人生100年!?時代に「When I’m Sixty-Four」

2020NY1 Beatlesが「When I’m Sixty-Four」と歌った時、何て遥か先のことを!と思って聴いていた。もしかしたら自分には64歳なんて永遠に来ないのではとも思っていた。この曲をリリースした時のポール(当時24歳)も、おそらくそう思っていたかもしれない。それが僅か2年後にはやって来る。“あの”64歳が自分にやって来るとは!ポールの歌詞の冒頭に“歳を取って髪の毛がなくなった時”とあるように、64歳は老人の年齢、だった。

2020NY2When I get older losing my hair/Many years from now/Will you still be sending me a valentine/Birthday greeting, bottle of wine? 僕が歳を取って髪の毛がなくなった時、かなり先のことだけど、君は僕にバレンタインのプレゼントをくれるかな?誕生日にワインで祝ってくれるかな?」うん、これも予想だにしていなかったけれど(汗)、髪は薄くなった。ただ幸いなことにバレンタインや誕生日を祝ってくれる妻はいる。

2020NY3生の頃に思い描いていた60代の自分と現在の私が大きく違うのは、まだ現役で働いていること。定年がまだ55歳の時代、新卒で入社した流通系の人気企業で社会人の基礎を学んだ。20代の終わりにエンタメ系の企業に転職した。店舗運営、店舗開発、コールセンター、会員事業、経営企画、CI・戦略部門など幅広い業務を担当させてもらい仕事の楽しさを味わった。40代は図に乗っていた。もちろんその反動もあった。

2020NY4ンションの繰上げ返済が趣味だと言っていた40代前半の頃には、早期セミリタイアしたいと思っていた。ローンの返済が終わった40代の終盤に、街づくりに関わりつつ緩やかに仕事をする選択をしようと思った。大手通信系企業に転職し、現在の会社にコンサルとして関わった。“会社”とも呼べないような“チーム”だった。仕組を変え、システムを変え、制度を変え、ようやく“会社”になってきたのはここ数年のことだ。

2020NY5の後はそのまま経営者の役割で会社に関わる事になった。コンサルの無責任な(笑)立場ではなく、事業に責任を持って取組むことになり、仕事が一段と楽しくなってしまった(笑)。その結果、早期に(セミ)リタイアするという思いはすっかり霧散した。そして10年が経ち、創業10周年のお祝いの会を開催した辺りから潮目が変わった。後継に指名した女性が育ち、周囲の信頼も得た。出向者が相次いで転籍を申し出てくれた。

2020NY6たな事業も軌道に乗り始め、気が付けば還暦を超えて尚、当然のように仕事を続けていた。そしてオリンピックイヤーを迎えようという2019年の暮れに、更なるステップアップのきっかけが訪れた。2カ所に分かれていた手狭なオフィス(自由が丘はオフィス物件が少ない)を1カ所にまとめることができる物件が出てきたのだ。広くて眺め良し。下見をして即決!年末年始の慌ただしいスケジュールで移転ということになった。

2020NY8リスマス直前に引越し、新オフィスお披露目の会、その後の自社オフィス内での忘年会と、慌ただしさの中にもスタッフ全員に期待が溢れていた。個人的には妻の生まれ故郷でいつものように年末年始を過ごし、新年初日に新オフィスでは「年越した蕎麦の会=出前のお蕎麦を一緒に食べて熊野神社(地元の神社)へ初詣をする会」という、いっぱしの企業のようなイベントを開催。嬉しいことにスタッフ全員が参加してくれた。

2020NY9さな会社でも(小さな会社だからこそ)事業を継続し、後進を育成し、経営を承継することは難しく、だからこそやり甲斐もあり楽しいとも言える。人生100年の時代だとしたら、僅か6割を超えたばかり。しばらくこのままやれる所までで歩み続けよう。「ワタクシはお先にセミリタイアで♫」妻はそう言うものの、決して仕事が嫌いな訳ではない。「体力的にキツイだけかな」と、しばらく仕事を続けそうな気配。それも良し。

…今年もこうしては2人はお気楽に歩き始めます。

香港の愉しみ「香港島〜街歩き・味巡り」

Island1気楽夫婦の香港滞在は、ほぼ香港島に限られる。常宿のホテルも、行きつけのレストランも香港島にあり、島側でウロチョロするのが常だ。島の移動の基本はタクシー、徒歩、そしてお気に入りのトラムだ。トラムとは一部を除き冷房設備のない2階建ての路面電車。トラム同士がギリギリですれ違い、ガタゴトとのんびり走る佇まいは、まさしく香港。2階の最後尾に座り、周囲の景色を眺めながら目的地の老舗飲茶に向かう。

Island2香茶室(Lin Heung Tea House)」は、香港でも少なくなったワゴン式の飲茶レストラン。2019年春に閉店したとの情報に淋しく思っていたが、再開発計画が延期され、以前の「蓮香楼」から「蓮香茶室」と改称し再スタート。とは言え3年契約延長とのことだから、行ける内に言っておこう!と友人たちをご案内。地元の常連客、観光客で賑わう店内。空いている席を探していると、案内係のおばちゃんが奥の方を指差す。

Island3語は一切通じない。「そっちじゃないよ!(想像)」と怒られているようなおばちゃんの声に些かビビりながら、相席の丸テーブルに腰を下ろす。やって来たワゴンの蒸籠の中を覗き、頷けば伝票にチェックされて目当ての料理が置かれ、執拗なおばちゃんの勧めに首を振って要らない料理を断る。攻めまくるおばちゃんたちとの戦い、ここは戦場である。そして、美味しく、お手頃で、ハマれば楽しいエンタテインメントだ。

Island4茶の後は、「外にあるエスカレーターに行ってみたい!」という友人のリクエストに応え、OTC(オールド・タウン・セントラル)の街を歩く。この辺りは香港政府観光局が肝煎で整備している観光スポットが点在している。急な坂道の奥に聳える高層アパート群、道路脇の店の壁にはウォールアート、そんなインスタ映えする風景が続く。友人ご要望のミッドレベル・エスカレーターの麓にも香取慎吾のストリートアートが佇む。

Island5気のスポットのひとつに「大館(Tai Kwun)」がある。元は警察署、裁判所、そして何と刑務所のあった場所。そんな敷地の元の古い建物を活かしてリノベーションした、アートと歴史の拠点になっている。中庭の大きな壁にはエッシャーの無限回廊のような作品があり、思わず作中の人物を真似てポーズを取ってしまいたくなる。他にも元留置場の中にブラックなアートがあったり、アートがちょっと身近でオシャレなのだ。

Island6物そのものも、スッキリとして絵になる。今風に言えば(笑)、実に“映える”。中庭に立って周囲を見渡せば、街のど真ん中に突然現れた、新旧の香港が混在したテーマパークのような雰囲気。他にもOTCには、ギャラリーとショップが集まるPMQ(警察署員の宿舎だった)をはじめとしたスポットだけではなく、オシャレな店が点在するハリウッドロードなど、通りを歩くだけで楽しい街並みが続く。妻のお気に入りのエリアだ。

Island7のもうひとつのお気に入りは、市場巡りだ。毎回訪れる湾仔(Wan Chai)の市場は、ワイルドなディスプレーが刺激的な肉屋や魚屋などが軒を連ねる、最も好きな市場だ。それに今回の滞在では銅鐸湾(Causeway Bay)の時代廣場(Times Square)近くでも市場を発見。「こんな場所にも市場があるんだねぇ」と嬉々とする妻。香港の裏通りをただブラブラと歩くだけで、ワクワクしてしまうお気楽夫婦だった。

Island8港の愉しみはお気に入りのレストランの味巡りにもある。香港のゼータク美味=龍景軒とまで思っているお気楽夫婦。今回の滞在もランチとディナーと1度づつ予約し、昼は点心、夜は焼物や海鮮を味わった。今回は特に友人たちが香港到着前に出かけたディナーが絶品。いつものオードブル 3点盛りはバランスが良く、ガチョウのローストが感涙もの。そしてお約束の茹で海老は、相変わらず指まで舐めてしまう美味しさだ。

Island9してその日の食事の掉尾を飾ったのは、サービスだと出していただいた梨のデザート♫これが見目麗しいだけではなく、見た目通りに美味しいのだ。人もモノも料理も見た目は大事。洋梨型のケーキの皮を破ると、アールグレーの香りも芳しいムース!が現れれ、ひと口舌に運ぶと優しく上品な味が溶けていく。満腹だったのにスルリと食べ進んでしまう絶品デザート。広東料理のデザートとしては斬新な逸品だった。満足満腹。

Island10婦一緒では18回目(出張を入れると私は20回目)の香港滞在は、こうしてあっという間に過ぎていった。前年に「来年も香港に来るよ!」と宣言した友人とも有言実行で渡香できた。夜景を眺めながら「もちろん来年も来るよ!」と今度は妻が宣う。まだまだデモは沈静化の気配がないけれど、お気楽夫婦が大好きな香港が香港であり続けていることを確かめるために、香港に通い続けよう。加油香港!

クラブラウンジの愉しみ「グランドハイアット香港」

Lounge1気楽夫婦が世界で最も好きな場所のひとつ、それが「グランドハイアット香港」のクラブラウンジだ。2009年に3度目のグランドハイアット香港滞在にして、初めて(ポイントでアップグレードし)グランド エグゼクティブ ハーバー スイートに宿泊して以来、すっかりそのサービスに魅せられて来た。以来、滞在すること12回。そして今夏の訪問計画をデモ騒動のため断腸の思いで諦め、この冬に1年ぶり(笑)に訪問した。

Lounge2Welcome back !」と迎えられ、荷解きもそこそこにラウンジに向かう。ヴィクトリアハーバーを見下ろす爽快な眺め、快適で開放的なラウンジはちょうどアフタヌーンティの時間。小振りのバゲットサンド、絶妙な味のクロテッドクリームとジャムをたっぷり付けたスコーン、そして数種類のプティケーキ。機内の食事を軽めのメニューに変更して、ここで午後のティータイム(ワインも可)を味わうのを楽しみにしていたのだ。

Lounge3刻、ジムで汗を流してさっぱりとした後、カクテルタイムが始まる直前のラウンジに向かう。黄昏時の淡いブルーに染まった景色を背景に、すっかり優美で艶っぽいスペースになっている。混み合う前にしっかりと窓際の席を確保し、馴染みのスタッフと挨拶をしながら、あぁここに帰って来られたと、小さく安堵のため息を吐く。6月に始まったデモは、香港の民度の高さを証明すると共に、一国二制度の危機を感じる出来事だ。

Lounge5十万の市民が整然と行進する映像は、お気楽夫婦が見慣れた街とは思えなかった。そして、その参加者の数に、さすが香港と驚愕し、(最近は過激な行動も目立って残念だけれど)香港加油!と心の底から応援した。と同時に、空港が閉鎖されるような事態になってしまうと、しばらく香港には行けなくなるのかと心配もした。香港は金融都市であるだけではなく、年間6,500万人を超える観光客を集める観光都市でもあるのだ。

Lounge6港LOVEのお気楽夫婦さえ訪問を躊躇うようになってしまったら、観光客は激減してしまう。活気に溢れた香港の街が閑散としてしまう。それはいかん!と立ち上がった2人。12月に開催される予定だった「スカッシュ香港OPEN 2019」は中止。観戦旅行も中止とするところを決行しよう!と決断した。そして、行くとなったら存分に楽しもう!と発想を切り替え、スカッシュラケットを抱えてやって来たのだった。

Lounge7杯!とシャンパンをいただく私の前で、お気楽妻は満面の笑顔で料理を頬張る。グランドハイアット香港のラウンジの素晴らしさは、名物“わんこシャンパン”以外に、美味しく美しく豊富なメニューで、決して“ケチらない”料理にもある。数種のオードブル、生ハムなどのシャルキュトリー、新鮮なサラダ、チーズ、ホットミールなどが、切らすことなく追加される。魅力的な夕餉。これでは外に食べに行けない。行く必要がない。

Lounge8食も感涙もの。OPEN早々にラウンジに向かい、穏やかな空気を纏ったヴィクトリアハーバーを眺めるベストポジションをゲットする。オーダー式のToday’s Specialは、エッグベネディクトだったり、海老雲呑麺だったり、パンケーキだったり。日替わりのお粥、サラダ、フレッシュジュース、そしてダメおしのデニッシュ。毎日たっぷりのサラダとお粥で止められず、デニッシュを2つもいただいてしまう日々。至福の朝食だ。

Lounge9して何よりも素晴らしいのは、スタッフたちの的確で柔軟なサービスだ。朝の7時過ぎ。朝食前にラウンジのデスクに寄り、遅れて到着する友人たちが来たら荷物を…と伝えている時に当人たちが登場。すると「部屋が空いてるか調べてみるよ」という対応に続き、「空いてるから部屋に入れるよ」さらに、「朝食も一緒にどうぞ」との神の声。繰り返すが、その時は朝の7時。もちろん追加料金などという野暮もなし。

Lounge10終日、往路と同様にナイトフライトで帰国する友人たち。チェックアウトした後に、何と出発前にカクテルタイムを楽しむことができた。「ホント楽しかったぁ。やっぱり良いなぁ、香港」「何と言っても、このラウンジだよね!また来年も来たい!」満足した様子の友人たちを見て、ホテル側のように嬉しく思い、またおいで!と答える妻。住人か!魅惑のラウンジ、グランドハイアット香港、もうどうにも止まらない。

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SINCE 1.May 2005