浜松の幸福のカウンタ「割烹 弁いち」

幸せのカウンタん熊北店二子玉川店」を、初めて幸せのカウンタと呼んだお気楽夫婦。首相(当時は党幹事長)ご夫妻がお隣で(幸せそうに)食事をしていたこともあった。そのたん熊の店長、本城さんが独立して用賀に店を出した。その店「本城」のカウンタでも幸せが待っている。さらにもうひとつ、妻の故郷浜松で“幸せのカウンタ”を持つことができた。通算で4度目の訪問、3度目のカウンタ席。お弁当の仕出しとお節とを合わせると6度目の口福の味だ。銀色週間のある日、妻の両親と揃って浜松の名店「弁いち」へ出かけた。その席は4つだけ。入口の横、腰の具合が良くない義母にとってはありがたい椅子席。口数が少ない妻と両親にとっては、4人だけのこぢんまりとした和みの空間が嬉しい。そして、厨房の横にあるロケーションはご主人の薦める酒を味合うには絶好の位置。4人ともがそれぞれ満足のカウンタ個室。

百合根とクワイ飛露喜せのカウンタの1品目。穴子と百合根の饅頭に生湯葉の餡をかけたお椀。ん?酒の肴から始まることが多い軽い会席料理のスタートとしては珍しい。「美味しいね♪」「ほんとだねぇ♪」「うむ」お酒を飲まない妻と両親にとっては嬉しい一品らしい。私は幸せの1杯目「飛露喜愛山」をぐびり。純米吟醸の限定酒。旨い。店のご主人が薦めてくれる美酒の世界に陶然と入り込む。ほっこりとした百合根と穴子の甘さを楽しみながら、ぐびり。しみじみと旨い。この店の幸せは料理と酒の組合せ、マリアージュ。ご主人が丁寧に説明してくれる酒の由来、杜氏の名声、蔵のこだわり、品評会での評判。それぞれにもっともそうに頷きながらぐびり。とは言え、ほとんど聞いていない私。私が信頼しているのはご主人の選択。出されたものを飲むだけで間違いはない。

2杯目マダカいてお造り。金目鯛とマダカ(東海地方でのスズキの呼称)。合わせる酒は「奥播磨 戌子」という品評会への出品酒。うんまぁ〜い♪マダカのこりこりとした歯触りと淡白な味わいが酒の旨さを引き立てる。同じマダカでも後に出てきた一皿がまた絶品。かりっと焼いたマダカの癖のない白身の味にかりかりのタマネギ、パプリカなどの餡がからむ。美味しいですね♪「はい、ありがとうございます。創作料理はいろいろ試すんですが、残っていくのは何品かになります。お陰さまでこちらはご好評いただいています」研究熱心なご主人。いつも控えめながらも食材と料理への自信が伺える。

3杯目タイ茶漬3杯目の幸せは「開運 波瀬正吉純米大吟醸斗瓶取」。初めて訪問した際にもいただいた逸品。「今年の夏、波瀬正吉さんが亡くなられたのでこれが最後のお酒です」残念そうにご主人が呟く。続いて赤ムツのつみれとキノコの小鍋仕立て。「全てではないんですが天然ものです」キノコの香りが豪勢だ。そして鯛茶漬け。生海苔がたっぷり、胡麻と生醤油で香ばしく和えた鯛と合わせると絶妙の塩梅。しみじみ旨い。ぶどうと無花果のムースのデザートをいただき、幸福な時間が終了。最初から最後まで満足の時間と空間。

は年末にお邪魔します。それに、お節もぜひ。そう言いつつ妻の両親にアイコンタクト。「今年のお節はお得意さまだけに絞ってご案内しようと思ってます」とご主人。「あら、ではぜひお願いします」義母がはっきりと意思表示。いつも口に出さないけれど、彼らもこの店に来ることを楽しみにしているのが分かる。「美味しいと都度おっしゃっていただくと、とても嬉しいですけれど、口に出されるお客さまの方が少ないです」はい、それは私の役割。また次回も楽しみにしています。

■食いしん坊夫婦の御用達へ 「割烹 弁いち

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SINCE 1.May 2005