ホリデーランチやって〼「ビストロ808」

B8081B8082る週末、ビストロ808に遠来の友人たちが来店の予定だった。フリータイムは夕方までという旅程。だったらランチタイムで開店しよう!と計画。在京の共通の友人もお誘いした。ところが、急遽来訪が中止となった。残念。けれども、ビストロ開店はお気楽夫婦の趣味であり、レジャー。せっかく誘った友人の予定を活かし、そのまま開店することにした。他に初来店のスカッシュ仲間のご夫妻と、最多来店記録を持つご夫婦、計5名をゲストに。数日前から料理を作り始め、いつもはビールとチョコレートしか入っていない冷蔵庫に、料理が詰まった保存容器が並ぶ。2人だけでは買わないクラスの牛肉や香草などを買い込む。迎える側のワクワクが増す。テンションが上がる。

B8083B8084邪魔しまぁす、うわぁ〜素敵ねぇ」初来店のご夫妻はジャケット着用でご来店。しまった!ドレスコードはないのを伝えていなかった。やや緊張気味のお2人。早々に飲んでいただき、リラックスしていただこう。チーズのオードブル3種、サバのリエット、いつものクリュディテなどを並べ、持参していただいたスパークリングワインで乾杯!師匠であるビストロトロワキャールのシェフ聡ちゃん直伝のキャロットラペ、紫キャベツのマリネは万全。安定の味。「これ何ですか?すっごい美味しい♬」初めてのメニュの中ではサバのリエットが好評。サバを釣ってきてね、圧力鍋で煮て…というジョークはスルー。サバの水煮缶詰を使った簡単お手軽レシピ。これも定番メニュに決定。

B8085B8086わぁっ!すごい。こんなオシャレな料理自分で作れるの?」パテドカンパーニュをお出しすると、初来店の奥様の嬉しいリアクション。食べていただくゲストも、お出しするシェフチームもテンションが上がる。賑やかに会話が弾む。ワインがすすむ。明るい時間の酒はなんて美味しいのか。続いてメインは牛肉のタリアータと新玉ねぎのピュレ。料理教室で習って直ぐにお客様にお出しできる新玉ねぎのピュレ、レンズ豆のサラダと共に、組み合わせ多彩。実に良いタイミングだった。師匠に感謝。さらにリクエストがあったグリーンメドレーサラダ、スーシェフ担当のジャガイモとブルーチーズのオーブン焼き。これもすっかり定番料理。スーシェフの料理の腕も上達した模様(笑)。

B8087B8088ント、楽しかったわぁ。明日が早いから、あぁ朝5時起きなのよぉ。残念だけど、お先に失礼します」初来店のご夫婦が店を出たのは6時過ぎ。ランチの時間としては十分遅い。けれども他のメンバーにとってはまだ宵の口、あるいは酔の口。持参してもらったワイン8本と店のワイン合わせて10本は既に空。冷蔵庫に入っていたシェフ飲みかけのワインまで飲んでしまう勢いだ。じゃあ、シングルモルトを飲もうか。前回、当店のシングルモルトを飲んで、某駅近くのマックで朝を迎えたご夫婦が代わりに持ってきてくれた1本だ。大丈夫?また飲ませちゃって?という妻の視線はスルー。するとドスン!という大きな音と共に、肉部の巨漢部長がトイレの前で転んだ。あちゃぁ。

夜の帰り道、ダンナはとっても上機嫌でした。ホントにありがとうございました」初来店の奥様からメッセージが届いた。寡黙なご主人が楽しかったらしいと聞いて、思わずほくそ笑んだ。楽しんでいただけたかどうか分かりにくいキャラだけに、ハイタッチでもしたい気分だ。10時間近く飲み続け、ご機嫌に帰って行った肉部飲んべチームは、いつものように分かりやすいのだけれど。「良かったね」と妻も微笑む。そして、すっかりビストロ営業を楽しんでいることに気づく。そうなのだ。メニュを考え、食材やレシピを準備し、どんな順番で料理を出し、どの皿に盛り付けるか、2人で考え、ゲストを待つことを心から楽しんでいるのだ。老後も楽しめる趣味として、引き続き営業しようか。「ビストロ808」ホリデーランチも好評営業中。要予約♬

幸福の17貫(後編)「鮨いち伍」千歳烏山

Ichigo13Ichigo14ラグロです」コハダ、アオヤギ、赤貝と続いた後に、サヨリの握りを付け台の上に乗せながら、大将が笑う。以前、酒豪女子とこの店に来た際に、他の店でサヨリが好きだと言うと、サヨリの別名の「ハラグロ(女子)」と呼ばれてしまったという話題になったことがあった。そんなエピソードを覚えていたのだ。この店に通い始めた頃、重い空気があったのが信じられない、柔らかな雰囲気が店内に充満する。「店の外から覗いて、なかなか入れなかったんですよ」初めての来店だと言う隣席の初老のご夫婦が大将とことばを交わす。「どれも美味しいです。来られて良かった」奥様がことばを重ねる。

Ichigo15Ichigo16ハマです」この店に通うきっかけになったネタだ。行きつけの鮨屋を探していた頃、お気楽夫婦の大好物の煮ハマを置いている店がなく、ようやくこの店で食べることができた。「最近、ハマグリが獲れないんですよ」大将とそんな会話を交わした。それを覚えている大将は、お気楽夫婦の予約が入ると煮ハマを取っておいてくれるらしい。ありがたく、嬉しいことだ。続いて、イワシ、そしてアジの押し鮨。「押し鮨なんて珍しいねぇ。うんっ、美味しい」普段は自ら主張することが少ない妻。けれど、この店に出会って以降、決して他の店で鮨を食べようと言わない。実に幸福そうに鮨を頬張る。

Ichigo1746-02う言えば、この前取材が入ったんですよ」大将が何事もなかったように淡々と語る。聞けば、『早川光の最高に旨い寿司』というBS12の番組に取り上げられ、さらに私の前職のP社が発行する同名のMooks『早川光の最高に旨い寿司(ぴあMOOK)』にも掲載されるのだと言う。*店内の写真は番組公式HPより。おぉ〜、それは良かった。ん?ちなみにP社の担当者はO木くん?「あぁ、そうです。プライベートでも来ていただいて。お詳しい方ですね」うんうん、かつての後輩を褒められると、何だか自分のことのように嬉しいものだ。そして、ウニ、アナゴ、締めのタマゴで計17貫、心もお腹も大満足。

7年間、続いて良かったね」帰り道、妻が嬉しそうに呟く。決して交通至便とは言い難い店のロケーション。丁寧な仕事に見合った料金設定とは言え、周囲の店に比べてお手頃とは言えない。こざっぱりとした店は小さく、少人数の個人客相手の店構え。店のコンセプトに開店以来ブレはない。けれど、相変わらず最初から愛想が良い訳ではなく、さっぱりとした接客。逆に、それにハマった客が通い続けたのだろう。もちろん、お気楽夫婦もハマった口だ。次は春を味わいに!

幸福の17貫(前編)「鮨いち伍」千歳烏山

Ichigo1Ichigo2Ichigo3は食べたい。けれども、中途半端な鮨は食べたくない。それがお気楽夫婦のスタンスだ。とは言え、銀座辺りの高級店では敷居が高く、回る鮨では淋しい。ホントに美味しい!と思えるキチンとした店で、気軽に食べたい。わざわざ感がなく、普段使いができる店。常連客だけが席を占拠し、一見客が入り辛いような店は避けたい。鮨を握る大将との距離はほどほどで、季節のネタが揃っていて、食材を活かす仕事が施されている。それが2人の理想の鮨屋だ。

Ichigo4Ichigo5Ichigo6きつけの鮨屋に馴染みの板さんがいなくなり、新たな理想の鮨屋を探し、何軒も食べ歩き、ようやく出会ったのが7年前。「鮨いち伍」というご近所の店。開店早々の新しい店だった。鮨の味は申し分なく、料金も手頃。カウンタ席だけのこぢんまりとした店。最初は大将との距離感を測りかねていたが、訪問回数を重ね、店の空気が解け、居心地の良い店になった。以来、他の鮨屋には足を向けず、年に数回という頻度ではあるものの、ひたすら通い続けている。

Ichigo7Ichigo8Ichigo9しい!そろそろ行きたかったんですよ」友人たちを伴って出かけることが多いお気楽夫婦。その日の同行者はアスリート女子。何度か目のフルマラソンを完走し、ホッとできたタイミングでお誘いに応えてもらった。ビールで乾杯した後、さっそく握ってもらう。と言うより、近頃は何も言わずに大将にお任せ。最初はヤリイカ。隠し包丁の上にひと刷毛の醤油。赤酢を使ったほんのりピンクの鮨飯と山葵の緑が透けて見える。美しい。そう、端正な鮨なのだ。

Ichigo10Ichigo11Ichigo12鯛の昆布締め、甘鯛と別嬪さんの白身の握りが続く。昆布締めのタイはねっとりと旨く、嫋やかな甘鯛は繊細な美味しさ。堅めの鮨飯は絶妙に口の中で解け、ネタと素晴らしいハーモニーを奏でる。昆布締めの白身好きの妻はうっとり恍惚状態。これは日本酒だ!春鹿をお願いする。ん、旨い。辛口の酒が良く合う鮨だ。続いて初鰹、マグロの赤身漬、中トロ、大トロのトリオ。赤身のクリーンアップ。ネタの味わいの違いを楽しみ、丁寧な仕事を味わう。幸福の味。

後半に続く。


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SINCE 1.May 2005