画竜点睛を欠く?「リッツ・カールトン沖縄」

Ritz1ッツ・カールトンの日本初進出は、大阪の駅近く。1997年のことだった。開業早々からホテル人気ランキングでは1位になることが多く、西のリッツ・カールトン、東のパーク・ハイアットと讃えられた。レストランなどで使用するコバルトブルーのグラスが有名で、ホテル好きの憧れだった。ホテルマニアのお気楽夫婦は、大阪はもちろん、2007年に開業したリッツ・カールトン東京にも何度か宿泊した。

Ritz2バート・B・パーカーの小説「スペンサー・シリーズ」にもボストンにあるリッツのバーが度々登場した。スペンサーファンの2人は初めてボストンを訪ねた際には、もちろんリッツに宿泊した。他にもバリ島、シンガポールなど各地のリッツに宿泊したこともある。いずれの滞在も満足なものだった。リッツの信条はクレドとして有名で、最高のサービスと施設を提供することを明記している。そんなリッツには特別感があった。

Ritz3縄のリッツは名護湾を望み、喜瀬カントリークラブというゴルフ場に面する抜群のロケーション。ロビーに入るとすぐに水盤を赤瓦の建物が囲む中庭がある。琉球王朝風なのだろうけれど、まるでバリのリゾートに迷い込んだような錯覚に陥る。そしてフロントに案内され、ソファに座った…ところまでは好感度が高かった。その日は大切な仕事の電話を待っており、一刻も早くチェックインして部屋に入りたかった。ところが…。

Ritz410分経っても、フロントから誰もやって来ない。お気楽夫婦はフロントの前にあるソファに放置されていた。「少々お待ちください」の声もない。そうしている間にも約束の時間は迫る。フロントにいるスタッフは電話をかけたり事務所に出入りしたり、慌てる様子もなく、信じられないことに、ただ放置。驚いた。ウチナー精神でおおらかに待ってもいた。でも、待っているお気楽夫婦の方が、ハラハラ。大丈夫なのか?

Ritz5らに10分、温厚な(笑)お気楽夫婦ですら、チェックインお願いします!と声を荒げ、手続きを急ぐようにお願いして、ようやく終わったチェックインの後、責任者の方がお詫びに客室までやって来たけれど、あとの祭り。不快な気分を一掃するためにジムに向かう。ジムの設備も、ジムに向かう途中にあったライブラリーも、“施設”は高いレベルなだけに、残念。気持を落ち着かせ、汗を流しようやく気分転換。ふう。

Ritz7日は快晴。梅雨明け宣言も出た。リッツのグラスのような青空が広がった。気分爽快。ジムで走って汗と一緒に不快な記憶もシャワーで洗い流した。フロントでの出来事以外、スタッフの対応は大きな不満もなく、快適に過ごしていた。逆に受付での予約の際に、一度だけ短い会話を交わしたレストランのスタッフが、我々の顔と名前を覚え、それ以降名前で呼ぶというクレドにもあるリッツ対応を実践し、感心した程だった。

Ritz8室での娘夫婦(ではないけれど)との部屋飲みの後(深夜ということもあり)、彼らのホテルに帰る際にタクシーを呼んでも来ないとスタッフがすかさず判断し、リッツの車で送ってもらえることになった。さすが!リッツ!と我が事のように喜んだ。ところが、チェックアウトの際に、あの悲劇が再来したのだった。フロントにスタッフは3人、客はお気楽夫婦を含めて2組。先客がチェックアウト手続き中。そこでまさかの放置!

Sanpi2んでもらったタクシーは既にエントランスで待っている。フロントスタッフは2人空いている、はず。そこで確認すると「チェックアウトを担当できるスタッフが1人しかおりません」と、信じられない答え。まさか!事前の調査でこのホテルの評価が極端に2分されていた理由が分かった。賛否両論。マニュアルが徹底されていないのだ。リッツのフロント責任者、滝川クリステルの「グレイステクノロジー」に今すぐ電話だ!

…そう言えば、娘(じゃないけど)この店がおススメだと言って、頑張って予約をしてくれて、一緒に食べに行ったなぁ。「賛否両論」いい店だったなぁ。…遠い目。

ワカモノたちとの宴は続く「ザ・リッツ・カールトン沖縄」

Ritz0縄2日目、ワカモノたちと一時別れ、お気楽夫婦は旅の目的のひとつ「ザ・リッツ・カールトン沖縄」にチエックイン。事前に調べたホテルの評判は賛否両論あり、期待と不安が交錯する。このホテルは2007年に開業した「喜瀬別邸ホテル&スパ」を改装し、2012年からリッツが運営委託を受けている。建物の外観は首里城をモデルとしており、目の前はゴルフ場というバブル感溢れる佇まい。*1枚目の写真は公式サイトから無断借用。

Ritz1約していたのはプレミアデラックスルーム。58㎡の室内はゆったりとしたジュニアスイートタイプ。ベッドルームからリビング&ダイニングコーナーと窓に向かって連続し、ベランダまで真っ直ぐに繋がるシンプルなレイアウト。水周りもトイレ、シャワールーム、洗面とウォークスルーで続く外光を取り込んだ設計で、目の前のゴルフコースを見下ろす開放的な(外からも見られるということだが)ビューバスが素晴らしい。

Ritz2刻、梅雨明け間近の沖縄の空が鮮やかに染まった。ホテルのロビー階にある大きなテラスと水盤に東シナ海に沈む夕陽が映える。北には数年前に訪れた部瀬名岬を望む、広々とした視界が心地よい風景。再び合流したワカモノたちと交代で、遠くオレンジ色の空の下に広がるかりゆしビーチ方面を背にした写真を撮り合う。わずかに残った梅雨空も、翌日にはすっきりと一掃されるのだろうと予感させる爽快な風景だ。

Ritz3テルの中庭には水盤と石橋の通路が配され、階下(ロビー階は3階)に水が流れ落ちる滝があったり、水盤を囲む建物が映り込んだりと、リゾート気分が高まる景色。リゾート向きのワンピースに着替えたお気楽妻と、ホテルの雰囲気にも慣れてきたリラックスモードのワカモノたちと一緒に、沖縄料理を中心としたホテル内のレストラン「ダイニング グスク」に向かう。前夜とその日のランチに続くワカモノたちとの宴だ。

Ritz7ッツを予約したサイトの会員カテゴリが高かったために、1杯サービスになるということで、最初はシャンパンで乾杯。フルート型ではなく、口の広いグラスが珍しいと思っていると「香りを楽しんでいただくように、最近はシャンパンもこの形のグラスを使っています」とスタッフがすかさず解説してくれる。ふうむ、なるほど。しゅわしゅわと弾ける泡と、ブドウの香りが食欲を刺激する。さぁ、食べるぞ!と臨戦態勢になる。

Ritz4初の料理は「イカとグルクンの唐揚げ シークァーサーぽん酢とシークァーサーマヨ」という、いかにもウチナーの一品。カラッと揚がったグルクン(高砂:沖縄の県魚)をまずはぽん酢でいただく。んん、白身があっさりとして香ばしく実にんまいっ!イカはマヨで。これもまたイカの唐揚げとマヨという鉄板の組合せに、ダメ押しのシークァーサーの香りと相まって酒がすすむ。妻のシャンパンまでクイっと飲み干す。幸福だ。

Ritz6板と言えば、ソーキを忘れてはいけない。「沖縄風スペアリブ ソーキの炙り」をガッツリといただく。これはもちろん泡盛だろうと、地元名護の蔵元の「龍泉 ハイビスカス酵母」という初めての泡盛をロックでいただく。ハイビスカスから採取した酵母で醸造したというだけあって、華やかでフルーティな香り。これはスイスイいっちゃうね、とグビリ。柔らかく解れるソーキと泡盛がマリアージュ。いい組合せだ。

Ritz5れ美味しそうですよ。どうですか」とワカモノがオーダーした「野菜寿司6種盛合せ」が続いてやって来た。炙ったカラフルな野菜が見た目に美しくヘルシーで、食べても意外に(笑)かなり美味しい。「どれも美味しかったですねぇ」仄かな灯りの照明を頼りに水盤の石橋を歩き、客室に向かう。沖縄のこと、仕事のこと、恋の話、4人で語る話題は尽きず、年齢差ほどの距離感を感じない。さて、続きは部屋飲みで♬


ウチナーは楽シーサー♬「BARサクラザカ/サンスーシー」

Okinawa1の繁忙期を乗越え、ようやくひと息ついたお気楽妻の慰労のため、梅雨明け宣言間近な沖縄に旅立った2人。すっかり定宿になった那覇のホテルでワンストップし、ホテルの目の前にある馴染みの(2度目だが)バーに向かう。「BARサクラザカ」は、シモキタの泡盛バー「Aサインバー」の姉妹店。下北沢で何店舗かの飲食店を経営する社長が集大成として?自らが店長となって出店した店だから、むしろ本店とも言える。

Okinawa2に入ると下北沢の「ちゃんぷるー」で良く見かけた“社長”が迎えてくれる。Aサインバー2号店の店長から情報が伝わっていたとは言え、「1年ぶりくらいですか」としっかりと覚えてくれていた。店内は60年代から70年代中心のグッズや雑誌などが並べられ、どんぴしゃの年齢のお気楽夫婦にとって、懐かしいおもちゃ箱のような店。お酒もサントリーOLDの沖縄海洋博限定ボトルなど、店中に70年代ネタが満載。

Okinawa3楽のお楽しみはジュークボックス。3台も並べられたジュークボックスはどれもピカピカに磨き上げられ、ジャンル別にレコードが分けられ、まだまだ現役として活躍している。CDが最初に発売されたのが1982年、レコードの販売枚数を超えたのが1987年だから、レコードは70年代までが黄金期と言える。正にジュークボックスはこの店に相応しい存在だ。100円で2曲、何度もコインを追加し懐かしのポップスを聴き入る。

IMG_5318くなりました〜。何だか面白い店ですねぇ〜」と、若いカップルが合流。2人ともレコードを知らない世代。店の中の何を見ても懐かしさよりも物珍しさが勝る。店内に流れているケニー・ロギンスの「フットルース」も、宮崎美子のミノルタのCMポスターも、松田聖子がCMソングを歌ったサントリービールのペンギン缶も、おみくじ付きの灰皿も、彼らにとっては新鮮。親子ほど年齢が離れていることを実感。楽しいぞっ。

Okinawa5日は若い2人が運転するレンタカーで北へ向かう。P社時代の後輩夫婦が経営する人気カフェ「サンスーシー」で、楽しみにしていたランチをいただく♬3年前に初めて訪れて以来、2度目の訪問だ。彼らとはSNSで緩やかに繋がっている分だけ、東京と沖縄程の距離を感じない身近な存在。昨年の秋には奥さまの実家である京都の料理屋さんを訪問したり、「用賀 本城」ご夫妻の訪沖の際に店を紹介したりと交流もある。

Okinawa6ニューが多くて迷っちゃいますね」と若い2人が楽しそうに悩んでいる間に、前回は食べられなかった夏季限定のすだちうどんに決定。湯葉好きのお気楽妻は湯葉玉丼をオーダー。この待望のすだちうどんが、実に旨いのだ。すだちの輪切りが丼いっぱいに敷き詰められ、さっぱりとした出汁ツユに茗荷が絶妙に合う。すだちを齧り、うどんをすする。くぅ〜っ、まさしく夏の味。黒七味がまた良い香りを倍増だ。実にんまい。

Okinawa7いカップルは、迷った末の京のふわとろ親子丼と、お店で一番人気のごまカレー南蛮うどん。紙のエプロンを交代で着けながらカレーうどんを食すワカモノたちが微笑ましい。何だかすっかり娘夫婦を見守る両親気分のお気楽夫婦。彼らとは東京で2回一緒に食事をし、3度目に会うのが沖縄というスピード感溢れる展開ながら、互いに余計な気を遣わず過ごせる関係。楽しく嬉しくゆったりとしたオキナワ時間が過ぎて行く。

Okinawa8待たせしましたぁ〜」「うわぁ〜っ!」「凄ぉいっ!」オススメと言われてオーダーしたアセロラのかき氷が運ばれて来た瞬間、全員が歓声を上げ、運んできた奥さまがしてやったりとほくそ笑む。かき氷好きの妻も満面の笑み。娘夫婦(娘じゃないし、まだ夫婦じゃないけど)も笑顔。良いなぁ、沖縄。「2人も良いけど、4人はもっと楽しいね」と妻が笑顔で呟く。そうさぁ、ウチナーは楽シーサー♬ …沖縄だけに。

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SINCE 1.May 2005