災禍に負けるな!大人食い♬「崎陽軒本店 中国料理 嘉宮」
2011年 5 月07日(土)
2011年3月12日、お気楽夫婦を含めた3組の夫婦6人と2匹のワンちゃんは、一緒に旅に出る予定だった。行き先は小田原のリゾートホテル。ワンちゃんと一緒に宿泊できるコテージのステイプラン。前年末からスケジュールを調整し、ようやく全員の日程が合った。ペットと一緒に食事ができる海辺のレストランを検索し、テラス席でランチを楽しんだ後にチェックイン…そんな予定だった。「いよいよ明日からだね〜」「すっごい楽しみぃ♡」そんなメールを妻たちがやり取りをしたのが3月11日の朝。そしてその日の午後に大災禍は起きた。横浜に住む友人(夫)は大手町のオフィスで一夜を過ごし、ご近所の友人(夫)は、湾岸エリアにある会社の倉庫を見回ることになった。そして夜遅くにオフィスから歩いて帰って来た妻や友人たちと、何とか繋がった電話やメールで相談し、中止の決定をした。無念。
けれど、震災による被害の状況が次第に明らかになるにつれ、旅行どころではなかったと実感。ホテル周辺には直接的な被害はなかったが、余震が続く中で旅行をしても明るい話題だけでは過ごせない。楽しみにしていたからこそ、中止の判断は正しかったはず。けれど、ご近所の友人(妻)の長年勤めた会社を退職した慰労会も兼ねた企画。彼女のためのプレゼントも用意してあった。何とか代わりに皆で集まる場を設定したい。私もかんたんには挫けない東北人。友人たちと連絡を取り合い、横浜で中華料理を食べるという企画に変更。なんとか全員のスケジュールが合ったのは2ヶ月近く後の4月末。発案から半年。ようやく企画が実現することになった。
「久しぶりだねぇ♡」「元気だったぁ〜♬」お互いにハグし合わんばかりの奥さまたち。実はこの企画、彼女たちが10年程前から毎月5,000円づつ積み立ててきた旅行基金が原資。一緒に旅行に行こう!と3人が貯めてきたもの。けれどなかなか休みが取れず、お台場のホテルに1泊したのが唯一の出費。結果、えっ!と驚く程の残高になっていた。「今日はごちそうになりまぁ〜っす♪」3人の夫たちが声を揃える。「よしっ、好きなモノ食べて良いよ!」「じゃあ、ツバメの巣かな、フカヒレ?」「大人食いだぁっ!」自腹ではなかなか食べることのない食材の名が挙がる。ん?フカヒレと言えば気仙沼。大きな被害があった街のひとつだ。「はい、今は新たな入荷がないんですが、1年程ご提供できる在庫は持っていますので、それまでに復興できると良いんですが…」と店のスタッフ。よしっ!支援の意味でも気仙沼産のフカヒレの姿煮だ!
その日伺ったのは、横浜駅前にある崎陽軒本店。店の2階にある中華料理の嘉宮。友人たちとも訪れた名店。本店オリジナルシウマイはもちろん、焼物は外せない。合鴨の香り焼き、自家製叉焼を前菜として会食スタート。NYC駐在経験がある横浜に住む友人夫妻が、カリフォルニアワインのプロモーションに食い付く。ナパバレーを訪れたこともある2人。ワインは任せた!料理を選ぶのはお気楽夫婦。活け真鯛を薦められ、中華風のお刺身でオーダー。さらに北京ダックだぁ!普段ではあり得ない、料理の値段を気にしないセレクト。「フカヒレ美味しいねぇ♡」「今まで食べてたフカヒレは何だったんだ!」「やっぱり一緒に香港行きたいよね」「旅行基金でね」「皆でいろいろ料理を食べられるのは良いよね」会話も、料理も、ワインも楽しく美味しい。小食のお気楽妻は、大勢で食べる中華料理が心から嬉しそう。
「それでね、長年お疲れさま!ということで皆から…」ご近所の友人(妻)には内緒だったプレゼントを贈呈。20年以上勤めた業界から“足を洗う”という意味で、フットケアセット♬そして料理自慢の彼女に“ますます腕を磨いてね”と、栗原ひろみの料理本。「えぇ〜っ、そんなぁ。ありがとう♡」彼女は退職後に医療事務の学校に通い、資格取得を目指して勉強中。凹みやすいのに、淀まず流れるようとする前向きな奥さまだ。“大人”になってから知り合った3組の夫婦。3組それぞれの状況は変化しているけれど、会えば変わらず元気になる。笑顔になる。まして一緒に美味しいモノを食べたなら。「私はずっと元気だけどね」…お気楽妻は変わらない。