名物に旨いものあり?「モツ鍋&長浜ラーメン」

060720初めて博多名物<モツ鍋>を食べたのは、20年近く前。目の前に山と積まれたニラのピラミッド、たっぷりのニンニクスライスと唐辛子。ビジュアルで圧倒された。どんなタイミングで食べたら良いのか。見かねた店のおばちゃんが食べ方を教えたくれた。恐々ひと口。うっ!がつんと旨い。こってりあっさりモツとキャベツとニラのハーモニー。それから数年、なぜか突然の“モツ鍋ブーム”。博多んモツ鍋がいっちゃん旨か!と嘯き、東京の店では一度も食べなかった。

10数年ぶりに、博多の名物を食べ歩いた。博多初心者の同僚を連れて訪れたのは、初めてモツ鍋を食べた思い出の店<味味>。モツ鍋の老舗。シンプルなスープが、数種類のモツを煮込み、それらのエキスが溶け出すことで、独特のコクと旨みのあるまろやかな味に変わる。唐辛子をたっぷり鍋に放り込む。くはぁっ!旨い。この味、この味。モツと野菜を追加。ビールが進む。この店以外にも、博多モツ鍋のスタンダード<楽天地>、酢醤油と柚子胡椒でいただくという独特のスタイル<もつ幸>など、博多のモツ鍋は味のヴァリエーションが豊か。東京でのブームと違い、しっかりと街に根付いた地元の味。

060720_2バーで飲み直し、お腹に休息を入れ、もう一つの名物に挑む。初めて食べた時に、“替え玉”でカルチャーショックを受けた“長浜ラーメン”。無謀とも言えるはしご。しかし、博多初心者が一度は通るべき、大事な通過儀礼。かつて私が地元の方々から教えていただいたように、博多名物を伝承しなければ!妙な使命感に燃える。元々“長浜ラーメン”は、長浜市場の門前にあった屋台街が発祥。その中でも<元祖長浜屋>は深夜でも客が途切れることなく訪れる有名店。独特の極細のストレート麺。白濁した見た目と違いあっさりとしたスープ。博多でたっぷり酒を飲んだ後に食すなら、やはりこの味。

“名物に旨いものなし”と、良く言われる。一面は真実であり、一面は違う。その土地には、頑なに守られた地元の人の舌に合わせた味がある。それが誰にも受け入れられるかどうかは、一様ではない。かつて九州だけで飲まれていた<本格焼酎>は、すっかり全国的に飲まれるようになった。“お取り寄せ”ブームで、どこにいても地元の名産が手に入る。しかし、全ての名産が誰の口にも合うわけでもない。そして何より、その土地を訪れてこその“地元の味”は、また格別。だからこそ、旅先での“味”には旅の記憶と共に、印象に残るものも多い。「どうも出張とは思えないんだよねぇ、いっつも」私の書きかけ記事を読みながら妻が呟く。そりゃぁ誤解。旅先でも、きちんと仕事をしてるからこそ。

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