Archive for 4 月 30th, 2006

ルパン、記号、トム?『ダ・ヴィンチ・コード』ダン・ブラウン

P10_3ベストセラーを避ける傾向にあるなどと言いながら、つい読んでしまった本がある。話題というより、ブームの感もある『ダ・ヴィンチ・コード』。そういえば最近、出張が多いせいか読書量が増えている。(通勤途中で読むこともあり、必然的に文庫)『イン・ザ・プール』奥田英郎、『東京タワー』江國香織、『玉蘭』桐野夏生、『プレイ -獲物-』マイクル・クライトン・・・って、ほとんど“売れ線”の作品じゃん!と、乗せられやすいミーハーぶりを自覚する。

幼い頃、モーリス・ルブランの「アルセーヌ・リュパン」(当時は「ルパン」表記)シリーズが好きだった。新刊が出る度に、親にせがんで買ってもらい、貪るように読んだ。『奇巌城』『八点鐘』『黄金三角』『虎の牙』・・・タイトルを目にするだけで、子供の頃のワクワク・どきどき感が蘇る。パリとその周辺の街を舞台にした冒険物語。セーヌ河畔、シャイヨー街、ル・アーブルなどの地名に夢想が広がった。同時代のシャーロック・ホームズが登場したりする設定も、子供ながら不思議で、興味深かった。(なぜ他の作者の著書の登場人物が?!)リュパン派だった子供の頃の私は、ホームズは一冊も読まなかった。

『ダ・ヴィンチ・コード』を読んで、そんな記憶が呼び覚まされた。パリとロンドンを結ぶダイナミックな場面展開、登場人物の裏の顔、中世から続く謎の組織、隠された秘密を暴こうとする主人公、それを助ける謎めいた女、その女性の数奇な運命、一筋縄ではいかない暗号(記号)の数々・・・。リュパンの設定そのもの!そうかぁ、読んでる途中で感じた、どこか懐かしい“ワクワク感”は、そんなところから来ていたのかもしれない。

思い出せば、NYCの友人に去年のロンドン・パリを訪れた夏の旅行を「ダ・ヴィンチ・コードを巡る旅」?と尋ねられた。やっと意味が分かった。去年ハードカバーで読んでいたら・・・。ちょっと惜しいことをした。それにしても、映画化されたり、解読本・関連本が出たり、長い長い世界的なブーム。映画公開直前に文庫化するというマーケティング戦略に、上手く乗せられて読んでしまった訳だ。毎週楽しみにしているTXの番組『美の巨匠たち』でも、2週間にわたってダ・ヴィンチを取り上げていた。う~む。どうしても私に『ダ・ヴィンチ・コード』を観に、映画館まで足を運べ!と画策しているようだ。(皆に対して画策してるんだけどね)乗せられついでに観に行くかぁ。でも、トム・ハンクスは好きだけど、主人公のラングドンとはイメージが違うんだけどなぁ・・・。ぶつぶつ。

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