ミキマニア♡「ショコラティエ・ミキ」千歳烏山

小さなショコラトリ界で一番小さなチョコレートショップ。若きショコラティエール、ミキちゃん自身のブログではそう紹介されている。2009年夏に新装開店。2006年オープン時の、マンションの一室の玄関先を改装して作った店からは飛躍的に(笑)大きな店になった。もしかしたら、残念ながら、世界で一番小さくはなくなってしまったかもしれない。けれど、会員制の秘密クラブのような(かつては、合い言葉を言わなければ入れなかった雰囲気だった)店の佇まいも、ミキちゃんが纏っているふぅわりとした空気も、そしてもちろん繊細なボンボンショコラの味も変わっていない。それどころか、ボンボンショコラのバリエーションは増え、焼き菓子などのラインナップにも続々と新作が登場。今後ますます楽しみな店になった。

ブラウニーの店の味を紹介した友人は、ほぼ全員がミキちゃんのショコラのファンになる。素材の香りが上品で、繊細な味と口溶けのボンボンショコラも、オレンジの砂糖漬けとショコラの組合せが絶妙なオランジュも、ピスタチオをはじめとしたナッツの香りが立つマンディアンも、どれもが友人の間で大評判。なかでも、自らをミキマニアと呼ぶ友人がいる。スカッシュ仲間で、スイーツ好きの秘書嬢だ。ミキちゃんのショコラを何度かプレゼントをする毎に大ファンになり、昨年初めて一緒に店を訪れた。そして、ミキちゃんのキャラクターにも惚れ、熱烈なミキマニアに成長。その後も彼女に頼まれボンボンショコラやオランジュを買うこと数度。その度に「いやぁ〜ん、美味しい♡」と悶え、味わう秘書嬢だった。

抹茶のパウンドCakeキちゃんの店に焼き菓子を買いに行かない?「行くっ!」そんなお誘いに秘書嬢は即答だった。「それにしても美味しかったよね、あのラスク♫」そうなのだ。何しろ、気が遠くなる程(ホントに)美味しかったのだ。春先、ミキちゃんが「焼き菓子祭り」と称して作った中でも、パーラー江古田のラスクのチョコレート掛けが。その少量生産の貴重なラスクの余りの感動の味に、彼女に食べてもらおうと思い進呈。ひと口食べて卒倒しそうになった彼女を見て、してやったりのお気楽夫婦。以降、3人の語りぐさ。それ以外にも、ショコラクッキー、ガナッシュペグリーなど、絶賛の品々。そんな味の記憶を共有していた秘書嬢とお気楽夫婦。ある週末に、そんな記憶を蘇らせるべく、ミキちゃんの店に向かった。

バナナとエクプレッソのチョコマフィンんにちは♡お久しぶりです」ミキちゃんの挨拶と商品の説明を受け、「あぁ〜ん、どれも美味しそう♬」1年振りに訪問の秘書嬢は、店頭の商品を全部買ってしまうのではという勢い。京都伏見椿堂茶舗という老舗のお茶屋さんの抹茶をこれでもか!とゼータクに使ったパウンドケーキ。くるみとオランジュのクッキー。バナナとエスプレッソのチョコマフィン。そして甘いモノは食べない彼女の母が、これだけは美味しいと食べるというオランジュ。さらに何種類かのボンボンショコラ。冷たいお茶をいただきながら、大人買い。「だって、もうすぐ夏休みに入っちゃうんでしょ」そうなのだ。ショコラティエ・ミキは、今年も8月1日から9月末まで夏休み。看板のボンボンショコラを、この酷暑の中では嫁に出せない。そんな思いから選択した大胆な営業方針。

夏休みのお知らせ休みが終わったら、また来まぁす♬」ミキマニアの秘書嬢は満足そうに店を出る。嬉しい情景だ。けれど思うのだ。ミキちゃん、これからが勝負。固定ファンも付いた。メディアにも取り上げられ名前も売れた。パリのサロン・ド・ショコラにも出店した。デパートでも販売した。そして、今後の商品ラインナップは?営業時間、休日は?手作りの生産体制は?…どこに向かうのか、どこを目指すのか。秘書嬢と並び歩きながら妻が言う。「ミキちゃんのスイーツは外れないね。彼女はホントにチョコが自分の子供のように好きなんだよね。だから、安心して人に薦められるよね」そうなのだ。どこに向かおうと、お気楽夫婦はミキちゃんのファン。ミキマニア

■食いしん坊夫婦の御用達 「ショコラティエ・ミキ

そして、神戸「一夜一夜」と、今はなき…。

鉄人28号ビルの街にガオーッ!夜のハイウェーにガオーッ!ガガガガガァ〜ンと弾が来る…ご存知の方はご同輩。アニメ版「鉄人28号」の主題曲。曲の最後には、♪グリコ、グリコ、グゥリィコーッ♫とスポンサー名を連呼する当時のお約束テーマ曲。2009年、その鉄人28号の原作者、横山光輝の生地である神戸に鉄人が降り立った。新長田駅近くの公園に立つ実物大(高さ15.6M、全長18m)の鉄人は、迫力満点。写真の鉄人の足下を通る通行人の方と比べるとその大きさが分かる。鉄人を見るために、わざわざ神戸を訪ねた甲斐があった…のではなく、神戸の街を出張で訪ねた。

ザ・ビーの鉄人のいる長田と言えば、1995年の阪神淡路大震災の際に、大きな被害を受けた街。それが今や大規模な開発が進み、駅前には高層ビルが建ち並び、すっかり復興しているように見える。けれど、地元の人と仕事の話をしていても、つい昨日起きたことのように「この辺はすっかり焼けてしまって…」「仮設住宅がこの辺に立ち並んでいた…」という話題になる。神戸の人にとって、街のあちこちに深く刻まれた震災の爪痕が存在し続けていることが判る。高層ビルの1階には、地権者である商店が入居し、その隣には何棟かの仮設店舗がまだ建っている。

一夜一夜宮の駅に戻り、その日の宿「ホテルthe B kobe」に向かう。リーズナブルで良い宿だ。そして、部屋で三宮での独りメシの店を検索する。三宮には学生時代から憧れていた名店があった。ひとつはキングス・アームスというイングリッシュ・パブ。フラワーロード沿いにあったローストビーフが有名だった店。いかにも神戸らしい佇まいの異国情緒溢れる店だった。そして地元の肉屋が経営するステーキハウス「八百丑」。黒服のお爺ちゃんたちがサービスしてくれたお手頃なステーキが美味しかった。けれど、いずれも今は営業していない。残念。神戸には地元だけにしかない名店が多かった。震災の影響でそんな店のいくつかが消えてしまった。淋しい。

新幹線の楽しみわりに向かったのは「一夜一夜」という、旬の魚の一夜干しを、炊きたての美味しい“銀シャリ”と一緒に食べさせてくれる店。今は東京の丸ビルなどにも出店したけれど、やはり神戸に本店がある店。独りカウンタに座り、ビールを飲み、絶品の干物をいただく。旨い。そして、シメにはぴかぴか炊きたてご飯を、いくら醤油漬けと一緒に。不味かろうはずがない。ホテルまでの帰路、夜の三宮をのんびり歩く。かつての、そして今の神戸を思いながら。…まぁ、ただの酔っぱらいに見えたかもしれないけれど。

日、新幹線に乗り込む前に、妻への土産に神戸スイーツ、自分のために笹すしを買込む。そして、席に着くとビールをぐびり。ひとくち飲む度に、神戸の街が遠ざかる。六甲山ホテル、蛸の壺の明石焼、アンリ・シャルパンティエ(正確には芦屋)のケーキ、苦楽園(正確には西宮)のお屋敷…そして、オチャメだった頃の自分。神戸の記憶が蘇る。

暑気払い vs 熱中症「萬来軒」千歳烏山

海老とアスパラ炒めい。熱いという方が正確と思われる程、暑い。梅雨明けと共に連日35℃を超える猛暑日が続いている。そして、西日本の豪雨被害の直後に、今度は遊びに出かけた先の海や川などでの水難事故。つくづく地球という惑星は水の星なのだと実感する。地表の70%を占める海水が蒸発し、雨になって地上に降り注ぎ、川や地下水となってまた海に還る。この水の循環の過程で“異常気象”と呼ばれる豪雨や猛暑が発生している。海流の変化、森林破壊、地表を被うコンクリート、CO2の排出量の増加、それらの結果としての温暖化。複合的な理由はあれ、地球の“血”とも言える“水”の循環が滞れば、生命体としての地球は病気になる。それも道理である。

モンゴウイカの豆豉炒めころで、暑くなれば暑気払い!というのも道理。日中に流した汗を、ビールという名の琥珀の液体で取り戻し、がつんと美味しく元気になる料理を食べる。暑さなんて飛んで行け!実に正しい日本人の知恵。大切な習慣は守らなければいけない。ということで、友人たちを招集。集まったのは3組の夫婦と、負け組1名(スカッシュの大会当日だったため、勝っていたら参加できないという事情があり、幸か不幸か参加できることになった)のはずだった。ところが、夕方になって1通のメールが届いた。NYC帰りの友人(妻)から、夫が熱中症でダウンしてしまい参加できず、自分は参加するという内容。暑気を払う前に、逆に暑さから払われてしまった。う〜ん、残念。

牛肉とマコモ茸局、2組の夫婦、スカッシュ負け組の男、そして猛暑負け組の男の妻、6人で向かったのはご近所の名店「萬来軒」。店の前には「本日閉店」の看板。予約で満席というメッセージ。店に入ると、既に常連さんでいっぱい。萬来軒のおばちゃんが最も気楽に働ける環境だ。「あぁ、いらっしゃいませ」相変わらず愛想があるのかないのか、というそっけなさが堪らない。人数が減ったことを詫びるが、意にも介さない様子。暑い夏の四川料理、おじちゃんの作る絶品中華と、おばちゃんの作るまったり空間が暑気払いにぴったり。さぁ、まずはビール!飲める3人で乾杯。「今日は飲みましょう!」と、NYC帰りの友人(妻)がウコンの力を手渡す。スカッシュに負けても、酒には絶対に負けない男にとっては、鬼に金棒。準備は万全だ。

絶品おこげころで、今日はお肉のメニューをたっぷり食べよう!」NYC帰りの友人(妻)の目が輝く。友人(夫)は肉が苦手。外食では気遣って肉系は遠慮がちにオーダー。今日は遠慮なく食べよう!という主張。了解。夏の定番、モンゴウイカは豆豉炒めで。海老とアスパラは絶妙な塩味で。「美味しい♡」「やっぱりおじちゃんの料理は絶品だね♫」ビールも進む。牛肉とマコモ茸炒め、海鮮おこげと美味の皿が続く。気のおけない仲間たちと、元気に食べ、飲み、笑う。美味しい、楽しい。これぞ暑気払いの極意。ところで猛暑に負けた友人(夫)の様子はどうだろう。「大丈夫よ、きっと。凛ちゃん(愛犬)と1日中ずっと一緒だから、却って喜んでるかも」むむっ、逆にちょっと心配(汗)。

も、何か持ち帰ってあげようかなぁ。おばちゃん、何が良いかな」ふぅ、ちょっと安心(笑)。四川麻婆豆腐、海老チャーハンを手に、帰路に付いたNYC帰りの友人(妻)。何だかんだ言っても良い夫婦だ。

…「日は楽しかったね。IGAは良い感じで酔っぱらった模様。今はソファで爆睡中です」夜中に妻からメールが飛んだ。最後に、酔いに負けたのは、私だった。

■食いしん坊夫婦の御用達へ 「萬来軒

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SINCE 1.May 2005