Allez! Kiwi!「Christ Church Crisis」

Christ Church2008年10月、お気楽夫婦はクライストチャーチに滞在していた。ガーデンシティと呼ばれるその街は、広大なハグレー公園を中心に、街路樹、家々の生垣などの緑で被われた潤いと歴史ある都市だった。中心部にある大聖堂の周囲にも緑が溢れ、昔ながらの路面電車がのんびりと走り、パンティングを楽しむ観光客が川岸に並ぶ由緒ある建物や庭を愛でる。日本より時間がゆったりと流れ、きっぱりとした日射しが降り注ぐ。塵が少なく乾燥している空気は街の輪郭をくっきりと浮かび上がらせ、古い建物の存在感を際立たせていた。2011年2月22日、そんな美しい街を襲った突然のクライシス。尖塔が崩れ落ちた大聖堂の映像。跡形もないレンガ造りの建物。記憶にある風景との余りのギャップにおののいた。

Regentーウィ(Kiwi)と呼ばれるニュージーランド人たちはとても人懐っこくフレンドリーだった。無謀にもワールド・マスターズ・スカッシュという大会に参加したお気楽夫婦も、「グッダイ!」と気軽に話しかけてくるキーウィたちにすぐに親しみを覚えた。自らをもキーウィという呼び方をする彼らは、9,000kmを飛んできたスカッシュ仲間としてホスピタリティ溢れる扱いをしてくれた。自分たちの国を愛し、「ニュージーランドを楽しんでいるかい?」と尋ねては微笑み、ええ良い国ですねと答えると「それは良かった。楽しんでくれ!」と満面の笑みで握手をしてくれた。短期滞在での印象ではあるけれど、人種に対する偏見も少なく、アジア系の顔で街を歩いても居心地の悪さを感じずに済む国でもあった。そんな理由からか日本からの留学も多く、今回の地震での消息不明者の多くはそんな留学生たち。

NZ Wine興への支援の仕方はいろいろある。ストレートに義援金を出すのも良いだろう。僅かな期間ながらもクライストチャーチに滞在し、心地良く過ごせた経験を持つお気楽夫婦には何ができるだろう。こうして記事を書きながら、無責任な書き方はできないなとキーボードのタッチは重くなり、いつもの何倍も時間がかかっている。そうだ、敢えてお気軽に書こう。例えば、ニュージーランド(NZ)のワインを買おう。この記事で紹介しよう。ほとんどのワインがスクリューキャップのお気軽NZワインは、滞在中からお気に入り。昼から飲むカジュアル・ワインとして最適。帰国してからは意識してNZワインを買いこんで楽しんでいる。独りで飲み残してもスクリューキャップは保管が簡単。白ワイン好きの私には、ソーヴィニヨン・ブランやシャルドネが中心のNZワインが普段飲みにぴったり。

Japan vs Franceころで、スカッシュの世界大会と言いながら、クライストチャーチの各会場の雰囲気はカジュアルだった。試合を終えた選手たちがワインを片手に仲間の試合を観戦。日本代表のナショナル・コーチであり、お気楽夫婦のコーチである山ちゃんと元世界チャンピオンであるリンコウの兄、パスカルとの対戦の時もそうだった。「Allez! Pascal!(行け!パスカル!)」そんな掛け声のフランスチーム。ワイングラスを掲げながらの大声援。日仏どちらのプレーにも公平な応援で意気投合し、試合後に記念撮影。そんな思い出もある、実に良い大会だった。Allez!という声援は、Go!と同意。スポーツ観戦の際に、元気の出る、そして前に進むことのできる声援として、心地良い響き。そうだ、スポーツ好きのニュージーランドに声援を贈るなら、Allez! Kiwi! だ。 Allez! Kiwi!

うだねぇ。またニュージーランドにも行かなきゃね」と妻。そう言えば、妻の集めているショップカードコレクションに足りないものがある。オークランドのシーフードレストラン。ショップカードを切らしていて、用意しておくからまた来てよというスタッフに、残念ながら今日がNZ最終日なんだと伝えると「あぁ、じゃあまたNZに来た時に寄ってもらえば良いさ!」と返された。そんなKiwiたちが住む国に、ショップカードを受け取りに、いつかまた羊の国を訪れよう。

午餐の誤算「PLATINO自由が丘テラス」

PLATONO LUNCH由が丘ランチでおススメの店はいくつもある。例えば、大きな窓ガラスの向こうを通る大井町線の電車を眺めながら、明るい店内でまったりと過ごすならLOBROS。自由が丘マダムたちのおしゃべりの喧噪の中で美味しい上海料理を召し上がるなら状元樓。今日は和食でという気分の日は、混雑する時間をずらして仁松庵。そして、お子様連れの奥さま同士で盛り上がるならプラチノ自由が丘テラス。ある“平日”の昼下がり、プラチノのベストシートである窓際のコーナー席で、学生時代からの友人とのんびりランチ。桜の蕾はまだ硬いけれど、桜並木を見下ろす窓際の席には日射しが注ぎ、とても暖かい。彼女は長く勤めている外資系航空会社を休職中。30年近く働き続けた澱が溜まり、ぶくぶくと冷たい水の中に澱と一緒に沈んでしまっている。

PASTAずはきりっと冷えた白ワインで乾杯。「今日はありがとう。たまにこうやって出かける予定があると、少し元気になるんだ」そんな殊勝なことばを吐くのは普段の彼女らしくもない。「うん、美味しい♫昼から飲むお酒は一段と美味しいね」こんな時、自分の仕事に感謝する。自由時間出勤制と顧問契約先との契約書に明記しており、出勤時間、退出時間、お休みは基本的に自分の裁量次第。契約先の期待に応え、結果を出しさえすればOK。メリハリのある時間設定で勤務。その日もランチを終えた後は自宅に戻り仕事をする予定。少々のワインで顔が赤くなっても大丈夫。オードブルをつまみ、ワインをぐびり。こりゃ〜確かに旨い。暖かい窓際の席で冷えたワイン。喉にも美味しいゼータク気分。

RISOTTO〜ん、どれも美味しいね」トマトのパスタ、チーズとバジルのリゾットをシェアしていただく。飲み、食べ進み、溜まった澱を吐き出すにつれ、ようやく元気になってきたらしい。2人は、思い出すと恥ずかしいぐらい青く若かった頃からの付き合い。仕事の話からようやく離れ、昔話で笑い合う。「そうそう、今の家を改築してお茶室を作るのが夢なんだぁ」そんな前向きな話に耳を傾ける。良い感じだ。「でも、茶室をせっかく作っても、自分がすぐにいなくなっちゃったら、ダンナにも子供たちにも申し訳ないかなぁ、って」せっかくのポジティブ傾向が一気にネガティブに向う。なかなか病巣は深いところにあるようだ。30年もの間、客室乗務員や成田空港での地上勤務を経て、現在の担当を長く勤め、2人の子供を育ててきた彼女。茶室ぐらい自分にプレゼントしても罰は当たらない。

Mount BlancAngeうだねぇ。お茶室にいると、なんだか落着いて体調も良くなるんだよねぇ」そうだ、いっそ全室をお茶室にしたら?リビングも、ベッドルームも、ぜ〜んぶの部屋に「にじり口」を作って…。2人笑いながら改築話で盛り上がる。「ねぇ、もう1杯飲んで良いかな?」ん、ワインで元気になるんだったらお安いもんだ。けれど、これで仕事を再開する時間は遅くなったなと諦める。「デザートも食べる?ショーケース見てきて良い?」プラチノ自慢のアンジュとモンブランが気になるらしい。良かったら両方どうぞ。「うん、嬉しい!カプチーノも飲みたい」…食欲があるのは良いことだ。スイーツで元気になるんだったら、それも良し。

ん、すっかり元気になった。今日はホントにありがとう♡」時間は3時を回り、自宅に戻って仕事をする予定の時間を過ぎてしまった。ある“平日”の、のんびり午餐の誤算だった。

クリスマスのように「ST.Valentine’s Day」

ChocolateBoxJewelryBox本には共通の神が存在しない。多神教と言うにしても、個々の信仰は漠然としており、神の姿は明確ではない。お正月の初詣も、時には神社に、ある年はお寺に参拝する。クリスマスにはケーキを食べプレゼントを交換し、ハロウィンには仮装パーティ。何の宗教的な素地もなく、表層上のファッションだけが浸透し始める、浸透しだすとある時期からスピードを増し、国民的な行事となっていく。クリスマスの何週間も前から街にはクリスマスソングが溢れ、イルミネーションで彩られ、何とはなく日本中が浮かれ出す。そしてメリークリスマス!と乾杯を繰り返す。今や日本独特の年末一大イベント。

ChocolateCakeして、ヴァレンタインデーにチョコレートを贈って恋の告白を、などという製菓業界の書いたシナリオに乗せられた時期を超え、今やヴァレンタインも日本の国民的行事。この春、全国に広がった伊達直人現象のように、日本人はきっかけがあれば動く。お世話になっている人に義理チョコ。女ともだちに友チョコ。男性から女性に逆チョコ。そして、自分チョコ。ヴァレンタインデーは気軽に誰かにプレゼントできるきっかけ。それまではお歳暮だったのがクリスマスプレゼントに代わり、時期的にはかなり無理があるけれど、お中元がヴァレンタイン。プレゼント下手な日本人にとって、これは良いきっかけ。寄付やボランティアがまだまだ一般的ではない日本。けれど、理由付けやきっかけさえあればアクションを起こすのだ。

So Cute! Choco年、ヴァレンタインには秘匿行動を取るお気楽妻。義理チョコ、友チョコは一緒に選び、目の届くところに置いてある。ところが、本命(私への!)チョコはどこでいつ買って、どこにしまってあるのか当日まで分からない。まだ買った気配がないから当日買うのかなぁ、と思っていると当日の朝に渡されたりする。実に見事だ。子供の頃、わが家の両親はクリスマスのプレゼントを当日までこっそり保管しイブの夜に渡してくれた。そんなことも思い出す彼女の拘り。今年の彼女のセレクトは、Decadence du ChocolatのチョコレートBOX。なんと、チョコレートでできた箱にオランジュやナッツのデコレーション。その中にアソートチョコが詰まっている。サプライズ!箱を壊して食べるのが惜しい。

HandmadeChocolateころで今年は、ご近所の友人(妻)にチョコレートケーキをいただいたり、スカッシュ仲間に可愛いBOXをいただいたり。義理でも、友チョコでも嬉しい限り。そして出色は、勤務先の女性スタッフたち(奥さまであり、お母さんたちである)からいただいた手作りチョコ。小学生の娘が好きな男の子に渡すチョコ作りを手伝い、一緒に男性たちへのプレゼントも作ってくれたらしい。ピンクのストライプの箱にはお仕事お疲れさまですのメッセージ。中に入っていたのは、グミやらマーブルチョコやらがデコられている板チョコ。キュートで気持が温かくなるチョコ。「夜中までたいへんだったんですよ!」というちょっと照れたセリフと一緒に手渡された。小さな家庭的な会社であるからこその、ほのぼのヴァレンタイン。クリスマスやお歳暮などより気軽にプレゼントでき、受け取れるのが良いのかもしれない。

、これは賞味期限が2月末までだからまだ大丈夫だね。これは今週末までだから食べちゃおう♡」こうして、義理チョコも友チョコも、そして本命チョコは自分チョコとなり、お気楽妻に消化されていくのだった。

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