軽井沢を味わい尽くす「川上庵、榮林、沢村、他」

KARUIZAWA1KARUIZAWA2年も激務の春を乗り越えたお気楽妻。恒例となった「妻を慰労する旅」2017は、高原の街軽井沢。旅のスタートは、軽井沢ならではの美味しいランチ。青山など都内にも数店舗の支店を持つ蕎麦の名店「川上庵」軽井沢本店に向かう。この店の名物は、蕎麦だけではなく、信州産の新鮮な野菜、そして鴨料理。サラダさえ食べさせておけばご機嫌の妻には、シャキシャキの山盛りサラダ。そして私は、軽井沢高原ビールと鴨煮込みでご機嫌。梅雨の最中とは思えない爽やかな気候の中、ビールをぐびり。実に幸福な一杯だ。その後に、2人でせいろ1枚で満腹満足のランチ。順調なスタートだ。

KARUIZAWA3KARUIZAWA4後の腹ごなしに旧軽井沢銀座通りを散策。かつて軽井沢は外国人向けの避暑地として発展し、別荘族向けに夏場だけ営業する店が多かった。私が学生時代にバイトしていた「銀座らん月」も夏季のみ営業の店があった。けれども、長野新幹線(北陸新幹線)開業以降、現在は通年営業の店も増え、某国を中心とした外国人旅行客が目に付く。ジャムで有名な沢屋、腸詰屋、ブランジェ浅野屋などを巡り、商店街の外れにある「茜屋珈琲店」でひと休み。自ら“高い”と記する菓子も含め、ALL800円。高い。けれど、通りの喧騒を離れ、のんびりするにはぴったり。冷たいココアをいただき、ひと息。ふぅ〜。

KARUIZAWA5KARUIZAWA6食は「スーラー湯麺食べたい!」という妻の希望で中華料理の「榮林(えいりん)」。かつてジョン・レノンが1976〜1979の毎夏、軽井沢滞在の際に滞在した際に宿泊した「万平ホテル」に通じる万平通りの入口にある。本店は赤坂。妻が大好きな酸辛湯麺(スーラータンメン)が有名な店だが、賄いで出したこの店発祥の料理なのだと言う。店に入るとジョンの写真が飾ってある席。むむっ。コメントを読むと、彼がこの店に最後に訪れた際に座った席らしい。おぉ〜。写真の中のジョンに冷たいビールを捧げ、ニカっと乾杯。彼もヨーコと食した?酸辛湯麺が一段と美味しく、ありがたい味となる。

KARUIZAWA7KARUIZAWA8日のランチは「ベーカリー&レストラン沢村」。広尾など、都内に数店舗の支店を持つ有名店。旧軽のロータリー近く、前日にランチに伺った川上庵の向かいにある人気の店だ。お昼前に到着したものの、すでに待ち行列。とは言え、280席の大箱。忙しそうに立ち働くスタッフから、すぐに希望のテラス席に案内される。「ブランジェ浅野屋」「フランスベーカリー」など、旧軽近辺には美味しいパン屋が多く、パン好きの妻の目はすでに前日から♡。その上、この店のランチメニューには“パン(食べ放題)とスープ”付き。「何にしようかなぁ」と悩みながら、実に嬉しそう。

KARUIZAWA9KARUIZAWA10が結局選んだのは「色々野菜のサラダ」、私は「チキングリルとレタスのロースト」と、白ワイン。オサレである。「パンもだけど、この野菜シャキシャキで美味しい」快晴の空の下、美味しさも増すというものだ。食事をしながら通りを眺めていると、観光客に混じり、実に多彩な地元民らしい方々が行き交う。大きなつばの帽子(皇族の方かと思うほど)を被った上品な老婦人が、何かを待っている。そこに白髪とサングラスが似合うちょいワル老人が赤いスポーツカー(カブリオレ)に乗って登場。どうやら2人はご夫婦らしい。余りにも軽井沢的な風景に見とれていると、「何だか良いね」と妻。

い頃には遊び人だった夫、それを支えた妻。それでも事業は成功し、ふと振り返ると妻が笑顔でいてくれた。そんな2人の老後は軽井沢で悠々自適の暮らし。…妄想が広がる。「また来なきゃね。新幹線で1時間でこんな風景があるんだもんね」1泊2日のショートトリップ。それぞれに思い出のある街。昨年の葉山に続き、古くて新しいお気に入りの場所を見つけたお気楽夫婦だった。

本との出会い、人との出会い「みをつくし料理帖」他

Book1Book2との出会いは楽しい。けれども、難しい。ふとした偶然もあれば、自ら選んで、探して、出会うこともある。今年で14回目となる、全国の書店員が選ぶという主旨の「本屋大賞」も本を手に取るきっかけになる。第2回、2005年の本屋大賞恩田陸『夜のピクニック』も受賞して紹介されたのがきっかけ。読み始めると、読んでいる最中なのに読み返したくなり、読み終えるのが惜しくなる。そんな作品だった。以降の恩田作品はほぼ読破。2017年2度目の受賞『蜜蜂と遠雷』の文庫化(ハードカバーはNGというのがウチのルール)が待ち遠しい。本屋大賞作品はほぼ読んでいるが、2014年の和田竜『村上海賊の娘』は、独特の物語世界に引き込まれ一気読みだった。和田竜の『忍びの国』も好きな作品。こっそり映画も観に行こうかと画策している。頼むよ!大野くん。

Book3Book4屋で偶然手にとって読んだ作品から、すっかりハマった作家もいる。ヘタウマな表紙イラスト、とぼけたタイトル、変わったペンネーム。小川糸の最初の1冊『食堂かたつむり』は、ジャケ買いだった。かつてご近所に住んでいたことも知り、すっかりお気に入りの作家になり、文庫化された作品は全て読破。偶然の良い出会いだった。友人に勧めらて読み始めたのはロバート・B・パーカー。スペンサーシリーズ第9作『儀式』を1984年に贈ってくれたのは、今は某大手出版社の役員、アテネ・フランセ時代のクラスメイトだった。すぐにファンになり、全作品を読んだばかりか、1999年には小説の舞台になったボストンを夫婦揃って訪ねたほど。パーカーが亡くなり、2012年に刊行された最後の作品まで、ヴァカンスに持参して新作を読むのが楽しみだった。

Book5Book6を交換しながら読んでいる友人から勧めらて、現在進行形でハマっているのが、高田郁『みをつくし料理帖』シリーズだ。彼女のセレクトとしては珍しい時代物。友人との間では、“食”に関する物語がブームだから、納得の選択でもある。「澪ちゃん(主人公)は、すぐに次が読みたくなっちゃうんです」と、一気に5冊も貸してくれた。舞台は江戸。大坂出身の澪が「つる家」という料理屋を切り盛りする物語。澪の生い立ちを知り、人情味溢れる周囲の人々に、辛い出来事も起こり、電車の中で読み始めた私は一気に江戸にタイムスリップ。確かにすぐに続きが読みたくなる、電車に長く乗っていたくなる物語。「所々泣けちゃうので、電車気を付けてくださいね」と友人からメッセージ。…そんな助言にも関わらず思わずほろり。「不意に泣かせるんですよね」御意。

Book7Book8理帖と副題にある通り、巻末には何とレシピ付き。季節ごとに食材を吟味し、旬の料理を拵え、庶民に手の届く価格で供する「つる家」の女料理人、澪(みお)。現在と比べれば調理器具も食材の保管方法も不十分な江戸にあって、彼女の工夫や発想が見事なのだ。そして味に厳しい江戸の客たち。まずいモノに対する評価は容赦ない。けれど、気に入った時に嬉しそうに食べる姿は、素直でストレート。そして、旬のモノに弱く、季節限定に弱いのは今と同じ。某ガイドブックの星のように、当時も料理屋の番付表があり、店も客も一喜一憂させられるのも現在と一緒だと笑ってしまう。そんなシリーズは全10巻で完結とのこと。現在3巻の途中。まだ7巻もあるぞと楽しみにし、7巻しかないのか大事に読もうと寂しくもなる。魅力的な人気(何と1巻は49刷!)シリーズだ。

書は人の幅を広げる。自分で選ぶだけでは手に取らないであろう作品も、友人から勧められるというきっかけがあれば、出会うことができる。友人との交換日記ならぬ、交換読書ができるのは幸福なことだと思う。購入する作家の担当を分担する。お互いに長い感想を言い合う訳でもなく、短いコメントで次もまた貸して!と暗黙の了解ができる。そして、読書の傾向が近いとは言え、全てが相手に合うわけでもなく、「何度かトライしたけど、ダメでした!」とコメントが返ってくる場合もある。それもまた面白い。本との出会いは、人との出会いでもあるなぁ、と友人に感謝。

スカッシュにまつわるエトセトラ「結婚と治療と優勝と」

SQ1SQ2カッシュ界のマドンナ、松井千夏が結婚!」松井自身がブログで結婚を報告した直後、Yahoo!ニュースで大きく報じられた。それを追って、日刊スポーツや報知などのスポーツ系メディアのサイトで取り上げられた。芸能人並みの扱いだ。「IGAさんのお友だちの松井さん、結婚って載ってましたね」さっそく会社でも声を掛けられ、注目度が高い話題なのだと実感。その数日後、前から決まっていた日程だったのだけれど、タイミング良く「ビストロ808」に千夏ちゃんが2度目のご来店。スカッシュ仲間と一緒に彼女の結婚をお祝いした。千夏ちゃんとは彼女が学生だった頃から20年近くのお付き合い。初めて日本チャンピオンになった時には一緒に喜び、香港遠征の際には現地で一緒に食事をし、全日本の後には慰労会を開催し、ずっと応援し続けている。

SQ3SQ4ぉ〜いっ。美味しい♬」初来店の元学生チャンプも満足の笑み。「マンションの入口で、あ!スカッシュの人だ!って言われました」と千夏ちゃん。彼女はこれまでスカッシュ界の広告塔として、TV番組の出演をはじめ、多くのマスコミに登場してきた。スカッシュを知らなかった人たちに、スカッシュというスポーツの存在を知らしめ、少しでも興味を持ってもらう。それが彼女が目指し、果たしてきた役割。ラケットを持たず、ウェアを着ていなくても、松井千夏という名前を知らなくても、彼女がスカッシュ選手だと認識される。これは凄いことだ。まさしく彼女は日本におけるスカッシュの“アイコン”なのだと実感したエピソード。テニスにおける伊達公子さんのように、結婚しても可能な限り長くプレーを続けて欲しいものだ。あ、離婚は見習わないように。

SQ5SQ6達公子さんと言えば、現役復帰後には特に怪我や故障に悩まされ、いろいろな治療やトレーニングを行ってきた。その中でPRP(Platelet Rich Plasma)という、自分の血液から取り出した血小板を患部に注入するという治療法がある。私もテニス肘ならぬスカッシュ肘に悩み続け、同じ治療を行った。それも今回で3度目。伊達さんのようなプロアスリートではないけれど、パソコンを使うにも支障が出る程の痛みに、治療を決意。1ヶ月以上はプレーできないけれど、回復後は痛みから解放される。毎週日曜のレッスンを続けて18年。今は足首の捻挫の後遺症もあり、なかなか思い通りのプレーはできない。けれど、70歳まで(すると私は75歳まで)スカッシュやるよ!と宣言する妻と共に、できるだけ長くプレーしたいという思いで、治療やリハビリを続けている日々だ。

SQ7SQ8気楽妻と言えば、スカッシュの団体戦で(私が出場できないのを幸いに)同じクラブのエース2人と組み、下位トーナメントとは言え、見事に堂々の優勝!決勝戦は妻が1番手。接戦の末に2点リードを許し、クラブチャンピオンに繋ぐ。チャンプの対戦相手も強く、その日の全試合中で最高水準のラリーを続け、同点つまり2点リードされたままでアンカーに託す。すると、普段は繋ぐスカッシュのセカンドエースは、見違えるような攻めのプレーに徹し、見事に逆転。ミスも少なく、素晴らしいショットを連発し、最後は大差で逃げ切った。会場に溢れる万雷の拍手。チームメイトに笑顔が溢れる。握手とハイタッチ。優勝賞品の崎陽軒のシウマイを大量にゲットし、さらに笑顔。個人だけではなく、チームの力で得た結果に喜ぶクラブの仲間たち。これぞ団体戦の醍醐味。

カッシュ、やっぱり楽しいぞ!5週間ぶりに復帰したスクールで汗を流した後、思わず声を上げた。まだまだフルスイングはできないけれど、ボールを気持ち良く叩いた(SQUASHは押しつぶすという意味)瞬間の快感が還ってきた。相手の逆を付いて、自分の打ったボールが飛んでいく時の嬉しさが戻ってきた。千夏ちゃんのようにトッププロとして、あるいは試合で勝つことを目指して、お気楽夫婦のようにエンジョイプレーヤーとして、スカッシュの楽しみ方はそれぞれ違う。けれど、スカッシュを愛する仲間たちとの輪は、その関わり方やレベルとは関係なく、スカッシュを通じて繋がり、深まり、広がっていく。競技人口が少ないが故に、コート利用などに不便なことも多いけれど、トップ選手が身近にいる僥倖だったり、マイナースポーツだからこその良さもある。やっぱりスカッシュはいいね!

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