☆☆☆の日々「ひのきざか」リッツ・カールトン東京(後編)
2009年 2 月08日(日)
こちらのお店は『ミシュラン』で☆獲られているんですか?今更ながらスタッフに尋ねるお気楽夫婦。今あなたが食べてる会席コースは“ミシュラン特別会席”でしょう(怒)!などとはおくびにも出さずに「はい。お陰さまで2年連続星をいただいております」とスタッフ。やっぱりそうですよね。ほんとに美味しいです。ちなみに、☆☆ですか?実に無礼な客。「ありがとうございます。“2年連続で”☆頂戴しました」と2年連続を強調して繰り返すスタッフ。「知らずにお邪魔したので…」と妻がフォロー。あ、と言う訳で覆面審査員ではありませんから、と無謀な発言の私。そんなギャグにももはや(当然)笑っていただけず、スルー。すっかり料理の美味しさに有頂天でした。はい、酔ってもいました。すかさずちょっと反省。どこかの国の首相のような不用意な発言を慎みつつ、さり気なく周囲を見回す。
気が付くと、窓に向かって並んで座れるカウンタ席には数組のカップル。どれもご出勤前の女性と、同伴の男性風。へぇ〜。不景気と言ってもこんな店で出勤前のお食事をご馳走できる方も多いんだなぁ。聞くともなく耳に入ってくる一組のカップルの会話。どうもまだ余り親しくないらしい。へぇ〜。郊外に自宅を建てたばかりなのか。なのに余裕だね。下世話ですいません。余計なお世話でした。とは言え、皆さん凄い。お気楽夫婦も国内外の旅行、ホテル滞在、外食など“無くなるもの”に金を使うことで(周囲に)知られてはいる。しかし、この店に気楽には来られないなぁ。「そうだね。もらったギフトカード(15,000円)がなかったら、ちょっと勇気がいるね」そうなのだ。人には何にいくら遣っても良いか、という水準がある。確かに美味しいけれど、2人はきっと(普段だったら)この店を選択しないし、できない。
「だいたい、『ミシュラン』に載っていると知ってたら、この店に来なかったかもね」と妻。うん、同感。決して編集方針に疑問を持っているからとか、権威主義に対して反発しているとか、そんな大げさなことではなく、2人は『ミシュラン』にほとんど興味がない。却って自分たちが好きだった店が☆を獲ってしまったら、嬉しさ半分、嫌悪半分という感情を持つに違いない。味やサービスという人によって大きく評価が分かれるものに、絶対的な評価はないというのが持論。それに人によって食に期待するものは違う。まして、「価格」という物差しなしで万人に向かって、この店は☆だ!ここは☆☆だ!と言ってもらってもなぁという気持。現に、2人のお気に入り旅館「湯どの庵」「亀や」が経営する「阿部」という店が赤坂にあり、行ってみようかと思っていた矢先、☆を獲ってしまい行きそびれた経緯がある。
「でもやっぱり、この店は美味しいね♪」と妻。うん、そうだね。美味しいし、サービスレベルも高い。コースも後半。炊合の筍や海老芋は柔らかで、繊細で、上品で、絶妙な味付け。生白魚を乗せた蒸しご飯など、涙が出そうなほど美味しかった。絶妙なタイミングでお酒のお代わりも勧められ、押し付けがましくない程度に料理や酒の説明を受けた。実に良い感じ。そして最後にダメ押し。紅茶と共にソーサーに載って来た“Happy Birthday IGA”のホワイトチョコレート。「予約した時に何かのお祝いですかって訊かれたんだ。なるほどね、こういう訳だったのね」舌も、気持も、すっかり満足。美味しい食事に調子に乗って飲み過ぎたけれど、妻の財布も納得。浮かれ気分でイルミネーションの残るミッドタウンを散歩。すると前職の会社の後輩からメールが届いた。「たいへん遅くなりましたが、お誕生日おめでとうございます!益々カッコ良いオヤジになってくださいませ!…」
ありがと。カッコ良いかどうかは別にしても、こんなオヤジ生活も悪くない。たまの“ハレ”の日に、こんな店に来られたら幸せだね。「うん、今日も楽しかったね♪」妻も最後まで辛口コメントは封印。ほんとにハッピーな誕生日。マイ・バースデーに☆みっつ!