馴染みの店で和む夏♬「用賀 本城、広東料理 Foo、若竹 他」

IkoiNyan々訪れる馴染みの店がある。季節ごとにわざわざ訪ねる店だったり、スポーツクラブで汗を流した後に立ち寄る店だったり、利用するシーンは様々。例えば、「THE SPA 成城」という日帰り温泉に行ったら確実に立ち寄るのは「憩」という食事処。館内着で寛げるお気楽な店。湯上がりの身体にキリッと冷えた生ビール、フライドポテトがお約束。美味しさは味だけではなく、状況で感じるという典型。玉川高島屋の買物の後に訪れることが多いのは「ニャーヴェトナム・プルミエ」という店。二子玉川でヴェトナム料理なら、老舗の名店「ジャンズ」に行くべきなのだけれど、人気店に予約をしてまで行く気持ちにならないけれど、どうしてもヴェトナム料理を食べたい!という気分で出かける店。お馴染み「333(バーバーバー)」というヴェトナムビールを飲み、ヌクチャムにたっぷり浸して生春巻きを頬張れば、買物疲れも吹き飛ぶ。

HonjoFoo節ごとに訪れたい店の筆頭は「用賀 本城」。梅雨が明けた頃から、夏の定番“鮎”を食べに伺わなければとワクワク感が募る。満を持していただいた今年の鮎料理は、王道の塩焼き、絶品の自家製一夜干し、これだけで一合は飲める「うるか(鮎の塩辛)」。落ち鮎の季節にはまた伺いたいと、食べ終わった時点で予約をしてしまいたくなる味。わが家の財政が許せば、季節ごとになどと言わず、月イチで通いたい店。中華料理にも旬の料理がある。「広東料理 Foo」に通うとそう実感する。この店のシェフ慎ちゃんは、旧来の中華料理の食材に拘らず、斬新な調理法と共に柔軟にチョイスする。この夏の逸品は「鮎のから揚げ」。山椒、唐辛子、クミンなどで味付けした鮎を一夜干し、そしてカラッと揚げたカリカリの鮎。ほの辛く、香ばしく、頭から尻尾まで美味しくいただける。暑い季節にはぴったり。京都vs広東、今年の夏の鮎対決は好勝負。

TroisTetra心の定番料理を食べたい!と思うのは「ビストロ トロワキャール」。いつものオードブル全部盛りだったり、春のホワイトアスパラだったり。そして夏はモンサンミッシェルの「ムール貝のマリニエール」。小ぶりの殻に火を通してもたっぷりの身が詰まった、その一つ一つを丁寧に剥き、口に入れる。ニンニクの香りが鼻腔をくすぐり、ムールの旨味が口いっぱいに広がる。キリッと冷えた白ワインをグビリ。これぞ夏の幸福。「魚の寄り処 てとら」も幸福が味わえる店。店主のジローさんの柔らかく出過ぎない気配りと、繊細な料理を味わう居心地のいい店。それと知らずに訪れた日、お通しの鰻巻きでその日が土用だったことを舌で知る。カウンタだけの小さな店なのに、きちんと美味しい日本酒やワインが不足なく揃っている。椅子を詰め合って座っても、決してお互いに不快に感じる客がいない不思議な店でもある。

BanraikenWakatake所にあって嬉しく、友人たちを誘って行って楽しい店は「萬来軒」という四川料理の店。店構えも、オバちゃんの接客も、決して愛想は良くはないけれど、慣れたら癖になる。通い始めて30年以上になる小さな店だけれど、毎月のように新メニューが貼り出される。香辛料に拘って、四川省の省都成都から取り寄せる。中国山椒がピリリと利いた麻婆豆腐や、汁なしと汁ありが選べる担々麺などの定番のメニューも旨い。焼き餃子などのオーソドックスな料理も絶品。甕出し紹興酒も絶品。と、書いてる内に食べに行きたくなる旨さ。「若竹」という歩いて1分ほどの近さにある焼き鳥屋も、近所にあって嬉しい店。混んでいて入れない場合もあるが、焼き物はもちろん、モツ煮などの居酒屋メニューも豊富で、安くて美味しい。やはり30年近く通っている店。季節や状況に関係なく、定期的に行きたくなる中毒性のある店だ。

染みの店って何軒くらいあるのかなぁ」と妻の素朴な疑問。お互いに顔と名前が一致する店と定義すれば、せいぜい20〜30店ぐらいのもの。予約の際に「IGAですが」と最初に名乗る店は10店にも満たない。ケータイのアドレス帳には100店ほど、妻のデータベースには数百軒のリストがある。一度行っただけの店を含めれば、4桁は軽く超えるだろう。だからこそ、何度も伺いたいと思い、実際に通える店があることは嬉しいことだ。暑い夏、馴染みの店で、美味しい酒と料理を味わう幸福。お気楽夫婦のパソコンには、夏バテという変換はない。

“食”で、ツナガル♬「凧 (ハタ) 経堂」

Tebaムの帰りに寄りますね」と、お気楽妻がメッセージを送った相手は、先日「ビストロ808」にご来店いただいたイケメン料理研究家の高橋善郎くん。すると、「たいしておもてなしもできませんが、ふらりとお立ち寄りください」と返信があった。ジムで走った後、お気楽夫婦が向かったのは「凧」という経堂の駅前にある小料理屋。善郎くんのお父さんが経営する店。店のコンセプトは、仕事を辞め年金生活になっても気軽に立ち寄れる店、なのだという。店に入ってびっくり。ラストオーダー直前の時間にも関わらず、こぢんまりした店に客が溢れている。「IGAさん、いらっしゃいませ。今席をお作りします」と善郎くんから声が掛る。タイミング良く、カウンタ席がちょうど空いたところだった。そして、メニューを見て2度目のびっくり。全てのメニュー(価格の記載がある一部を除いて)が325円!なのだ。

Sashimi初にオーダーした「手羽元と煮卵」を食べ、3度目のびっくり。ほろほろと柔らかく、味が良く浸み、実に旨いのだ。この料理を325円で出すことができるのは、経営努力。凄いことだと感嘆し、カウンタ越しにイケメンくんにそう伝えると、爽やかに笑って「ありがとうございます。僕もこんな店が近くにあったら通いたいです」と返す。良いなぁ、そのコメント。その間も手を休めることなく、素早い動作で料理を仕上げ、サービススタッフに出している。客への目配りも忘れず、声が掛れば優しく軽やかに応える。同程度の価格のナショナルチェーンの居酒屋と比べるまでもなく、料理にも接客にも心がこもり、それなのに325円。繁盛の理由が良く分かる。蒸し野菜のサラダが325円。刺身の盛合せをお願いしても、1人前で325円〜540円。ではと、おススメの日本酒を飲んでも540円。しつこく書いてしまうけれど、これは凄い。

Takahashi郎がお世話になっております」ようやく店も落着いた時間になり、アイコンタクトと最小限の会話で息子と連携を取り、絶妙な間合いで料理を出していた店主のお父上からご挨拶いただく。長くやっていた下北沢の店はご長男に任せ、数年前にこの店を始めたとのこと。とは言え、店を譲っても引退せずに、好きな食の仕事を続けたいとの思いなのだろう。そして、店を継いだ長男に続き、こうして次男も父の後を追い、食の世界に入った。本業の料理研究家の活動の合間に店を手伝う孝行息子。実に幸福な父親だ。狭い厨房で2人が共に楽しそうに働く姿を眺めていると、何だか涙ぐみそうになる。イケメン息子の爽やか笑顔とは対照的に、穏やかな表情で親子写真の撮影に応じていただく。良いなぁ、この親子。良いなぁ、この店。

MInaIGAさん、お先に!」早い時間から店を訪れ、入れ違いに帰ってしまう予定だった友人母娘が帰路に付く。彼女もやはり、先日のビストロ808で善郎くんと知り合った。“食”で出会った仲間は、“食”を通じて広がって行く。ところで、友人の母上とは久しぶりにお会いしたけれど、相変わらず元気で姉妹のように仲の良い2人だ。こちらも、こうして一緒に2人で食事をしたり、旅行に行ったりと、実に羨ましい関係の母娘。後から我々が来ると聞き、それではと母上が待っていてくれたと伺うと、何だかとても嬉しいなぁとしみじみ。こちらも“食”をきっかけに知り合い、親しくなったと言っても良い母娘。こうして機会があれば同じ店で顔を合わせることもできる。ご近所にお住まいということもあり、友人を通じてご紹介した何軒かの店にも(ご家族で)ずいぶん足を運んでいただいたらしい。重ねて嬉しいことだ。

橋さんですよね、今彼と仕事でご一緒してます」その日のエピソードをfacebookに書き込むと、今は転職して他の出版社で働いている前職の後輩女子がコメント。善郎くんが監修した出版されたばかりの料理本と、現在進行中の企画の担当なのだと言う。世の中狭い。ちなみに彼女にも、私のブログを読み、自分の結婚記念日に「トロワキャール」を訪れていただいたという嬉しいエピソードがある。これも不思議なご縁。“食”で繋がった仲間には、嗜好が近いという安心感がある。さらに拡がる、ツナガルのではという嬉しい予感がある。人と、店と、美味しいモノと、これからも出会い、つながり、拡がって行こう。

誌上内覧会やってます♬「808」

MY HOMECoverageMY HOMEプラスという雑誌から取材依頼が来ました」わが家のリノベーションを手掛けてくれた建築家の友人からメールが届いた。彼がお世話になっている上品な建築系の雑誌だということで、速攻快諾。彼に立ち会ってもらいながら取材を受けることになった。ライター、編集者、カメラマン3名のチームで「808」(*建築家の友人が名付けたわが家のプロジェクト名)に来訪。残念ながら取材当日は曇り。すると意外にも「今日ぐらいの日射しが撮影には良い感じです」と建築家。そんなコメントに頷きながら、自然光での撮影を中心にじっくりと構図を検討するカメラマンと編集者。建築雑誌は写真が重要なファクター。良い写真が撮れますように。

DiningWashroom影の前に雑談のようにリラックスしたインタビューを受ける。リノベーションに到った経緯、設計のコンセプトなどを語り、間取りや建築部材の説明を(建築家の友人が)行う。リノベーションに関わる私のブログ記事を読んでいただいていたこともあり、質問のピントも最初からぴたりと合っており、非常にスムース。逆に、いちばん気に入っている場所はどこかというシンプルな質問に、改めてわが家のお気に入りポイントを考える。お気楽夫婦の意見が合ったのが、バスルームと洗面所。水回りと収納を間取りの中心に置き、回遊できるウォークスルーの廊下であり、洗面所、脱衣所となったスペース。南、東、北の三方向からの採光があり、特に晴れた日の朝は実に爽快。

KitchenDetail築家の友人がいちばん苦労し、だからこそ逆にいろいろと工夫し、こだわり、そして結果的にわが家の象徴となったのがダイニング。以前の間取りは、ダクトが入った下がり天井がLDKスペースを分断し、圧迫感を感じさせていた。壁に向いたキッチンは生活感を感じさせてしまっていた。そんな不満を解消するだけではなく、アーチ状の覆いで包み込み、対面式のキッチンと一体化したスペース(この場所こそが「ビストロ808」!)として生まれ変わらせた。この場所も実に快適。元々あった大きなダイニングテーブルを大勢で囲み、調理するシェフ、スーシェフとコミュニケーションを取りながら、料理とお酒をワイワイと楽しみ、憩えるコーナーになった。

LivingReport納がわが家のもう一つのポイント。書籍、CD、食器、衣類、靴、バッグなど、ほとんどのモノを造り付けの家具でスッキリ収納させた。入れるもののサイズを考え、ギリギリに収まる奥行で設計してあり、スペースを最大限に活用している。文庫本、グラスやカップは見せる収納で、その他は冷蔵庫や洗濯機まで全て隠す収納としてメリハリを付けた。見せたい私と、隠したい妻と建築家との妥協(あるいは調整)の結果、隠し過ぎて息苦しくならず、見せ過ぎて落着かない感じにもならず、良いバランスになった。天井はグラスウールマットというスタジオなどで使われる素材を貼り、ギリギリまで高さを追求し、部屋全体の容積を何割増しかに感じる広さになった。

明的すぎず、空気感を伝える感じ、良いですね」発売前に見本誌が届き、建築家の友人からメッセージが届いた。写真も彼の期待以上の出来のようで、「モノの質感を直接捉え、新鮮!」という感想。弱かった日射しを巧く使い、落着いたトーンの良い写真だ。記事も(あ、無断転載申し訳ありません)淡々と優しく、リノベーションの経緯から完成までの物語を綴ってくれている。記事を読み、写真を眺め、改めてわが家を見直し、惚れ直した気分。取材チームと建築家の友人に感謝!

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SINCE 1.May 2005