Archive for 7 月 31st, 2011

杖よさらば!「二足歩行の喜び」

Matsuba2ハビリしっかりやっているようですね、と褒められた♡」妻からそんなメールが届いた。術後7週間目の診察結果を知らせる内容。初めて付き添いなしで病院に向かったその日、担当医のコメントがよほど嬉しかったらしく、妻がほとんど使わない絵文字がメールの文末に踊っていた。「杖を外しても良いけど、念のために後2週間だけ1本使うことになりました」そう続くメールは、妻の嬉しそうな顔が目に浮かぶ内容だった。6月初旬にアキレス腱を断裂、すぐに入院して手術、そして松葉杖をついて退院の翌日から通勤。初日は全行程タクシー。その後は徐々に電車を使う区間を延ばしながら、タクシーを使う距離を短縮して来た。それでも会社までの長く緩やかな坂道を歩くのは困難で、最寄り駅からはタクシーを使わなければ通えなかった。

Matsuba宅から最寄り駅までの距離は短いけれど、駅にエレベータがないために時間を掛けて階段を使う。途中駅のエレベータの有無などを調べながら、最善のルートを何パターンも試した。怪我をした足が地面に付けない頃はエスカレータにも乗れなかった。朝夕の混雑する時間帯を避け、エスコートしながら一緒に電車に乗った。それでも混み合う車内では乗り降りが困難なため、空いている各駅停車を待った。松葉杖で両手が塞がるからショルダーバッグしか持てない。雨の日は傘がさせない。高いヒールの靴は履けないため、低いヒールの靴を何足か買った。足を下げっ放しにすると、左脚だけが象の脚のように浮腫んだ。松葉杖の持ち手の部分には包帯を何重にも巻いたのに、手にはマメができた。芝居を観に行ったり、外食の際には松葉杖の置き場所に困った。

Araiんな日々がようやく終わろうとしている。松葉杖よさらば!さっそく妻に返信。お祝いにウナギでも食べに行こうか!「ありがとう!ウナギ賛成!」さっそく予約して向ったのは2人が住む街にある(唯一接待で使えるお座敷がある)鰻専門店。土用丑の日が近かったこともあり店は満席らしい。4人用のテーブルに案内され、向かい合った斜の席に座る。妻の左脚は向かいの席の椅子の上。怪我をしてからの2人の外食は、左脚を上げておく工夫をすることから始まる。象の脚にならないようにするために大切な儀式だ。そしてお茶とビールで、妻の順調な快復に乾杯。「アスリート並みの快復だよね」妻が自画自賛。担当医の見立てでは、断裂したアキレス腱の周囲にも筋繊維が発達し始めており、プール歩行はどんどんやっても良いとのこと。「これでスポーツクラブにも行けるね!」妻の笑顔の一番の理由はそれ。

Unachaに言わせると「スカッシュができないのは、今はできるとは思えないからストレスは溜まらないんだけど、身体を動かせないっていうのがつまらない」らしい。松葉杖を使わずに二足歩行ができるだけでも嬉しく、ましてスポーツクラブでプールに入っても良いと言うコメントは神の啓示にも近い。「さっそく今週末に行くよ!」良いだろう。彼女は辛抱強く、慎重に、リハビリ生活を送ってきた。まぁ、切れたモノは仕方ない!と明るく現実をそのまま受け止め、何かを恨んだり、くさったりせずに、松葉杖を懸命に操って歩いてきた。こんな時には人となりが現れる。自分だったらどうだったろうと想像する。彼女の淡々とした、達観したかのような生活は自分にできただろうか。松葉杖と共に過ごした2ヶ月、いろんなことが見えることもある。そして、ようやく以前の日常が戻ってきつつある。

ョギングとエアロバイクは2週間後にはやって良いらしいよ♬」マグロは泳いでいないと呼吸ができない。妻も呼吸することがヘタで、運動をすることで正常な呼吸を促し血液を循環させる。妻はマグロな女。「スカッシュは術後3ヶ月からOKだって」担当医はまだ分かっていないらしい。妻は抑えながらリハビリを促さないと突っ走る。なかなか表には出さないが、図に乗ると無謀な行動に出る。でも、8月の夏休みにはラケット持っていかないよ。そう告げると「そうだね」と呟いた。自分を知り、オトナになった…のかもしれない。

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