だだちゃ豆づくし「口福の枝豆」
2008年 8 月31日(日)
「だだちゃ豆」が届いた。知る人ぞ知る、山形県庄内地方名産のブランド枝豆。「だだちゃ」とうのは、庄内弁で「おやじ」の意味。庄内地方でもごく限られた地域で、8月の旧盆の頃からせいぜい9月初めまでの短い期間しか穫れない貴重品。だだちゃ豆の名前で出回っているほとんどの枝豆は、たぶん産地偽装と言わないまでも、品種が違っていたり、生産地が違っていたり、限りなくグレーなものに違いない。現地に行けば分かるのだけれど、ほんとうに狭い地域で作られる品種。それも、生のだだちゃ豆ということになると、生鮮食品扱い。穫れた日からせいぜい数日間の間に茹でて食べないと鮮度が落ちる。ということで、金曜日に購入したという「だだちゃ豆」を、土曜日指定で送ってもらい、すぐに茹で、すぐに食べるという贅沢な作戦に出た。食べることにはマメな夫婦。
実は、数週間前に「3種類の豆を食べ比べてみて!」と故郷に住む弟が大量に(300g×3種類×2袋)だだちゃ豆を送ってくれた。「早生白山」「甘露」「白山」の3種。食べ比べるには、3種類が混ざらないように別々に茹で、同時に食べる必要がある。大小3つの鍋を総動員し、3つのコンロを一斉点火。一気に茹でて、氷水で冷やす。そして茹でたての鮮やかな緑の豆の上に塩を振る。ちょっとつまみ食い。うっ!旨い♪この茹でたての、それもちょっと固めに茹でた枝豆の旨さといったら、ビールを飲まずにはいられない。次々に枝豆を茹で、塩を振り、つまみ食い、そしてビールをぐびり。幸せである。「甘露」は、名前の通り甘さが強く、「早生白山」は比較的あっさり、「白山」は甘く良い香りの、いずれ劣らぬ絶品枝豆。どれも実に旨い。枝豆は未成熟な大豆。アルコールの酸化を防ぎ、肝臓の負担を和らげる。酒飲みの味方。「生のだだちゃ豆って、ほんとに美味しいんだねぇ」枝豆好きの妻も(なのに、ビールを飲めないことは致命的だ)幸せそうに噛みしめる。
それにしても、さすがに全部を2人で食べきれる量ではなく、半分はご近所の友人にお裾分け。そして茹でた半分は、翌日料理することにした。一品目は「たくさんの豆サラダ」。市販の豆サラダ、茹でただだちゃ豆、ツナをドレッシングで和えて、レタスやトマトと合わせて盛りつける。ふんふん、予想通り美味しい。続いて「枝豆カレー」。レトルトのカレーと、ご飯の代わりに、だだちゃ豆。彩り鮮やかで、予想以上に美味しい。「どれも美味しかった♪ありがとう!来年も送ってね」弟にお礼のメールを送った。すると数日後、「追加の豆を送ります。今年最後の白山産の白山です。甘くて旨いよ!」んんっ!白山こそだだちゃ豆の本場。「白山」は、地名であり、品種名。ということは、あれ以上の味なの?送って送って!
そして、ある週末、大量に送ってもらった「だだちゃ豆」を、新鮮な内に茹で、いただいた。「うゎ〜、香りが良いねぇ♪これは美味しいよ!やっぱり生鮮食品なんだねぇ」前回食べた際の味に敬意を表し、妻が莢の端を丁寧に切ったことも味に影響しているかもしれない。ひと手間が料理を美味しくする。すると調子に乗った妻が「枝豆のだし漬け」を作りはじめた。昆布だしと鰹だしに茹でた枝豆を漬ける爽やかな一品。う〜ん、久しぶりの妻の料理だ!やればできるんだね。「そうなんだよねぇ。できるのに、やんないだけなんだよねぇ」ここで、じゃあやりなさいよ!というのではなく、ひたすら喜ぶのが夫婦円満の秘訣。美味しいものを食べてさえいれば幸せな、ある意味では分かりやすく、単純な2人。“口福”が幸福を呼ぶ。