薬食同源「用賀 本城」

Honjo1Honjo2だ会社なので、本城さん到着が遅れちゃうし、今日はちょっと体調悪くて。トホホ…」同行予定の役員秘書から連絡が入った。「用賀 本城」は2009年春に開店して以来、年に数回通い続けている大切な店。店主の本城さんとの出会いは、彼が「たん熊北店二子玉川店」の店長だった2006年だから、数えてみれば10年を超えるお付き合い。そして、この店に最も多くご一緒しているのは、おそらく役員秘書だと思われる。妻の誕生日を他のスカッシュ仲間とお祝いしたり、開店早々に3人で訪問しお祝いの胡蝶蘭を分けていただいたこともあった。そんな彼女に慌てずにおいでと返信する。

Honjo3Honjo4ゃー!素敵。流れ星☆彡?七夕?」先付けの皿に盛られた料理を見て、遅れて到着した役員秘書のテンションが上がる。続いて涼しげな鱧の湯引き。深めの器に氷を敷き、その上に鱧とポン酢ジュレ、梅肉ソース、花付き幼果キュウリが添えられる。「関西の夏だねぇ」妻もうっとり。ごりっごりっと本城さんが他の客の鱧の骨切りをする音が心地よいBGMだ。煮アワビは豆豉入り。和食に豆豉とは珍しいけれど、本城さんの食材の組合せは大胆で絶妙。続いて、お気楽妻には生牡蠣の生海苔ジュレ乗せ。生牡蠣が食べられない役員秘書と私には、蟹味噌付きの茹で毛ガニ。くぅーっ!んまい。

Honjo5Honjo6牡蠣美味しい〜っ!生海苔のジュレがいい香り♬」お気楽妻が自慢げに微笑む。大好きな生牡蠣だけど、どんなに新鮮でも、何度食べても当たってしまう。そして何度当たっても食べてしまい、その度に後悔する。仕事を辞めるときに、オイスターバーで心ゆくまで食べてやる!と決めている。「舶来の松茸です」本城さんが笑顔で椀物の説明をしてくれる。鱧の脂と出汁が沁みた冬瓜が旨い。「やっぱりどれも美味しいね。何だか元気になってきたぁ〜」役員秘書がしみじみと呟く。笑顔が柔らかくなり、目の輝きがいつも通りになってきた。本城さんの料理は薬膳ではないけれども、良く効く。

Honjo7Honjo8身の皿には車海老の握り。少食の3人には絶妙な量。ひとり飲み続ける身には、焼き物の盆に乗ったサザエ、ノドグロ、小鮎の一夜干しとうるかが感涙もの。ついついもう1本と酒を追加。開店当初より日本酒の種類も増え、季節限定の酒もメニューに載るようになった。飲んべとしては嬉しい限り。「今年はどちらに行かはるんですか」本城さんに夏休みの予定を尋ねられ、妻が嬉々として答える。「今年はどこにしようかとIGAさんのサイトでホテルを探したんですけどね」女将さんも会話に入る。彼らはIGA-IGA.comの読者でもある。結果、沖縄になったとのことで、おススメの店をご紹介。

Honjo9Honjo10撮りしますよ」いつものように最後の客となり、他の客がいなくなったのを良いことに撮影大会。「今年は鮎はどうされますか」と、恒例の鮎尽くし企画の話題となり、もちろんお願いしますと即答。今年はH部くんにはリベンジをしてもらわねば、などと。その後、女将さんもご一緒に、お二人の出会い、女将さんの某社勤務時代のエピソードなどを伺いながらデザートをいただく。こんなお付き合いも10年以上。ありがたいことだ。「居心地が良いから気持も安定するんだよね」役員秘書からそんなメッセージが届いた。美味しい食事、居心地の良い空間、楽しい時間は何よりの薬だ。

すっぴん訪問可♬「イル・パッツィーノ」

IlPa1IlPa2職の後輩夫婦が沖縄に移住し、5年ほど前にオシャレなカフェを始めた。「琉球甘味 サン スーシー」という、北中城にある人気の店。ある日、その後輩(夫)のFacebookの書き込みに、「久々の東京でイルパッツイーノの濃厚トマトウニソースタリアテッレ」という一文が。あれれ?ウチの近所の、あの店か?思わず彼のタイムラインに書き込んで確かめると、まさしく“その店”。その上、シェフのお姉さん(ホール担当)が高校の同級生の奥様なのだという。あらら、それは奇遇。「IL Pazzino イルパッツイーノ Cucina Italiana イタリアの厨房」は、昨年夏にOPENしてから何度か伺ったお気に入り店。地元世田谷の野菜を使ったサラダやパスタ、ドルチェが美味しい店だ。

IlPa3IlPa4る週末、ご近所ジムで汗を流した後に「イル パッツイーノ」に向かった。その日のオススメはムール貝と岩牡蠣とのこと。どちらもいただきます。店のオススメには素直に従うお気楽夫婦。ムール貝はたっぷりトマトとパセリ、ニンニクと一緒にバターで炒め、岩牡蠣(妻のみ)はオリーブオイル掛け。んまい。ビールをぐびぐび。トレーニングで汗を流した後だから、あっという間に飲み干し、キリッと冷えたワインにすすむ。ムール貝を食べ終えたとことろで、シェフから残ったムール貝のスープでリゾットにしましょうか?と尋ねられ、ぜひ!と即答。だったらオーダー済みのパスタはなしで良いですね、と細やかな気配りが少食の2人には嬉しい。でも、商売っ気のないシェフ。

IlPa5IlPa6、やっぱりこの店の野菜は新鮮でシャキシャキ美味しいわ♬」世田谷野菜のグリーンサラダを頬張りながら、お気楽妻が微笑む。彼女がこの店を気に入っている理由は元気な野菜。サラダ好きのお気楽妻は、レタスなどの葉野菜の鮮度で飲食店の食材に対する拘りを見極める。葉の縁が茶色く変色している店は、食材の回転が遅かったり、作り置きをしている場合があり、他の食材に関しても信頼が置けない。逆に、瑞々しくフレッシュな野菜を使っている店は、野菜以外の他の食材も信頼できる、というお気楽妻の法則だ。なるほど、確かにサラダの水ナスやレタスが歯ごたえ良く甘いだけでなく、ローストビーフの肉もジューシーで柔らか。食材の良さを楽しめる。

IlPa7IlPa8真撮るよ、とスマホを向けると、「すっぴんだけどね。ま、いっか」と鷹揚にカメラ目線になるお気楽妻。ご近所のお店の良さは、気取らずに普段着で、すっぴんで出かけられること。カジュアルな普段遣いの店で、美味しいモノを気軽に味わえることは幸福だ。「そろそろリゾットお作りしますか」絶妙なタイミングでシェフから声が掛かる。お願いしますと答えると、あっという間に熱々ムール貝のリゾットができあがった。「うわっ、美味しいよ、これ!」普段はほとんど米を食さない妻。けれども、このシンプルながらムール貝の旨味たっぷりのリゾットを前にすると、食べずにはいられない。躊躇いもなくスプーンが進む。んっ、確かにこれは抜群にうんまいぞっ。

利用ありがとうございます」シェフのお姉さんのご主人(前職の後輩の同級生)もたまたま仲間を連れてご来店。ご丁寧にご挨拶いただいた。お気に入りの店と新たなご縁が繋がったようで、何だか嬉しい夕べ。歩いて2分。すっぴんで訪問可能な美味しい店、イル パッツイーノ。またお伺いします!

酒豪女子はもてなし上手「小料理屋M」

Mina1Mina2越も落ち着いたし、良かったら次回のシングルの会はウチで!」酒豪女子からそんなメッセージが届いた。初めての1人暮らしも3年、更新のタイミングで同じマンション内で引越を決行。引越祝いを兼ねたホームパーティをやろうという企画となった。スカッシュ仲間のシングル女子3人と、お気楽夫婦が定期的に飲み会を開催することになったきっかけは、3年前のクリスマス。なぜかスケジュールが空いていたクリスマスイブに酒豪女子と過ごすことになって以来。その年に1人暮らしを始めた彼女の住まいにも何度かお邪魔することになった。「わぁ、これ美味しい。ますますお料理上手になったよねぇ」役員秘書も関心しきり。彼女の作る料理は、確かに回数を重ねるごとに上達。

Mina3Mina4とり暮らしなのに食器やグラスもキチンと揃えてあるんだよねぇ」アスリート女子も頷く。オードブルのブルスケッタが盛り付けられているのは、黒い溶岩石のような風合いの四角い大皿。握り寿しでも盛り付けたら映えるだろうな、というオシャレな食器。タコとアサリのニンニク蒸しは白い葉型の皿、パクチーのサラダは涼しげなガラスの器、シャキシャキのコールスローサラダは木の丸皿。一人暮らしには過分な、来客があることを前提とした食器のラインナップ。きれいに揃えたランチョンマット、取り皿、人数分の箸置きなど、誰かをもてなす、という視点がなければ必要のないものばかり。「食器好きなんです」と本人は言うが、それだけではこのセッティングは難しい。

Mina6Mina5もてなし上手なんだよね」お気楽妻が畳み掛けるように誉めると、酒豪女子が照れる。と言うことは、彼女は料理上手なだけではなく、注ぎ上手、もてなし上手、自ら飲み上手となれば小料理屋の女将のキャラクター。ちょいと色っぽく如才ない女将に惹かれて、常連のオヤヂたちが毎日のようにやって来る小さな店。私もきっと常連になる。「そのスマホケース良いですよね。へへ、私も真似っこして買っちゃおうかな」お気楽夫婦が購入したケースが評判のようで、役員秘書もアスリート女子もお揃いのようなスマホケースを買っていた。それを見て自分も買いたくなるという、年上から可愛がられる妹キャラであり、他のメンバーとはひと回りほど年下の末っ子キャラでもある。

Mina8Mina7はどれが良いですか」ワインを抱え笑顔満載の女将。注ぎ上手、飲み上手の顔になる。「角部屋になったし、明るくて良い部屋だよね」引越前の彼女の部屋は1階だったから、防犯上も新居は好評。小ざっぱりとしたインテリア、壁に飾るものも最小限にし、大きな鏡を活用し広さを演出している。決して広くはないものの、女将の細やかな気配りもあり、居心地の良さは以前と同様。ついつい長居をしてしまう。「忘れない内に本もお返ししますね」彼女とは読書仲間でもあり、互いの蔵書を貸し合って読んでいる。読書傾向は近いものの、彼女にぴったりかなと思えば外れたり、意外な作品がハマったり。原田マハを貸し、山本幸久を借り、それぞれお気に入りの作家になった。

しかったぁ。ありがとでした」「おもてなしの腕がどんどん上がっていて、見習わなくちゃだなぁ」帰宅後、メンバーからのメッセージが飛び交う。「新居も居心地がいいね。また通っちゃいそうだわ」とお気楽妻。そうだね、ぜひ常連のオヤヂと一緒に「小料理屋M」へ。

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SINCE 1.May 2005