鮨の旨さはグローバル「鮨いち伍」
2015年 4 月25日(土)
「Bethesdaに行きましたですね。私が育った街です。懐かしく見ていました。帰国後にお会いしてお土産話を聞きたいです。よろしくお願いします!」2012年夏、ワシントンD.C.に駐在していた大切な友人を訪ね、彼女たちが住んでいた街の交差点で撮影した写真をブログにアップしたところ、USA出身のスカッシュ仲間から(ほぼ完璧な日本語で)メールが届いた。え!そうなんだ。なんという偶然。奇遇。ではせっかくだからfacebookで繋がれるようにと2人を紹介。すると、お互いにスカッシュの試合会場で見かけたことがあったらしく、さっそくfacebookで友だちになり、翌年に休暇で故郷に帰った際に、ベセスダで一緒に食事をしたとの報告。なんだか嬉しいご縁。
2年後、大切な友人:マダムはDCから帰国したのも束の間、今度はミャンマーに赴任するご主人に帯同するのだという。またしばらく会えないということで、行きつけの鮨屋にお誘いする。ん?待てよ、だったらUSA出身のスカッシュ仲間もご一緒に、とお誘いしたところ、2人とも快諾。DC繋がりの4人の会になった。店の名前は「鮨いち伍」。京王線千歳烏山駅から7〜8分の距離。近くまで来たとの電話に、2人を迎えに向かう。違和感なく現れた2人だけど、あれ?そう言えば2人は、日本で会うのは初めてじゃない?「そうなんです」と声を揃える。4人でfacebookのメッセージをやり取りしているものの、全員で一緒に会うのはもちろん初めて。これまた不思議なご縁。
生ビールで乾杯。すると突き出しタコの甘辛煮が登場。ワサビを付けてパクり。絶妙な柔らかさ。旨し。イカの握りからおまかせのコースが始る。美しい飾り包丁が入り、煮切り醤油をひと刷毛。イカの白と醤油の赤のバランスが眉目麗しく、ひと口で頬張ればもちろん美味しい。端正な江戸前の鮨。満足そうに頷く2人のゲスト。うん、良かった。そんなタイミングで大将に2人を紹介し、USA出身のスカッシュ仲間は自宅で鮨を握る、日本人より日本人らしい方なのだと伝えると、焦るスカッシュ仲間。「こんな鮨を食べて、自分で握るなんて言えません」と言いながらも大将の手技を真剣な眼差しで眺める。こぢんまりとした店ならでは。2人もリラックスして楽しんでいる。
日本酒にしましょうか。嬉しそうに頷く呑んべな2人。望むところだ。石巻の辛口純米酒「日高見」をいただいた後に、大将おススメの「鶴齢(かくれい)」をいただく。新潟県魚沼にある青木酒造の純米吟醸。軽やかで上品な香りの柔らかな酒。ん、旨い。鯵、鰯などの青魚、マグロの漬け、大振りの煮ハマグリ、絶品の鮨ネタとの相性も良い。「美味しいね。やっぱり和食は素晴らしいなぁ」とマダムが呟く。本格的に渡航する前に、住まいの下見などのためにミャンマーを訪れ、帰って来たばかりのマダム。外国人はホテル住まいを強いられること、片側10車線の高速道路、などなど、不思議の国ミャンマーのエピソードに興味津々。「来年は遊びに行くよ」とお気楽妻が意気込む。
マダムの居住遍歴は、ワシントンD.C.だけではなく、スイスやイランなど、実に波瀾万丈。日本語バリバリのUSA出身のスカッシュ仲間も含め、その日の話題や情報はなんだかグローバル。と言うよりは、鮨も握れるベセスダ育ちの日本語が堪能なアメリカ人もいれば、日本で暮した年月と同じくらい海外で過ごしたネイティブ英語の日本人もいる、だけのこと。生まれ育った国、暮した国には関係なく、その人を形成するのは嗜好や志向。何をしてきたのか、何を目指してきたのかという先に現在があり、こうして美味しい鮨を食べている。あれ?今日は何を言いたいのか。(実は風邪を引いて思考モーロー)何はともあれ、美味しい鮨はグローバル。