鶴岡、横手、角館「北国の満開のサクラの下で」

ERI&FlowersBeer親の傘寿の祝いに向った故郷山形県鶴岡市。藤沢周平の故郷でもある城下町鶴岡のサクラは満開だった。2010年に藤沢周平記念館も完成し、サクラだけでなく観光客で溢れているという鶴岡公園を避け、穴場のサクラ名所を周遊。地元の人間だけが知る満開のサクラを満喫した後、桜前線と共に北に向った。鶴岡まではるばる200kmを迎えに来てくれたスカッシュ仲間の名は、TSURUちゃん。鶴つながりで、なんとなく吉祥の予感。強気の商売でランチもコース予約だけとなった「アルケッチァーノ」のお隣、「イルケッチァーノ」でランチ。ウェディングで貸切になるという店内ではなく、テラス席なら空きがあるという。OK!さっそくの幸運。地ビールを飲みながら庄内イタリアンを味わう。

Sakura3Sakura1解け水で水量の増した最上川を遡る。鳥海山を横目に、横手を一旦通り過ぎ、日が暮れる前にと角館に急ぐ。角館街道で玉川を渡ると、急に桜色の風景が目に飛び込んでくる。古い屋敷や蔵の間にサクラ。川沿いにサクラ。雑木林の中にサクラ。名に負うサクラの国に迷い込んだらしい。車窓からの風景に既に浮き足立つ。武家屋敷の枝垂れ桜の通りを抜け、桧木内川沿いを走る。サクラの回廊。既に大勢の人。臨時駐車場に車を停めて川堤に急ぎ向う。多くの出店に目もくれずサクラの土手に上がる。絶句。感嘆。夢の中の景色のようだ。これ程のサクラ風景は観たことがない。画像や映像での経験は吹き飛ぶ。カメラにも収まらないサクラの連なり。妖艶なほどの全長2kmのサクラの帯。素晴らしい。満足。

KikizakeSakura4手に戻り、秋田の名産を味わう。それも古くからの食材をアレンジした絶品。いぶりがっこのカルパッチョ(これが抜群に旨い!薄くスライスした薫製漬物にオリーブオイルとブラックペッパー!)をつまみに秋田の利き酒。しょっつるカマンベール(カマンベールに秋田の魚醤を振りかける)などは酒が進んで困るほど。しみじみと実に旨い。なんてことはないアイディアながら、素晴らしい組合せ。幸せに酔い、幸せに眠る。そして翌朝、横手城が聳える横手公園でサクラを眺める。天守の展望台に上り見下ろすサクラも、天守を見上げるサクラも、これまた素晴らしい。いずれも計算したように満開の頃、サクラの樹の下で、サクラの色香を味わう。絢爛で、繊細で、儚いサクラは北国の春に良く似合う。

hanamakiMoriokaReimen日の横手焼きそばは期待し過ぎでしたか」すっかり地元贔屓になったTSURUが心配そうに言う。いやいや、あんなもんでしょう。「じゃあ、スカッシュの後は盛岡で冷麺ですかね」と続ける。…そうなのだ。このスカッシュ仲間は、僅か2泊3日の旅の行程にスカッシュを入れることを提案した。そして横手から60km離れた森山総合公園にてスカッシュ。提案を受け入れ、ラケットとシューズを入れたトーナメントバッグを抱えて旅したお気楽夫婦。どちらもどちらではある。2時間ほどスカッシュで汗を流し、シャワーの代わりに20kmほど離れた花巻温泉郷へ。この距離感が田舎ならではの楽しさ。川沿いの巨大な温泉旅館の千人風呂でさっぱり。ドライバーに許しを得てビールをぐびり。これを幸せと言わず何と言おう。

岡で予定通りビールと共に冷麺を食し、帰路の新幹線の車中でさらに飲み続けていると子供のような感想がメールで届いた。「サクラも、食事も、酒も、スカッシュも、お風呂も全部楽しかったです。ありがとうございました」…良いヤツだ。この旅のために、事前に同じコースを下見ドライブしてくれたという。こちらこそありがとう。彼がいなかったらこの時期に北の国を訪ねることもなかっただろう。満開のサクラの下、記憶に残る春の旅だった。

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