憧れのウチナー「新宿エイサー祭」
2006年 7 月30日(日)
梅雨前線が弱まり、ぐいっと気温が上がった週末、お気楽夫婦は電車で沖縄に向かった。その“沖縄”は、夏の日の一日だけ、新宿に現れる。大太鼓と締太鼓、バーランクー(片面張りの小太鼓)の音が、ビルの谷間に木霊する。地謡(じうてー)の歌と三線に合わせて、京太郎(ちょんだらー)と呼ばれるおどけ役が、手踊りの女の子たちの間をふらふらと歩き笑わせる。締太鼓の男たちの群舞に、心をぐっと鷲掴みにされてしまう。街を歩く人々も思わずその魅力に引き込まれてしまう“エイサー”が街を占拠する。
今年で5回目を迎える、新宿の<エイサー祭>。新宿通りをメイン会場に、午後から夜まで、10組以上の団体がエイサーを次々に披露する。地元沖縄から招かれた団体や、地元青年団などの指導を受けて首都圏近郊で活動する団体など、様々。“エイサー”とは、元々17世紀の琉球王朝時代にルーツを持つと言われる“念仏躍り”が原型。札幌の学生が始めて全国に拡がった“よさこいソーラン躍り”のように、現代のエイサーはアレンジも多様。踊っているメンバーも、小さな子供たちからおばあちゃんまで幅広い。
今年の“目玉”は、読谷村(よみたんそん)楚辺青年会のエイサー。地元に残された伝統的な空手の型を基にした“もーい(躍り)エイサー”。いかにも“ウチナー顔”の元気に陽に焼けた男の子たちが、三線の旋律に合わせて躍り歌う。笠を被った手踊りの女の子たちに声を掛けながら、リラックスしながらも優雅な躍り。う~ん、実に楽しそう。歩道から何人かの観客が踊りの輪に加わってしまう。三重の肩車で作った<騎馬>を先頭に、踊りの隊形が変わった。締太鼓の男たちが雁行の形になって太鼓を打ち鳴らすエンディング。うひゃあ、涙が出そう。観客から「ありがとうっ!」と声が掛かる。拍手の嵐。
「かっこ良いねぇ」そう呟く妻は、大のエイサー好き。5年前に第一回目の<新宿エイサー祭>に遭遇し、それ以来すっかりエイサーフリーク。沖縄の海に、ヘルシーな料理に、(私は酒にも)魅せられただけではなく、沖縄にハマってしまった。そしていつかは、沖縄で開催される<1万人のエイサー踊り隊>をはじめとした本場のエイサーを観たいと念じている。沖縄を終の棲家としたいと憧れてもいる。「いつか、地元の人間として観に行きたいよねぇ」遠い目になる妻。今日のところは、そんな日を楽しみにしながら、沖縄料理でもたっぷり食べようか。住まいに帰る途中駅、「ナンクルナイサ」という馴染みの店に向かう。・・・<何とかなるさぁ>という意味の、お気楽な二人にお似合いの店に。