上海がにの夜「萬来軒&BAR808」

Banrai1年も上海がにの季節になりましたね♬」毎年そんな書き出しで、お気楽妻から仲間たちにメールが送られる。“毎年”と書いたものの、ふと気が付いて過去の自分のブログを読む。すると、昨年はリノベーションのお祝い会、一昨年は上海がにの品質が良くないとのことで上海がに抜きで集まっていた。つまり、メンバーは同じではあるけれど、3年ぶりの“上海がにの会”ということになる。さらに、古い手帳で確認してみると、1999年から毎年開催している事が分かった。ということは、通算15回目の開催。すごい!17年の間、1組の友人夫妻はNYCに赴任し、帰国。仲間の1人は秋田に転勤し、秋田美人を娶って帰って来るはずだったのに叶わず、独身生活を続けている。そしてお気楽な2人は2000年に入籍し、晴れてお気楽な“夫婦”となった。

Banrai4えば、この17年の間に、参加するメンバーにもいろいろなことがあったのだ。もう1組の友人夫妻はマンションを購入し、愛猫たちと仲良く暮らしている。残念ながら1組の友人夫妻はご一緒できなくなってしまった。“同じ”と書いたものの、メンバーも変わり、メンバーそれぞれの暮らしも変わっている。今年もこうして集まることができたことは、ありがたいことなのだとシミジミ。そして変わらないのは、ご近所の名店「萬来軒」の絶品四川料理。調理担当のおじちゃんも、接客のおばちゃんも、すっかり歳は取ったけれど、高レベルの味と気怠い接客は健在。「あぁ、いらっしゃい。あら5時からだっけ?」とおばちゃんに迎えられ、「上海ガニはオス、メス合わせて1人1パイで良いですか?」とおじちゃんが厨房から確認しに来てくれる。

Banrai5杯!」ビールで喉を潤した後は、速やかに甕出し紹興酒に変える。上海ガニへの準備は始まっているのだ。ぷりぷり牡蠣の甘辛炒めも、香ばしい芝麻醬が利いた四川水餃子も、もちろん美味しいけれど、主役はあくまで上海ガニだ。大皿に乗った柿色の上海ガニが登場すると、きゃー!という歓声と共に、一斉に撮影タイム♬外子と内子をたっぷり抱えたメスがに、白子を抱いた大ぶりのオスがに、両方を一緒にいただくのは初めてだ。身を取り出す作業はカップルで、剥きながら食べる夫婦あり、全て剥き終えてからじっくり楽しむ夫婦(ウチです)あり。性格と夫婦の関係性が露見する。その間も間断なく会話と笑い声は続き、「わぁ〜、オスも濃厚で美味しい!」「やっぱりメスの内子と身を混ぜるのが良いな」などと感想が交差する。幸福な時間。

Banrai6海ガニを食べ終わると、自宅から持参したおしぼりが配られ、各自が持参した“カニフォーク”と“キッチンバサミ”が仕舞われる。友人たちが一斉に殻を剥き、身をほじることができるように、店が用意してくれるハサミ以外に自分たちで準備することが恒例となった。これら一連のお約束作業でメイン料理の蒸蟹の儀は終了。そしてその後、もう一つのメイン、麻婆豆腐が登場する。中国山椒のなんとも言えない芳しい香りが漂い、鼻腔を刺激する。何種類もの自家製豆板醤が絶妙に組み合わせられた、中毒性があり定期的に食べたくなってしまう、おじちゃん自慢の一品だ。「おばちゃん、白メシ!」ラガーマンだった友人(夫)が、美味しそうに丼飯を豪快に頬張る。痺れる辛さに頭のてっぺんから汗が出る。これが17年間変わらないこの店の味だ。

Banrai7味しかったぁ。おぢちゃん、ごちそうさまでした!」店を出た後は、2次会の「BAR808」に向かう。飲み足りない何人かにはよく冷えた白ワインを、飲まないメンバーには香り高い紅茶を。笑顔が続き、淀みない会話が続く。NYCに友人夫妻を訪ねた時の話になり、「シャインマスカットって初めて食べたけど美味しいね」「えぇ〜っ、何度か食べさせたよ!」というような夫婦の会話があり、スカッシュの話題になる。「うははは!お腹痛ぁい」と涙目になりながら笑い続け、夜が更けていく。「春にもまた集まろうよ!」と誰かが言い「そうだ、萬来軒に食べに行こう♬」と誰かが答える。“毎年”というのは、決して永遠に続くことではない。そうだね、こうして来年も皆で会えると良いね。今年の秋も、こんな風に上海ガニの夜が更けていく。

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