待望の一軒「高太郎/渋谷」
2018年 9 月30日(日)
繋がるまで何度電話しただろう。予約の開始は1ヶ月前の13時30分。もしかしたらと事前に掛けても虚しく音声案内が流れるだけ。そして開始時間から何度リダイアルしても、話中の音が聞こえるだけ。かつての「チケット○あ」状態。何十年も前に、ネット予約はおろか、音声自動応答受付もなかった頃、「チケット○あ」コールセンター長だった自分を思い出す。あぁ、あの頃のお客様は、きっとこんな気持で電話を…。(涙)
何日かトライし、ようやく電話が繋がった後の店のスタッフの応対は、意外な程にゆったりと落ち着いていた。やっと繋がったのだと伝えると、今ぐらい(夕方)が比較的繋がるんですよとの答え。とは言うものの、1ヶ月先の日程は満席。ところが、その当日を含め何日か空きはあると言う。さすがに当日は無理として、他は予定が入っていた週末。えぇいっ!何とかしよう!と、席を予約。予定を変更し、同行者も確保した。
渋谷の駅から歩くこと数分。待望の居酒屋「高太郎」は、桜ヶ丘の小さな路地にひっそりと佇んでいた。…と、誰もがこんな描写をしがちだけれど、本当にそのままの風情。この周辺に土地勘があるお気楽夫婦は迷わず行けるけれど、同行のM嬢は「一人じゃきっと来られない!」と言うロケーションだ。店に入るとすぐに厨房とカウンタ席、奥に4人掛けテーブル3つ。和やかで幸福そうな雰囲気に満ち、良い店だと直感させる。
眺めているだけでも楽しいメニュー。どれにしようかと迷っている絶妙のタイミングで、スタッフから「お任せでいかがですか」と声が掛かる。どうやら客の多くはお任せで料理を頼むらしい。そこで少食なのでと伝えると、ではポーションを小さくしましょうと返ってくる。それは嬉しい。色々試したいし、店のオススメも食べてみたい。「ポテトサラダとメンチカツはぜひ食べていただきたい」とのこと。それでお願いします♬
初めに刺身の盛合せ。タコは塩で、カマスはワサビ醤油で、そして秋刀魚は肝醤油でいただく。それぞれのキャラが立ち、魚によって食べ分ける味の組合せも楽しい。これは良い出足だ。そして期待の「燻玉ポテトサラダ」と言う店の名物料理。ポテサラ好き、燻製好き、ゆで卵好きとしては、直球どストライク。これはポーションを大きくするか、お代わりをしたかった。次回にトライしよう。そう、この時点で再訪を決めた。
「熱いのでお気を付けください」と供されたのは、香ばしく、いかにも旨そうな面構えの「チコリとつぶ貝のグラタン」だ。熱々のチーズ香りとチコリの苦味、ツブ貝のコリコリとした感触が良い組合せ。これは良いね。ところで、いったいこの店の料理のカテゴリは何なんだろうと悩む完成度の高い味。そうか、悩むことなどなく、ここはオトナのための美味しい居酒屋だ。美味しい料理、旨い酒、居心地の良いスペース。
小ぢんまりとした店だから団体客は入れない。隠れ家風の敷居の高そうな店構えと、そこそこの料金だから、ワカモノには向かない。かと言って気取った料理ではないから気軽にリピートできる。電話さえ繋がれば、だけれど。「メンチカツ食べて初めて美味しいと思ったなぁ♬」もうひとつの名物料理「讃岐メンチカツ」に妻が驚く。揚げ物LOVEの私としては、自分が褒められたように嬉しい。これもまた中毒性のある味だ。
「最後のうどんまで食べられたね!」少食だと言いながら、シメの(毎日打っていると言う)手打ちのぶっかけうどんを平らげた。さらには、他にもいくつかの料理と、乾杯のビールの後には日本酒を4種もいただいた。どこが少食だ!と言う突っ込みはさておき、料理メニューには他にもそそられるモノがあり、やはりぜひ再訪したい店だ。「うん、また来よう!」と、お気楽妻も納得。では、また頑張って電話しようか。
*スタッフにその先の空いている日程を聞くと、残念ながらいずれも予定が合わず断念したが、1ヶ月以内の空いている日なら店内での予約も可能だ。ご近所にあったら、ヘビーユーザーとして月イチで通いたい店だ。