Yuming World ♬「宇宙図書館」

Yuming4雨音に気づいてぇ〜遅く起きた朝はぁ〜♫その曲は、深夜のラジオから流れて来た。FM東京(当時)の人気番組「小室等の音楽夜話」で、小室等が「いやぁ、スゴい人が出て来たね」と紹介したのが、荒井由実の「12月の雨」と言う曲だった。決して歌が巧い訳でもなく、声が美しい訳でもなく、けれどやたらと耳に残り、新鮮だった。10代の私に心地良く響いた。すぐにエアチェック(笑)して、「ひこうき雲」「やさしさに包まれたなら」など、初期の頃の名曲を聴いた。「海を見ていた午後」に登場する“山手のドルフィン”を見に行ったりした。その後、「あの日にかえりたい」が初めてヒットチャートの1位になり、その後も「卒業写真」「中央フリーウェイ」などがヒットし、誰もが知るアーティストになった。少し遠い存在になった。

Yuming180年代に入り、秋にアルバムを発売し、その後全国ツアーを行うという“ユーミン”のスタイルが定着した。本人も語っているように、「レコード(CD)で儲けた分をコンサートでファンに返す」というモデル。すなわち、豪華で派手な演出のステージは、とてもチケットの販売価格だけでは経済的に成立しない。大手企業の冠が付いたコンサートツアーは、CDのプロモーションという位置付けだったり、CMタイアップが前提だったりというビジネスモデルだった。それでも採算が取れる興行ではなかったと思う。だからこそ公演チケットは“プラチナ”だった。CDも売れた。その間、何度かコンサート会場に足を運んだし、アルバムも買った。けれども、松任谷由実になったユーミンよりは、荒井由実の方が好きだったなどと嘯いてもいた。

Yuming22016年冬、久しぶりに「宇宙図書館」というタイトルが付いたユーミンの新譜を手に取った。5月に東京国際フォーラムで行われた公演にも行った。アルバムジャケットと同じデザインの歪んだ書架がある図書館がステージ上に再現されていた。その完成度にワクワク感が高まる。コンサートが始まる。ニューアルバムからの曲に、懐かしい“荒井由実”時代の曲が織り込まれる。過去と現在が交錯する。MCで「図書館は宇宙の入口だ」と語り、図書館発、宇宙行きの列車に誘う。ステージ上では、リアルなユーミンたちアーティストと、薄い膜のような、宇宙空間の帷のようなスクリーンに投影される映像のコラボレーションが展開する。その映像のクオリティに驚いた。アンコールの“名曲”メドレーに打ちのめされる。心震える。ユーミン、凄いっ♫

Yuming3国ツアー最終80公演目の前夜、79ステージ目の会場にお気楽夫婦はいた。「もう一回観に行くよ!」という妻の強い要望だった。さすがに同じアーティストの、同じツアーに2度行ったのは初めて。会場も同じ東京国際フォーラム。それでもワクワク感が湧いてくる。2回目ということもあり、余裕を持って楽しめると思ったのもつかの間、あっという間にYuming World に引き込まれる。参りました。デビューから45年。最新曲からデビュー当時の作品まで歌い上げるステージは、時間の流れを感じさせない空間だった。買い求めたパンフレットにはこうあった。「時間は人の脳の中にしか存在しない」…その日のアンコール最後の曲は「青いエアメール」。♬けれどあなたがずっと好きだわ。時の流れに負けないわ♫確かにそんなステージだった。

身体に悪い競技、身体に良い料理「YONEX JAPAN OPEN」

Bad1京オリンピックに向けて、各競技で期待の選手が現れ始めて嬉しい限りだ。中でも最近やたらと強いのがバドミントン。特に女子。高橋・松友ペアが昨年のリオ五輪で金メダルを獲ったり、奥原希望が世界選手権で優勝したり、いつの間にか世界TOPクラスの選手が増えた。高松ペアの世界ランキングはWD(女子ダブルス)1位、山口茜はWS(女子シングルス)2位!すごい。そこで、日本で開催される国際大会「YONEX JAPAN OPEN 2017」を観戦に行った。初の賞金付きのバドミントン国際大会として1982年にスタートし、今年が36回目の開催。平日の夜、まだ1回戦だというのに、東京体育館には予想以上の観客が入っていた。自分たちのやっているスカッシュと比較し、競技人口も観客も圧倒的に違うのだと彼我の差をしみじみ感じる。大会運営、プロモーション、試合速報なども、国際大会に相応しい。スカッシュも頑張れ!

Bad2目当の奥原選手の試合に何とか間に合い、じっくりと観戦。正確なショット、終始落ち着いたプレー、まだ22歳だというのに、王者の風格さえ漂う。小さな身体がコート内では大きく見える。立ち上がりは苦戦しながらも無事に勝利。これで来た甲斐があった。満足しながら他の試合を観戦。「バドミントンは身体に悪いね」妻が呟く。コースを逆に突かれると、身体を翻し上体を後ろに大きく倒しながらシャトルを打つ。コートギリギリに落とされると、手首を巧みに使って打ち返す。言われてみれば、腰にも、アキレス腱にも、手首にも確かに大きく負担が掛かる。高校時代にやっていたスポーツだから、私にはそれがフツーだったけれど、初めて観戦する妻にとっては驚異的な身体能力であり、無理な体勢に見えるらしい。なるほど。*後日、奥原選手は右膝故障のため、準決勝を棄権。残念!やはりバドミントンは身体に悪い?

Bad3戦後、自宅近くのヴェトナム料理屋へ向かう。お気楽風夫婦は、中華料理好きであり、東南アジアの料理好き。*和食もフレンチやイタリアンも好きだけれども(笑)。六本木の「ヴェトナミーズ・シクロ」や、二子玉川の「ジャンズ」など行きつけのヴェトナム料理屋が何軒かある。そしてこの店「マイちゃん」は、以前「イル・パッツィーノ」という馴染みのイタリアンの店があった場所にできたばかり。気にはなっていたものの、その日が初めての訪問。店に入ると以前の店の雰囲気を残す、いわゆる居抜き。以前の店を知る身としては微妙な気持ち。それでもヴェトナムの国旗や小物類が飾られ、ヴェトナム人夫婦(?)から迎えられるとすっかりエスニック気分。さっそくヴェトナムビール「333(バーバーバー)」や、生春巻き、バインセオなどのお馴染みのヴェトナム料理をオーダー。カジュアルな店の雰囲気と同様に値段もお手頃だ。

Bad4333をぐびり。スイートチリソースとナンプラーが柔らかな辛さのタレをたっぷりと付けて、ゴイクーン(生春巻き)やバインセオ(ヴェトナムお好み焼き?)をいただく。ん、旨い。ヴェトナム料理はタイ料理や韓国料理のような強い辛さもなく、中華料理のような味の強さもなく、野菜をたっぷり使う料理が多いから、身体に良い気がするとの妻の評価。数年前にヴェトナムのリゾート「コンダオ島」に行った際に、シャキシャキと新鮮な野菜に感激し、さらにヴェトナム料理にハマった妻。この店の料理も気に入ったらしい。確かに、焦がしニンニクとパクチーが利いたフォー・ガー(鶏のフォー)もキチンと美味しい。「おっ!バイン・ミーもあるし、テイクアウトできるって!今度食べなきゃ♬」来年の夏にヴェトナム行きを画策し始めた妻は、すっかりヴェトナム方向にアンテナを張り、大きく舵を切った模様だ。

YONEX(正確には冠にDAIHATSUも付くのだが)JAPAN OPENは、女子ダブルスで高橋・松友ペアが優勝!ベスト4に日本人ペアが3組入ったのを始め、男子ダブルスで井上・金子ペアが準優勝、ミックスダブルスで保木・廣田ペアがやはり準優勝と、日本人選手たちは(男女各シングルス以外は)まずまず好成績で大会を終えた。今大会はWSベスト8で終わったものの、共に20歳の山口茜、大堀綾の成長も楽しみだ。身体に悪いと言わず(言っているのは我々お気楽夫婦だが)、万全の体調で2020年を迎えて欲しいものだ。「東京オリンピックでバドミントン観たいね」お気楽妻はすっかりバドミントン観戦もお気に入り。我々も身体に良い料理を食べ、万全の体調で2020年を迎えよう!(笑)

恒例 “鮎尽くしの会” vol.5「用賀 本城」

Ayu1Ayu2魚は独特の臭いがあって苦手でも、鮎だけは別という人が多い。多くの川魚は“臭い”があり、香魚とも呼ばれる鮎には独特の香しい“匂い”がある。その淡白な身と香りと腹の苦味が相まって、鮎好きな人にはたまらないオトナの味だ。お気楽夫婦は大の鮎好き。ある年の夏、店に伺った際に「鮎尽くし料理」の話題になり、「ウチでやりましょか」という本城さんからの申し出に乗り、念願が叶った。以降、2年目からは鮎好きの仲間たちと一緒に毎年開催する恒例の会になった。夏を迎える頃に「今年の鮎はどうしましょう。飽きられんように料理を考えんと…」と本城さんに尋ねられる。どうやら本城さんも我々の会を毎年楽しみにしていただいている様子。嬉しい限りだ。

Ayu3Ayu4ごと食べる背越しは正直少し苦手なのだと伝えると、本城さんは「じゃあ、今年は洗いにしましょ」と即答。いずれも新鮮な活魚でなければできない料理。本城さんは琵琶湖から生きた鮎を取り寄せるとのこと。思えばゼータクな会だ。鮎尽くしの会の会場「用賀 本城」は京料理の名店。「たん熊北店」出身の本城さんが独立して8年前に開店した店だ。お気楽夫婦はたん熊時代から10年以上のお付き合い。友人たちを伴い何度も店を訪れているが、鮎の会のメンバーが最も同伴頻度が高い。「きゃぁ!元気な鮎だぁ」毎年お約束の“活き鮎の顔見せ”に本城さんがタライを持ってテーブルに登場し、役員秘書が歓声を上げる。そんなメンバーの中でも彼女は鮎の会の常連だ。

Ayu5Ayu6の日の鮎尽くし料理は、一夜干しとウルカから。一夜干し鮎の香ばしさ、ウルカの苦味と旨味が絶妙な組み合わせ。この一皿だけで酒がススム。ビールを飲んでいたメンバーもすかさずお猪口を手に取る。この味には何と言ってもキリッと冷えた日本酒だ。続いて砕いた氷の上に嫋やかに横たわる鮎の洗いの登場だ。肝と合わせた醤油でいただく。繊細で上品な味わい。やはり背越しよりもずっと食べやすく美味しい。大正解。さらには王道の塩焼きが続く。頭から尻尾まで齧り付けるジャストな大きさ。骨も邪魔にならず、腹の苦味、さくっとした歯触りを一緒に味わえる。そして、今年もこの一皿を食べることができた幸福も一緒に味わう。しみじみ幸福な味だと、日本酒をぐびり。

Ayu7Ayu8の骨せんべい(唐揚げ)は、ナスやハンダマと共に彩り豊かなサラダとして供される。本城さんの盛り付けはどれも見目麗しく、皿との組み合わせが素晴らしい。さらには新顔の料理、カダイフ(魚料理に使われるフレンチの食材)を巻いた鮎と松茸のフリット。カリカリの歯触り、鮎の甘みさえ感じる新鮮な味覚。これは旨い。さらには骨までほろほろの梅煮、鮒の代わりに鮎の熟れ寿司も。これでもか!と京料理の枠を超え、あらゆる方向から鮎の料理がやって来る。そこまでで7皿の鮎料理。「これで何尾くらい食べたんだろうね」「10尾以上は食べてるね」「年に1度のゼータクだぁ」とテンションが高い仲間たち。そして飽きずに食べさせる本城さんの技の凄さとアイディアを実感。

Ayu9Ayu10飯の後にデザートはどうしますか」笑顔の女将さんの問いに私を除く全員が食べます!と声を揃える。私は既に満腹中枢が悲鳴を上げている。フードファイターたちの胃が欲しい。釜炊きの美味しそうな鮎飯がやってきて、「うわぁ〜!美味しい♫」と感嘆の声を上げる仲間たち。うっ!食べたい!とひと口だけいただき、おにぎりにしていただくことに。「お代わりくださぁい♡」コメ好きの役員秘書が笑顔で鮎飯を頬張る。毎年恒例の風景だ。こうして5年目、第5回の鮎尽くしの会が終了。「また今年もありがとうございました」と挨拶にいらした本城さんと記念撮影。仲間たちも、本城さんも満足の笑み。また来年、こうして美味しい鮎を仲間たちと一緒に味わえますように。

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SINCE 1.May 2005