10度目の♬「HongKong紀行」

Mt.FujiHongKong1995年12月、お気楽夫婦は初めて香港を訪れた。1997年の香港返還前に、どうしても香港を訪ねたかった。間もなく香港というアナウンスに窓から外を覗くと、機体のすぐ下には摩天楼。ビルの群れを掠めるように着陸し、降り立ったのは香港啓徳空港。混雑を極め、薄汚れた空港ターミナルビルを彷徨う。何とか街の中心部に向かうバスに乗り込む。通り沿いのビルから物干竿が突き出され、洗濯物が風にたなびく。エアコンの室外機が落下してきそうな恐怖に駆られる。悪名高き九龍城砦は前年に解体されてしまっていたけれど、初めて訪れた旅行者にとってはどのビルも悪の巣窟に見える。

ParcWanchaiテルのある湾仔(ワンチャイ)の街をおっかなびっくり歩いてみる。街を歩く人が皆自分たちを騙す悪人に見える。看板だらけの明るい大きな通りから、足下も覚束ない薄暗い裏通りに入ると、ますます不安が増す。ガイドブックを片手に何とか辿り着いた店にあるのは、広東語表記だけのメニュー。ビールくださいと英語で言っても、全く伝わらない。何とか食事を済ませ、トラムが走る通りの近くにある公園に立ち寄る。ビルに囲まれコンクリートで被われたグランドで、子供たちはサッカーに興じ、スタンドではオトナが屯している。麻薬の密売取引でもしている空気に怯える。…今となれば笑い話。

JunkPanorama2013年12月、10度目の香港訪問。18年前と同じホテルに宿泊。2人とも30代だった18年前は、中庭に面した狭い部屋だった。今は貯めたポイントでアップグレードし、ハーバービューの広い部屋。九龍や中環の景色が目の前に広がる。ジャンク船やスターフェリーが行き交う風景をのんびり眺める。18年前の香港旅行のテーマは、直前に手に入れた『別冊太陽』の特集のタイトル通り「香港を食べに行く」旅。暴飲暴食を重ね、初めての香港から帰ってすぐに体調を崩し、点滴のお世話になった。けれど、香港の味にハマった。それ以来、訪問回数を重ねてもそのテーマは変わらない。

MarketHongKongSquashOpen年はどの店に行こうか」妻のファイルには、エリア別、ジャンル別にレストランの長いリストが並ぶ。18年の間にはお気に入りの店も増えた。優先度を明確にしないと短期間の滞在では行ききれない状況になった。「龍景軒は外せないし、夜上海でも絶対に食べたいしなぁ」結局メインのランチに確実に行きたい2軒、新規開拓が1軒、夕食は当日の体調任せということになった。と言うのも、定宿となった湾仔のグランドハイアットのラウンジで過ごす時間も香港訪問の目的のひとつ。夕暮れ時のヴィクトリアハーバーを眺めながら、シャンパンを味わうという至福の時間。ビュフェのオードブルの美味しさに負けず、食べ過ぎなければ夕食をきちんと食べる。負けてしまったら麺粥店で軽く済ませる、というのが定番コース。

合は何試合か観られれば良いよね」この季節、日程が合えばスカッシュの「香港OPEN」を観戦できる。テニスで言えば4大大会クラスの世界的大会。へなちょこスカッシュプレーヤーの2人は、観戦が目的で香港に向かうことは少ないけれど、それでも香港OPENの試合観戦は4度目。世界トップクラスのプレーを間近に観るチャンス。2時間以上続いた熱戦もあり、終了予定時間を大幅に超える。観戦は満腹、そして食は空腹ということで、いくつかの試合を観ずに会場を出る。「やっぱり香港は、食べなきゃね♬」小食ながらも貪欲な妻の目が輝いた。

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