春は筍、再び「銀座 天一 渋谷東急店」

タケノコ天イカ天になると無性に食べたくなるものがある。「たらの芽、蕗の薹 天一」などというシンプルで、そして小さな広告が日経新聞に載ると、そわそわしてしまう。寒さが緩み、桜の花が綻びかける前に食べに行かなければいけない。お気楽夫婦にとって、これだけは欠かせない春の味。春の天ぷらを食べずに終わってしまうと、1年を通した外食生活の中で美味しい機会をひとつ逃してしまったという無念が残る。あと1年待たないと、あの味が楽しめないのだと。春の天ぷら。それも、春の野菜たち。たらの芽、筍、蕗の薹。そして、決まって訪れる店は、東急本店にある天一。お気楽夫婦が好きなのは、銀座の本店ではなく、ここ。デパートの中だから敷居が低く、揚げ場もこぢんまり。お好みで食べても、ちょっとゼータクぐらいの雰囲気。

海老天稚鮎天る夜、仕事を終えたお気楽夫婦は渋谷に向かった。待ち合わせは天一の揚げ場。少し早く着いた私が店に入ると、カウンタの先客は接待の日本人と2人の南米系の男性。妙な組合せだ。待ち合わせだと告げ、ビールをオーダーすると穴子の骨のから揚げがつまみとして供される。かりこりと齧りながらメニューを眺める。季節のたねとして、たけのこ、白魚、たらの芽とある。思わずにんまり。なんとか春の天ぷらの季節に間に合った。ビールをぐびり。旨い。遅れて妻がやって来る。春は彼女が忙しい季節でもある。だからこそ、妻の元気の素として春の天ぷらたちを食べに来たのだ。「何から食べようか♫」まずは、たらの芽、筍。ふぅわりとした春の香りを味わう。さくっとした春の歯応え。春そのものを味わう。

ししとう天ケノコ、美味しいね♡」うん、これは良いね。口中に香ばしさが広がる。「ありがとうございます。揚げる前に少し炊くんです。そうすると香りが良くなるんです」揚げ場の板さんが答えてくれる。「次はアオリイカかな」内側がほんのり薄い青みがかった絶妙の揚げ具合。イカの甘さがたまらない。「これは幸せの味だねぇ♡」続いて車エビ。頭の唐揚げがぱりぱりと香ばしい。王道の美味しさ。「稚鮎はいかがですか」もちろん、ください♫だんだん稚鮎が出るのは早まってますね。そんな会話をしていると、カウンタの隣で、接待の男性が「ウチもそれください」とオーダー。南米系の男性たちにスペイン語と英語で稚鮎の説明をしている。天ぷらとしても、話題としても良いネタだ。稚鮎を丸ごと食べる春の味。クジラだけではない日本の繊細で多様な食文化を伝えてやってくれ!心の中でインターナショナルな接待を応援。

丸十天唐、アスパラガス、穴子、蓮根、茄子。ゆったりと揚げたて熱々の天ぷらを味わう。何度も何度も大根おろしのお代わりがやってくる。これがまた美味しいし、おつまみ代わりにもなる。「天茶もらえますか」国際接待チームはご飯ものでシメ。ふんふん、なかなか良いチョイスだぞ。それに対し、小食なお気楽夫婦のシメはデザートを兼ねた丸十(サツマイモ)。からっと揚がったサツマイモは甘く、ボリュームたっぷり。大根おろしをたっぷり付けて、ぱくり。甘めのタレ、適度に絞った大根おろしとサツマイモの甘さが、なんとも言えない抜群の組合せ。実に旨い。「ふぅ、満足♡天ぷらは鮨よりも季節感あるし、野菜もたっぷり食べられるし、お好みで食べても安いから良いよね」妻はかなり満足の模様。「やっぱり春は天ぷらだねぇ♬」つい先日、春の鯛を握ってもらいながら、やはり春は鮨だねと呟いていた妻が、微笑んだ。

【お気楽夫婦の御用達】  ■銀座 天一 渋谷東急店

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SINCE 1.May 2005