お気楽、ゼータク、ウチご飯「DEAN & DELUCA」

Photoノが売れない。雇用の危機が叫ばれている。100年に一度とも言われる不況である…というけれど、我が身に降り掛かる実感が少ない。もちろん“情報としての不況”は実感している。アナウンサーは他人事のように企業の倒産を伝え、コメンテーターは政府の無策を批判し続ける。しかし、多くの人は自らが痛い目に遭わないと不況という実感と向き合えない。例えば、ボーナスが出なかったり、早期退職を勧告されたり、自分の会社の経営陣がいつの間にか記者会見していたり、というように。日本人はブームに弱い。この不況を実体のないブームとは言わないけれど、必要以上に不況の実態を伝えない方が良いのではないか、と思うことがある。日常生活は満ち足りて、欲しいモノがない!という日本人が多い。そんな中、価格や機能や代替性などによって支持され、売れているモノ、売れている店があるのだから。明るく不況を乗り切ろう!という方が楽しいし。

Photo_2 えば、ユニクロ。例えば、マクドナルド。例えば任天堂。そして、この店「DEAN & DELUCA」も。2003年に日本第1号店が丸の内にできてから、あっという間に首都圏中心に10店舗。少ないじゃないかと言われるかもしれないが、本家のアメリカでも10数店舗。この店の扱う商品(デリカテッセン、パン、ワインなど)のハイエンドの価格帯から言ったら決して少なくない数。国内老舗高級スーパーの紀伊国屋が10店舗弱、レックス・ホールディングスに買収され多店舗展開を図る成城石井が約70店舗。1店舗当たりの規模が全く違うため単純な比較はできないが、今後の首都圏以外への展開を考えると高水準。それにも増して、街で見掛けるこの店のトートバッグを持ち歩く若い女性の多さを考えると、ブランドとしては既に充分浸透しており、今後のさらなる拡大を予感するものがある。

Ny 気楽夫婦が「DEAN & DELUCA」に初めて出会ったのは2003年の冬。前の年にNYCに赴任した友人夫妻を訪ねた時だった。彼らが住んでいたマンハッタンのミッドタウンイースト。アッパーな方々の住む街の高級デリ。ワインも、デリも、パンも、ディスプレーのどれもが美しい。けれど、お高い。日常的に買って夕食のテーブルに並べるにはちょっと贅沢。「DEAN & DELUCA」は、元々デリの店だったのが扱い商品を増やしてスーパーのような品揃えになった店。NYCに住んでいた頃の彼らはCitarella(シタレラ)という、やはりハイエンドなデリを使っていた。いずれもマンハッタンに住むニューヨーカー御用達。ちょうどクリスマスの頃ということもあり、ターキーやサラダ、チーズなどが実に美味しそうに、お洒落に並んでいた。あれから5年余り。デルーカもずいぶん身近になった。

Ny_2日も遅くなりそうだから外で食べる?」いつものように妻からメールが入る。今日は東横のれん街で何か買って帰るよ♪と返信。オフィスに戻る途中、目に付いたデルーカのロゴ。その日はデルーカのデリでウチご飯と無意識に刷り込まれていた。混んでいる店先で何とか選んだのはゴルゴンゾーラとベーコンのニョッキ、ドライトマトと温野菜のサラダなど3種。小さなハード系のパンを合わせても、2人で外食することを考えたら安上がり。うん、このパターンは良いかも。温めて皿に盛りつけるだけの夕食が出来上がり♪何と比較するかにもよるけれど、お気楽で、美味しくて、ちょっと贅沢なのにリーズナブル。こんな世相にぴったりの夕食。「さすがにデルーカは美味しいね。それに外でお酒飲まないと安上がりだしね」と妻。なるほど、ウチメシがお得な理由は、私の酒だったのか。

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