金沢を味わう「海の幸と加賀料理」
2014年 3 月23日(日)
富山〜金沢の出張初日、富山での仕事を終え、夜遅く金沢に到着。さぁて、何を食べようか。金沢は美味の宝庫。寒ブリやズワイガニも旬にぎりぎり間に合う。出張とは言え、金沢の夜を楽しみにしていた。とは言え、一人旅。雨が降り続く寒空を眺め、近場で済まそうとホテルの客室にあったガイドブックを手に取った。有名な回転寿し屋の広告があり、海鮮丼がウリの寿司屋の記事があり、どのページを開いても冬の日本海の幸が扇情的な写真で迫って来る。どれも旨そうだ。困る。迷う。すると、宿泊しているホテルの目の前にあるという居酒屋の広告が目に入った。「ご馳走・四分一(しぶいち)」という、ちょっとこぢゃれた店。これだ。自分の直感を信じ、さっそく店に向かう。
通されたのは4人用の座敷席。メニューをのんびりと眺める。天狗舞、菊姫、加賀鳶など、地元石川の酒が豊富なのが嬉しい。何種類かある天狗舞のラインナップの内、しぼりたてをチョイス。お通しの小鉢料理を摘みながら、季節限定の生酒をぐびり。フレッシュな香りで飲口の爽やかな酒。旨し。ブリやノドグロなどの地の魚、加賀野菜を使った料理など、東京辺りのメニューとは違い、地元色が強く出ているのが嬉しい。楽しく悩みながら、ノドグロのお造り、鴨の治部煮、加賀野菜の白麹一夜漬けなどを選択。これがまた、どれも旨し。口福で幸福な味。居酒屋価格でノドグロの皮を炙った刺身の甘みと旨味を堪能。治部煮も濃厚でとろりとした汁が味わい深く、うまうま。
金沢は伝統工芸品や芸能だけではなく、加賀伝統野菜が栽培され広く流通している。その日味わった一夜漬けも、加賀レンコン、源助大根などを使ったもの。旅先で地元ならではの食材を食べられるのは嬉しいものだ。翌日、遅めのランチを取ろうと近江町市場へ向かった。「おみちょ」と呼ばれ親しまれている江戸時代から続く金沢の台所。2009年に再開発が行われ、古くからの市場の雰囲気は残しつつ、「近江町いちば館」というビルを建築し、商店街としての機能を高めた。2階には飲食店が多数入居し、海産物や加賀野菜の料理を味わうことができる。その中の1軒で鮨を食べようという作戦。派手な写真付きのメニューが並ぶ、いかにも観光客向けと思われる1軒に突入。
案内されたカウンタ席に座ってびっくり。廻らない寿司屋なのに、カウンタにはタッチパネル付き。げげっ!オーダーは全てこのパネルからということらしい。ガス海老やノドグロの炙りなど、きちんとしたネタがあり、きちんと美味しい握りが出て来るのに、実に残念。何貫かお好みで食べていると、「タッチパネルは味気ないんですけど、若い方は注文しやすいようなんですよ」と申し訳なさそうに板さんが話しかけて来る。オヤヂは会話しながらネタを頼みたかったなぁと思いつつ、軍艦セットやら加賀野菜のひとつ金時草とカニの細巻やらを味わう。ん、ネタは良いんだけどなぁ。惜しいなぁ。サクッと食べて店を出る。それでもお勘定はお得な金沢価格。かなり満足ではある。
「金沢良いなぁ。ガス海老買って来て!」facebookに写真をアップすると、すかさず妻から指令が書き込まれた。残念!ガス海老は地元で食べるだけで、お持帰り禁止らしいよ(笑)とリプライ。それにしても金沢の飲食店のレベルは高い。居酒屋でもきときとの魚やキリッと冷えた地酒を楽しむことができ、観光客向けの寿司屋でもキチンと美味しい。次回はプライベートで(金沢未訪問の妻を連れ)、来春開通の北陸新幹線に乗って訪ねよう♬