マイクロツーリズムvol.2「IGA&ERIの鎌倉案内」

Kamakura1Kamakura2川糸さんというお気楽夫婦馴染みの作家に『ツバキ文具店』という作品がある。鎌倉を舞台にした物語で、執筆に当り実際に作者が移り住んだこともあり、実在の街や店も登場する。そして『ツバキ文具店の鎌倉案内』という作者自身による鎌倉のエッセイも出版された。

Kamakura3Kamakura4夕の頃、糸さんの鎌倉案内を手に、鎌倉の街を訪れた。鎌倉は宿泊施設が少なく、泊まりがけでじっくりと訪れてみたいと思いながら、なかなか実現できないでいた。そこにこの春、鎌倉駅近くに「ホテルメトロポリタン鎌倉」が開業し、妻をなんとか連れ出せたのだった。

Kamakura7Kamakura8食を食べに出かけたのは、作品の中で文具店の店主であり代書屋でもある主人公「鳩子」を、代書のお礼にと男爵が連れてきてくれた「コシーナ・デ・ゲン」というスペイン料理の店。豆アジのコンフィは、冷えた白ワインがすいすいと進んでしまう逸品だった。

Kamakura5Kamakura6のもうひとつのテーマは「疫病退散」祈願。ホテルは鎌倉の名刹「鶴岡八幡宮」の参道である若宮大路に面し、予約してあった客室は二の鳥居と段葛を見下ろす抜群のロケーション。夜の八幡様にお詣りし、茅の輪をくぐり、コロナ禍が少しでも早く収まるように祈った。

Kamakura9Kamakura10朝早く出かけたのは「鎌倉市農協連即売所」略して“レンバイ”という、作品の中に何度も出てくる地元住民の交流の場。採れたての鎌倉野菜が並び、即売所の一角には鳩子の子供になるQPちゃんが大好きなニコニコパンのパン屋「パラダイスアレイ」の不思議な佇まいも。

Kamakura11Kamakura12前に咲く花の余りの美しさに思わず足を止め、立ち寄った「大巧寺」は安産祈願の小さな寺。妻が(予定日間近の若い同僚の)安産を祈願するのだと、疫病退散と合わせて丁寧に祈る。参道の樹や花に名札が付けてあり、住職の(あるいは奥さまの)優しい顔が思い浮かぶ良い寺だった。

Kamakura13Kamakura14倉土産と言えば、豊島屋の「鳩サブレ」か、鎌倉紅谷の「クルミっ子」の二択。どちらも作品中に登場し、どちらか迷うところだが、お気楽夫婦は迷わずどちらも購入。因みに、主人公の鳩子と鳩サブレの名の由来は、八幡様の「八」の字が寄り添う二羽の鳩であることから。

Kamakura15Kamakura16雨時とは言え、週末にこれだけ人がいない鎌倉の海は初めてだ。材木座も、由比ヶ浜も、波間に浮かぶサーファー以外は、ぽつんぽつんと僅かに人影があるだけ。旅の帰りに立ち寄った横浜の「ぴあアリーナMM」の威容も、観客を入れられず寂しそう。素晴らしい会場なのに。

Kamakura17の終わりに、ホテルのフロント前の七夕飾りに、コロナ退散を願い何十年ぶりかに短冊をぶら下げた。観光地である鎌倉では、感染拡大防止は徹底して行われていた。お気楽夫婦も遵守した。経済を回すことと、感染防止のバランスの舵取りは難しい。この鎌倉行も、ブログに記すことも、躊躇いはあった。正直、今のところ正解は分からない。賛否両論。ただ、人の少ない鎌倉の街は歩きやすく、そして寂しく、ちょっと悲しい。

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