない♪」妻からの提案になんとなく頷いた。どうせチケットは取れないだろう…。ところが、2008年11月のある日、妻と私は東京ドームにいた。

Photo_2来日から30年を記念した1夜だけのスペシャル・ライブ。ほぼ定刻通りの7時には開演。懐かしい口笛が聞こえてくる。うわっ!1曲目はいきなり「ストレンジャー」かぁ…。思わず涙が出そうになる。一気に30年前の自分にタイムスリップ。初のビリー・ジョエルの生歌。生ビリーの体重は見事に増え、逆に髪は見事になくなってしまい、見た目は若い頃の面影はないけれど、声は健在。デビュー当時より太い声になってはいたけれど、高音もよく伸びる。シンプルなステージ(とPAの設定?)だったためか、音も悪くない。「マイ・ライフ」「素顔のままで」「ザンジバル」など、それ以降も日本のファン向けの選曲。まるで「ビリー・ザ・ベスト」のライブ版のよう。ビリーもなんだかとてもリラックスして歌っている。隣で(アリーナが取れてしまったので仕方なく)立ちっ放しの妻も終止笑顔。良いライブだ。そして、ラストは「ピアノマン」で締めくくられ、9時には終演。ふぅ、満足。

Photoられる時に行っておかないと、ライブではもう観られないと思うんだよね」そんな妻の提案で、今年は既にポリスのライブに行き、翌週にはある国内アーティストのライブに行く予定だ。全て東京ドーム。チケット代も決して安くはないけれど、これも一種の大人買い。若き日に聴き込んだ、でもライブに行くチャンスがなかったアーティストたち。妻も生ビリーは初体験。「でも「アップタウン・ガール」は演ってくれなかったね」妻がちょっと残念そうに呟く。そうだね。アップタウン ガァア♪シーズビィンリビィン…♬小さな声で喧噪の中を2人並んで囁くように歌いながら、東京ドームシティのイルミネーションの中を歩く。お気楽夫婦のミーハー心をたっぷり満たした良い公演だった。

Photo_2待した以上に声が出てたね。還暦間近なオヤヂなのに、凄いねぇ、やっぱり」閉店時間ぎりぎりに飛び込んだ飲屋でも興奮冷めやらぬ様子の妻。音や映像だけで憧れていたアーティストを(生きている内に)観ておきたい。そんな気持らしい。確かに、数年前にポール・マッカートニーを観に行った時も、そんなことを言いながら終演後に酒を飲んだ。しかし、ポールの時はスタンド席で生ビールを飲みながら、のんびりとビデオ・ライブのようなコンサートを味わった。けれど今日は、立ちっ放しのアリーナ席。唯一の不満。究極は、お酒を(座って)飲みながら、小さなライブハウスで、ビリーのピアノだけでライブを聴きたいねぇ。♬イッツナインノクロックオンサタデェ♪お気楽夫婦の頭の中で、「ピアノマン」がリフレインする。まったりと、まったりと、美味しい肴を摘み、美味しい酒を飲みながら。

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