いつもの幸福シート「たん熊北店」二子玉川

Photo_160この店を訪れるのは、初めて訪れた昨年の5月から数えて4度め。決して多くはない。常連などとは到底言えない。なのに、いつもの席、カウンタの1番と2番の席に付くと、店長の本城さんが「お待ちしてました」とにこやかな笑顔と共に現れる。4度とも同じ席。それも私が右端の1番、妻が2番。そして目の前にはカウンタ席の“板前”、煮方、焼き方の要となる“花板”さんの立ち位置。そして背後に控える本城さん。元々、板前割烹が売りのこの店、ここがベストシートだと信じている。

P1040346その日は母の日。たん熊北店 二子玉川店には、夕方の早い時間から親子連れの姿が目立った。もちろん親子連れと言っても、お気楽夫婦と凡そ同年代の“子供”夫婦と母の3人。いち早く席に付いた2人の隣にも、2組の親子。「カウンタしか空いてなかったんだよ、ごめんね」席に付く際に、息子が母に詫びる。いやいや、きっとすぐに分かる。この店の真髄を味わうには、その席の方が良いですよ。心の中で呟く。「適当に見繕いましょうか」初めの一品を迷っていると、本城さんがそう告げた。

Photo_161そうか、その手があった。“お任せ”。ちょっとだけ、いろいろな味を愉しみたい食いしん坊夫婦。美しく飾られた小さな器でジュンサイ、湯葉とアボガド、うるいのヌタ和えが目の前に並ぶ。ちゅるちゅるのジュンサイをすすり、うるいのくきゅくきゅした歯ざわりを愉しむ。「鱧もいきましょか。白身だったら鯛ですねぇ。お刺身か昆布締め、それか洗いでどうですか」「洗いでください」妻がすばやく反応する。氷で〆た鯛、骨切りした鱧のコリコリ感。幸せな食感。ひと足早い夏を味わう。「刺身も食べ比べてください」板さんが刺身皿に鯛の切身を載せてくれる。くにくにとした歯応え。比べて初めて違いが際立つ。美味しい、楽しい。

Photo_162「鮎も召し上がりますか」お~っ、良いねぇ。今年の春は天ぷらやで稚鮎を食べずに終わったなぁと思っていると、妻がすかさず「くださいっ♪」と答える。妻はすっかりこの店に心地良く身を委ねている。「だって、この店でちょっとでも不快な思いしたことないでしょう」大人しそうな風貌の、実は気の強い妻。お店に入った後で、対応が悪くて席に付かずに店を出た事も何度か。ここは、そんな彼女が終始リラックスして寛ぐ貴重な店だ。若鮎はカリカリに焼かれ、頭からがぶりと齧り付ける。最後に燻した桜チップの香りが鼻をくすぐる。旨いっ♪(後編に続く)

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