Archive for 4 月 15th, 2006

京都ふたたび「円山公園の枝垂桜」

P10_2都内の桜がすっかり散ってしまった4月中旬、京都を訪ねた。桜が似合う古都の春は、東京に比べゆったりとやってくる。JR東海のキャンペーンで、益々有名になった円山公園の「枝垂桜」は、今まさしく満開。慌しく訪れた前回の出張は、まだ桜も蕾、肌寒い3月末。四条河原町近辺を重い荷物を持って歩き回り、その日に帰る日程。春の京都を味わうべくもなかった。それに比べ、今回は京都泊。チェックイン後に、夜桜見物ができる。ありがたい。

その季節でなければ観られない風景がある。会社勤めの身では、なかなかタイミング良く訪れることもできない贅沢な旅の風景。文字通り桜色に染まった京都の街を、のんびり歩く。三条通りを東に向かい、高瀬川を渡る。都会の貴重な清流の上に、満開の桜が枝を伸ばす。木屋町通りと先斗町に少し寄り道をしながら桜見物。明るさの僅かに残る街には、まだ夜の喧騒も訪れていない。外国人観光客が何度もシャッターを切る。ちょっと誇らしい「日本の風景」。三条大橋を渡り、対岸の先斗町歌舞練場を眺めながら、鴨川沿いの歩道を歩く。レンギョウやユキヤナギ、枝垂桜が咲き競う。日本人の私も、何度もシャッターを押す。ちょっと嬉しくなる「春の風景」。

まだ穏やかな顔の祇園の街をぶらつきながら、知恩院の三門に辿り着く。すでに拝観時間は終わっているが、境内のソメイヨシノを門外から眺める。観る人を厳粛な気持にさせる壮麗な景色。そして、隣接する円山公園へ。人混みの向こうに枝垂桜が周囲を圧して立ち上がっている。暮れかかる淡く蒼い空の色に、ライトアップされた枝垂桜の花の色が溶け始める妖しい風景。樹齢80年近い老木の、切られた枝が痛々しく空に伸びる姿は、妖艶さと老醜とが入り混じる。「一重白彼岸枝垂桜」と名付けられた二代目。先代は樹齢220年で枯死したという。待望の風景を眼前にしつつも、複雑な気持。

桜前線はとっくに北に向かったと思っていたのに、西に向かった旅(出張だけど)でもう一度春に出会った。今年、二度目の春。春爛漫の京都の街を独り歩いていると、夢の中を歩いているような、妙な現実感のなさに、気持が落ち着かない。ん?出張中なのに、優雅に夜桜見物などしているから?ごもっともです。

002184372

SINCE 1.May 2005