海を眺める宿「亀や/HOURAI」湯野浜温泉
2012年 8 月05日(日)
旅の目的は何にせよ、お気楽夫婦は旅することが好きだ。じっくりと旅のプランを練る。お気楽妻にとっては、どこに宿泊するかが最大の関心事。宿の情報を収集し、部屋のタイプを選ぶ。その宿でどのように過ごすかをイメージできれば旅程は自ずと決まる。早めに羽田に着いて、ラウンジでのんびりとランチ。目的地の空港に到着後はまっすぐに病院に向う。…夏の日の週末、故郷で入院した父親の見舞いに向った。胃癌の術後検診で発見されたリンパ腫の治療のために入院。入院中に軽い脳梗塞を発症した。病名の響きは重篤だけれど、父親は至って元気。ほっとした気持を抱えて宿に向かう。
空港にほど近い湯野浜温泉「亀や」という老舗旅館に2度目の投宿。前回はKAMEYA514-519という和モダンの室内温泉付きのツインルーム。今回は、最上階にできた特別フロア、HOURAI。東北芸術工科大学との産学協同プロジェクトとして、建築家の吉村康孝氏と学生たちがリノベーションに加わった。部屋数はわずかに6室。その6室のためだけにラウンジがある。HOURIの宿泊客はここでウェルカムドリンクを飲みながらチェックイン。1室毎に趣の異なる部屋に案内される。ちなみに、ラウンジや客室でのビールや日本酒などのドリンクは全てオールインクルーシブ。酒飲みには嬉しい設定。
日本海に面する湯野浜温泉。亀やの客室は全室オーシャンビュー。HOURAIでは、ラウンジでも客室でも、穏やかな夏の海を、砂浜を、海に沈む夕陽を眺めることができる。お気楽夫婦の宿泊したのは、根岸正典氏が設計した1112。広めのダイニング・リビングルーム、ウォークスルーで一体感のあるベッドルーム、琉球畳の端正な表情の和室、そして温泉付き浴室のいずれもから海を眺めることができる。「こんなにゆったりと夕陽を眺めるのは久しぶりだなぁ」酒を飲めないC/Pの悪い妻が山形特産のフルーツジュースをすすりながら満足げに微笑む。
自室のダイニングテーブルで、2人で沈む夕陽を眺めながら夕食。前菜は夏の日本海の名産である岩牡蠣と地の夏野菜の盛り合せ。太陽をたっぷり浴びた野菜の甘さが、ミネラルたっぷりの岩牡蠣の滋味が、お気楽ながらも心配していた2人の緊張を溶かして行く。赤坂にある系列料理店の「阿部」がミシュランの星を獲得したように、この宿の料理もまた満足の品々が並ぶ。きりっと冷えた地酒を飲みながら、刻々と染まる海と空の色合いを楽しむ。そんなゼータクな演出が味わえる良い宿だ。
「六本木のリッツカールトンよりも良いかも、だよ♫」と妻。急な帰省、お見舞いに予定を変更した週末。実はリッツを予約していた。クラブフロアでのんびり過ごす予定だった。「スポーツジムはないし、夜景も楽しめないけど、海の眺めも、食事も良かったし、良い宿だったね」ホテルマニアである妻の、気遣いも含めた最大級の賛辞。多謝。