座るデザイン、旅へのワクワク感「Haneda Terminal 2」
2010年 10 月24日(日)
アジアのハブ空港化を目指して羽田空港が変わる!羽田空港が本格的に国際化!新聞にはそんな惹句が並び、TV番組では生中継で映像を送る。2010年10月21日にOPENした羽田新国際線ターミナルが話題だ。4本目のD滑走路が完成。24時間運用が可能な空港として、10月31日からはチャーター便ではなく定期便として就航する国際便は17路線となる。しかし、成田と羽田の棲み分け、横田空域と呼ばれる在日米軍が管理するエリアを迂回するルート、高止まりする空港利用料が地方空港の建設に流用されている実態など、課題は山積。その上、先行するアジアのハブ空港である、韓国の仁川空港、マレーシアのクアラルンプール空港、タイのスワンナプーム空港なども拡張計画を発表しているし、空港施設の使い勝手などは香港国際空港、シンガポールのチャンギ空港など先行する空港が勝っている点も多い。
「東南アジアぐらいの飛行時間だったら、やっぱり成田まで行きたくないよね。地方からの乗り換えも、羽田の方が便利だろうし」妻の素直な感想。フツーの利用者としては当然の意見。「あの国際線ターミナルは貧相だったしね」一昨年、仕事が終わった足で羽田から香港に向った経験のあるお気楽夫婦。東南アジアを中心としたヴァカンスを楽しむことが多い2人にとって、羽田から海外に旅立つことも多くなるだろう。ところで、国際化のニュースの陰でさほど話題にならなかったが、10月13日に国内線第2ターミナルが(ひっそりと?)拡張された。主にANAが利用する第2ターミナル。ANAでマイルを貯めている2人には興味深い。たまたま、早々に利用しなければいけない機会もあり、フライト予定時間より早めに空港に到着して第2ターミナルを探検。
「なるほどねぇ。この吹抜けから左にだけロビーが広がっているのは不自然だなぁって思ってたんだよね」と妻。羽田空港駅の改札を上がって、右側にもロビーが完成。シンメトリーな構造になってデザイン的にも落着いた。そして拡張部分で目立つのは、建築デザインの“柔らかさ”。今までの日本の公共建築物は無機質とも言えるデザインが多く、楽しさが感じられないものが多かった。ところが羽田第2ターミナルには“遊び”の部分がある。例えば、3階ロビーにある「アッパー デッキ トーキョー」には、260種類の椅子が並んでいる。260脚ではなく、260種類。すなわち、世界各国のデザイナーによる個性溢れる椅子が、言い方を変えればバラバラなデザインの椅子が、並んでいる。コルビジェあり、イームズあり、マッキントッシュあり、天童木工あり。椅子マニアにとっては垂涎のコーナー。
屋上展望デッキにも、今までの日本の公共建築には見られないアイディアが。大量のLEDライトが埋められ、夜には星空のように点滅するというデッキ。カフェのテラス席に並ぶソファもリゾート風。壁面緑化されたスペースも心地良い。壁面に沿って並ぶ白い椅子たちは、ボックス席だったり、ラブチェア風のブランコだったり。遊び心満載。そして2階の到着ロビーに何気なく並んでいるのは、カッシーナ・イクスシーのソファ。それもパーツの組合せでパターンを変えてゼータクに並ぶ。座るデザインと楽しみがある。機能的であれば良し、効率最優先という今までの公共空間の発想ではない。なかなか良いプロジェクト。空間デザインに楽しさと余裕があることで、旅への期待感が高まる。今までの日本の空港になかったワクワク感が溢れるスペース。
「これで安くて美味しい食事が空港内でできれば、香港やチャンギと対抗できるね♡」妻の視点はシンプル。