頑張れ!オーナー!「自由が丘の洗礼、シモキタの夜」

SabaIGAさん、新店舗の候補として、良いな!という店を自由が丘で見つけました。あまり土地勘がないので、アドバイスをお願いできませんでしょうか」年に何度か通っているフットケア店のオーナーから、そんなメッセージが届いた。調べてみると人通りの多いなかなか良いロケーション。良かったら街を案内しますよ!とすぐに返信。さっそくスケジュールを調整し、自由が丘の街を一緒に歩く。「オシャレだし、人通りが多いし、やっぱり良い街ですね。それと、あちこち回ってもらいましたけど、ウチの店(まだ契約前ですけどね)辺りが一番良いなぁ」すっかり良い女(好物件)に惚れてしまったオヤヂの眼差し。けれども良いオンナには、気難しい父親の存在があった。自由が丘は「街並み形成指針」というルールがあり、自由が丘らしさを守るために、建物だけではなく看板などの店舗意匠に厳しい自主規制があるのだ。

Sasaiwai由が丘の洗礼ですね。IGAさんがおっしゃる通りでした」物件の大家さんとの何度目かの交渉を行い、見事に(笑)玉砕したらしいオーナーから連絡が入る。では作戦を練るためにシモキタ辺りで飲みましょうかとお誘いすると、「ぜひ!」と即答。改札で待ち合わせ、「都夏」という老舗居酒屋で乾杯。「そう言えば、一緒に飲むのは初めてですね」とオーナー。彼の店には創業の頃からご縁があり、年に2、3度の訪問ながら長いお付き合い。私のブログに早々に登場したこともあり、古くからの愛読者で、facebook友だちでもある。お店は世田谷の高級住宅街の駅前に立地し、台湾式の強烈に痛い足裏マッサージ、角質などを削るフットケア、巻爪や甘皮処理などの爪のケアなど、幅広いサービスメニューがある人気店。彼自身は、TV出演や本の監修などもあり、「東京フットケア協会」を立ち上げた業界の有名人(?)でもある。

Sanma祝がある!おぉ〜っ、東京でこの酒が置いてあるなんて、嬉しいなぁ」仕事の話もそこそこに、お互い飲んべ同士、盛り上がったところで彼の故郷の酒を発見。さっそくオーダーして乾杯。「この酒蔵はウチの実家の近所で、子どもの頃屋根の上に登って怒られたことがあるんですよ。それにしても何でこの店にあるのか聞いてみよっ」サービス業の彼、飲食店のスタッフにすぐに声をかける私、どちらともなくフロア担当の女の子といろいろと会話を交わしていた。さすがにその子では分からず、「店長に聞いてみまぁす!」と彼女が連れてきた店長の説明によると、蔵元の社長と縁があり、11月には社長も招いてイベントも行うのだという。「うわぁ、来たい!IGAさん、一緒に来ましょう!」は、はい。その後もサンマの腹になぜ鱗が入っているのか、などと訳の分からない話題で盛り上がり、妻と合流するために2軒目に。

Yamamotoだかご機嫌だね、2人とも」馴染みの泡盛&焼酎BAR「Aサインバー2号店」で、残業帰りの素面の(元々飲まない)妻と合流。これまで厳しい交渉が続いている経緯を妻に説明。それを傍で聞いていたオーナーは「はい、頑張ります!」とすっかりご機嫌。酔っ払いの2人と、うっちん茶の妻で改めて乾杯。妻は痛みに強く、足裏マッサージで涙を流さんばかりの私と違い、涼しい顔で施術を受ける。毎回1時間ほどの施術の間に、妻も私もいろいろな話をしてきたし、お互いの人となりを知ってはいたけれど、こんな場で話をするのは初めて。新鮮で不思議な気分。楽しい酒だ。「あなたが男性と2人で飲むのは珍しいよね」妻の指摘もごもっとも。…とは言え、記憶はこの辺りから朦朧とし、オーナーと妻の写真を何枚か撮ったことは後で画像データを見てほんのりと思い出し、自主的には覚えていなかった。やれやれ。

い街ですよ、自由が丘は。ぜひこの街で一緒に仕事をしましょう。そんなメッセージは(酔っ払ってしまう前に)伝えられたと思う。街を愛するオーナーが、店主やスタッフたちが、街を守り、育て、元気にしている。商店街振興組合の活動も盛んで、金融機関のスタッフたちさえも、イベントに積極的に参加する。街の最大のイベント「自由が丘女神まつり」までに契約は間に合わなかったけれど、この環の中で共に働き、楽しめたら良いね。10月11日〜12日「女神まつり」開催、天気も回復しそうだ。いざ自由が丘へ♬

この店で、この席で「割烹 弁いち」浜松

BenichiCounterめてその店を訪れたのは2008年春、義父母と共に4人での訪問だった。その店、妻の故郷浜松にある「割烹 弁いち」の料理と酒に惚れ、妻と一緒に浜松に出かける度に、年に数回通う店になった。「出かけて食べるのが億劫になってきてねぇ」義父母がそんな淋しいことばを出すようになったのは、ここ数年。この秋の帰省の際に、一緒に食べに行こうと誘うと「ふたりで行っておいでって」妻から残念な報告があった。それでは仕出しをお願いしようかと店に連絡。店主と「お酒もお出しできたら良いですね」と冗談めいたやり取りをしていた。そこに「やっぱり行こうかなってさ」と嬉しそうに妻から連絡があった。思い直し、わざわざ電話をしてくれたらしい。ありがたいことだ。

FamilyAppetizerと同様にお酒を飲まない義父母。その上すっかり少食になり、食事に出かけても愉しめないらしい。では、せめて一人娘と一緒の時くらいはと、毎回食事に誘うものの外食の回数は減っていた。では今回は方針を変え、自宅で料理を作ろうかと毎晩腕を振るった。そして浜松滞在の最終日、新幹線に乗る前に「弁いち」でランチ、という唯一の外食企画となったのだ。小ぢんまりと品のある佇まい。いつもの4人用のカウンタ席の個室。座る順番もいつも一緒。「いらっしゃいませ」店主の鈴木さんの笑顔に迎えられる。義父母も他の店に比べ、馴染みがある分だけリラックスモード。まずはガージェリービールとお茶で乾杯。いつもの如く絶品の前菜。やっぱりこれは日本酒だな。

KikuhimeSashimiいち」という店の魅力は、ひとつひとつ吟味された食材と、その食材の味や香りを最大限に引き出す料理、それに何より料理に合わせて選んでいただける酒にある。その日の1杯目は「而今特別純米」。ほんのり甘い香りとキレのある味。んまい。天然きのこがいろいろ入った秋の汁物をいただいた後は「菊姫黒吟 平成十年」というレアな1杯。大吟醸を超えた「超吟」と蔵元が呼ぶ「菊姫吟」を三年間熟成させ、納得いく状態になって初めて出荷(それも特別配分という形で)されると言う、私如きがいただいても良いのか?というような酒。と言いながらぐびり、さらり、旨い。芳醇。幸福。そう言えば、この店で日本酒の底力を見直し、再び飲むようになったのだ。ありがたし。

OurokuSteak造りは甘鯛の昆布締めとマグロ。ねっとりと艶かしい甘鯛が舌に絡み、旨さのツボに刺さる。「美味しいよぉ」昆布締めの白身魚が好物の妻が唸る。食用菊の赤と黄が美しく、香り高い。「お二人にはメインでお肉かお魚をお出しして、後はお食事でいかがですか」義父母を気遣っていただき、品数を調整していただけるとのことだったが、彼らにはここまででちょうど適量の模様。もう少しだけとお酒もいただくと、最後に出していただいたのは、「王禄 純米大吟醸 2010」という銘酒。無濾過、火入れを避け、瓶で貯蔵されるなど、徹底した管理のもとで作られた生の酒。薄手の繊細なグラスでぐびり。くぅ〜っ、旨い。だからこの店を訪ねることは止められないんだよなぁ。

Mr.Suzuki回は年末に!」玄関先まで見送っていただいた店主の鈴木さんにご挨拶。次の帰省は年末ながら、御用納めの頃にはすでにお節作り態勢に入っており、店での営業はお休み。けれども、何年か前から「お節は弁いちさんで」がお約束。飲んべの婿殿のために、毎年忘れず義母が予約しておいてくれるのだ。年末の帰省の一番の楽しみは、何と言っても弁いちのお節料理。あぁ、今からあの味が待ち遠しい。そして、鈴木さんと一緒に、最後の訪問になるかもしれないからと、冗談を言いながら記念撮影。また、来年もこの店の、あの席で、4人揃って、・・・。

笑顔の鮎尽くし「用賀 本城」

Ayu1Ayu2将が頑張って用意してるので、ご自分の分だけしっかり召し上がってください」6人で予約したのに、急病で1人減ってしまったことを詫び、1人分の鮎を皆に回してもらえればと伝えると、女将さんが柔らかな関西弁でそう言ってくれた。その日の「用賀 本城」には鮎尽くし料理をお願いしてあった。一昨年、本城さんと何気なく交わした会話から始まった鮎尽くし企画も3回目。無念の欠席の建築家の友人を除き、昨年に続き同じメンバーでやってきた。「今日はデザートまでいかれますか」と初めてのテーブル席に本城さんが顔を見せてくれる。はい!と元気良く答え、まずはビールで乾杯。鮎料理最初の一品、一夜干しの鮎とウルカを食べながら、和食にも合うという丹波ワインをいただく。さっそくの美味に友人たちの笑みが零れる。幸福な時間のはじまりだ。

Ayu3Ayu4料理の合間にも季節の食材をふんだんに使った料理(ウニと子持ち昆布と生海苔の和え物とか、初物松茸の土瓶蒸しとか)が供され、いずれも絶品ではあるけれど、その日の主役は鮎。何やら調理場でざわざわしていると思っていると、本城さんが大きなボウルを抱えてやってきた。中には元気に泳ぐ活きた鮎。凄い!「航空便で送ってもらったんですけど、心配して何度も様子を見てましたわ」と、嬉しくて仕方のない幼い子供のような満面の笑み。初めて見る本城さんのはしゃぎっぷり。ふふ。何だかテンションが上がってきたぞ。しばらくすると、さっきまで泳いでいた鮎たちが姿造り(背ごし)で登場。「うわっ!いい香り。全く臭みがないねぇ♡」“香魚”と呼ばれる鮎の、その香りを食べ、味と歯ごたえを堪能するゼータクな1品。

Ayu5Ayu6いて子持ち鮎の塩焼き。香ばしく焼けた皮、絶妙に破けた皮からのぞいた卵、ほんのり苦く独特の香りのはらわた、飾り塩が美しく、頭や骨まで食べられるやや小ぶりの姿、ん〜っ、なんとも食欲をそそる。鮎料理の王道の美味しさ。日本人なら、年に一度は必ず味わうべき美味しさ。あ、もちろん日本人でなくても。そして子持ち鮎の梅煮。この何とも言えない柔らかな酸味と、ぱんぱんに膨らんだ福々しい子持ち鮎のハーモニーは何だ!塩焼きとはまた違った優しい美味しさ。あぁ、日本人で良かったなぁと思う味。もちろん、日本人以外にも通じると思うけど。ところで、ここまで何尾の鮎をいただいたのだろう。縄張り意識が強く、友釣りで釣れて(引っ掛って)しまう鮎。ひとつひとつの料理に釣られ、友だちを誘ってしまう味。ん?私は何を言ってんだ?

Ayu7Ayu8め押しに鮎の炊き込み御飯。嬉しそうに炊きあがった羽釜を見せてくれる女将さん。炙った鮎、針生姜をこれまた嬉しそうに混ぜてくれる本城さん。小ぶりの茶碗に上品に盛られ、三つ葉を添えた香り高き1杯。これは美味しいに決まってる。赤だし、京漬け物、もはや何も言うことはない美味しさ。あぁ、オトナになって良かったなぁとしみじみ。こうして幸福の味を共有できる友人たちがいてくれるのは、つくづく有難いことだなぁと、さらにしみじみ。秋の気配を感じながら、夏の小鮎と(琵琶湖の鮎は小さなままで秋を迎え、琵琶湖の鮎を別の川に放流すると大きく育つとのこと:本城さんに教わった薀蓄)、秋の落ち鮎、子持ち鮎を食すゼータク。実に幸福な時間だ。

気になったぁ!」仕事が忙しく、食べ始める前は体調が思わしくなかった役員秘書も笑顔。見送ってくれる大将も、女将さんも。満足と満腹を抱えて一緒に並んで帰る友人たちも。美味しい鮎料理は誰をも笑顔にする。また来年も(来年は建築家の友人も)、この仲間たちと、この店に。

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SINCE 1.May 2005