インバウンド混雑前に「オトナの京都旅」

Kyoto01ロナ禍で遠出ができなかった2年余り、都内中心のホテル三昧だったお気楽夫婦。それはそれで楽しいけれど、やはり、どこか遠くに行きたい♬と、歌ってしまう日々。ワクチンも打ったし、インバウンド観光客が街に戻り、街々の通りに溢れる前にと京都に向かった。梅雨入り前、街歩きには良い季節だ。京都初日、鴨川沿いのビストロ「イカリヤ食堂」で、暮れなずむ景色を眺めながら白ワインをぐびり。幸福な旅の時間だ。

Kyoto02日はホテルで自転車を借り、インバウンド人気の伏見稲荷大社に向かう。この社は観光客が戻って来たら大混雑間違いなし。今行っておくべきリストの筆頭だ。ところが、お気楽夫婦は忘れていた。修学旅行生の存在だ。今時の修学旅行は少人数でタクシーを駆って、機動的に街を動き回る。伏見稲荷にもさっそく何組ものグループがワサワサと溢れ始めていた。とは言え、最盛期には遠く及ばない人出。ゆったりと参拝できる。

Kyoto03えるスポットとして人気の千本鳥居でも、ほぼ人のいない状況を待って撮影ができる。これはかなり嬉しい。ここの混雑ぶりは数年前だったら朝の通勤風景と同じだったはず。「来た事あったかなぁ。子供の頃に来たと思うんだけどなぁ」と言う妻は、果てしなく連なる鳥居に新鮮な眼差し。私も学生時代に訪ねて以来、実に数十年ぶり。ほぼ2人とも初見。幻想的な朱色のトンネルの、場所本来の神々しさを味わうことができた。

Kyoto04荷山の麓、池畔に建つ「バーミリオンカフェ」も外国人客に人気のカフェとのこと。けれどその日は待つ事なく入店でき、池を見下ろす最前列の席へ。新緑と蚊取り線香の煙(笑)に包まれながら、のんびりとした時間を過ごす。池には街では見かけない大型の鳥が翼を休めていたり、アメンボウが水面を滑っていたり。長閑である。すると、「あ!ヘビが泳いでる!」と妻。確かに長めのヘビが悠々と。…長閑にも程がある。

Kyoto05回の京都旅の宿は「パークハイアット京都」。2019年に日本国内2番目のパークハイアットとして開業し、早々に訪れたいと思いを寄せていたのに、コロナ禍で叶わなかった待望のホテルだ。東山の丘麓、高台寺に隣接し、老舗料亭「山荘 京大和」の敷地内に建つ、抜群のロケーション。高級旅館を思わせる車寄せでスタッフに迎えられ、中庭を横目にアプローチを歩き、エントランスを入った瞬間、空気が変わった。

Kyoto09謐な空間に柔らかなホテルスタッフの笑顔と挨拶が溶け込み、リラックスした時間の中で、背筋はピンと伸びる。心地良く嬉しい緊張感。そして客室に入った途端に術中にハマる。山肌に沿って建つ独特の構造で、エレベータを2度も乗り換えて6階の客室に着いたはずなのに、広い窓ガラスの向こうには緑豊かな庭が広がる。そして樹々の奥には京都市街と八坂の塔。はい、参りました。2人揃って、ストンと恋に落ちた。

Kyoto06んな魅惑的なホテルからのダメ押しは、夕刻にやって来た。予約して向かったバー「琥珀」。京都の街に向かって広がる窓、八坂の塔を望み、京都市内を一望できる、これぞ「The KYOTO」と言う眺め。その景色に正対するカウンタに座り、沈む夕陽にぴったりの赤いオリジナルカクテル「ザ ガーデンズ」をいただく。カクテルと同様に顔を真っ赤にしながら、この恋がディープなものになったことをはっきりと自覚した。

Kyoto07れにしても、このホテルはずるい。この景色はずるい。イケズだ。決して自分のものではなく、借景としてただ眺めさせてもらっているだけなのに、独り(2人)占めしているような、この所有感。そして多幸感。すっかり魅せられてしまった。「きっとまたここに来るね、私たち。と言うか、絶対に来なくちゃだね」妻がそう呟き、私は深く頷く。オトナの京都旅に相応しい宿、パークハイアット京都。再訪必須のホテルだ。

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